サッカーW杯:韓日大会10周年、韓国社会はどう変化?

「夢はかなう…プラスのパワーが今日の基礎」

 2002年に行われたサッカー・ワールドカップ(W杯)韓日大会で韓国がベスト4入りという神話を成し遂げてから、いつの間にか10年の歳月が流れた。韓国社会はこの10年間で、W杯前(ビフォー)と後(アフター)に分かれると言っても過言ではないほど、意義深い変化を経験した。

 まず、韓国代表サポーター「レッドデビルズ」による街頭応援は、韓国社会にさまざまな影響を与えた。全世界のメディアが注目した街頭応援は、開かれた空間である広場で集団の声を躍動的に表現する「広場文化」の母胎となり、惰性に埋もれていた日常の無味乾燥さを興味と才気あふれる楽しい場へと変えてしまう「イベント世代」の胎動を告げた。

 「レッドデビルズ」のシンボルとなった赤いTシャツの波は、反共意識を内に秘めてきた韓国人の「レッドコンプレックス」を一気に吹き飛ばした。また、絶対的パワーと集団的名分の前に限りなく打ちひしがれていた韓国人独特の劣等感を見事に克服した「G(Glorious=グロリアス)世代」の華麗なる登場にふさわしい舞台だった。

 「レッドデビルズ」の歓声と共に「夢はかなう」というスローガンがスタジアム中に響き渡った時、私たちは皆、不可能を可能にするプラスのパワーが胸の奥深くから沸き上がってきたことを覚えている。なぜか自身の価値を評価することを潔しとしなかった韓国人だが、韓国人であることを心から誇りに思った瞬間の感激を忘れられるはずがない。

 さらに、かなわないと思っていた私たちの夢がかなったその場所には「ヒディンク監督のリーダーシップ」があった。傑出したリーダーのずば抜けたリーダーシップのおかげで、韓国サッカーはアジアを越え、世界中のサッカー選手が競い合う場で欧州の強豪国と対等に戦えるほどに成長した。そのプロセスを見守ったという喜びも、W杯がもたらした貴重な経験だった。それ以来、韓国人は企業から家族関係に至るまで、多種多様なリーダーシップのパワーを目の当たりにしてきた。

 「W杯ベビー」は今年10歳になる。この子どもたちが母親の胎内で感じた「感応の力」により、韓国人の底力や可能性がより肯定的な形で現れ、弱点や盲点を賢く克服していく原動力になることを願っている。

ハム・インヒ梨花女子大学社会学科教授
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