政治【主張】大飯原発 再稼働へ「決断」ぶれるな2012.6.1 03:25

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【主張】
大飯原発 再稼働へ「決断」ぶれるな

2012.6.1 03:25 主張

 野田佳彦首相がようやく関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を決断したようだ。5月30日の関係閣僚会合で首相が「立地自治体の判断が得られれば、最終的に私の責任で再稼働を判断する」と言明したからだ。

 地元の福井県議会や西川一誠知事の同意取り付けなどのハードルは残るが、首相が「エネルギー安全保障や日本経済の安定と発展のために原発は引き続き重要だ」と語ったことを高く評価したい。これを後戻りさせることは許されない。

 大飯原発は、東日本大震災後に国内の全原発が停止する異常事態に陥った中で、初の運転再開となる。電力の安定供給に対する政府の責務を果たすことが重要だ。

 再稼働に慎重だった橋下徹大阪市長らで構成する関西広域連合は30日、再稼働を事実上容認する声明を発表した。電力需要期を控えて、地元産業界などに計画停電などへの危機感が急速に高まり、首長らもこれを共有して現実的姿勢に転じたといえよう。

 問題は、再稼働に反対する勢力などが「安全性の確保」を理由に再稼働の流れを巻き返そうとしていることだ。忘れてならないのは、政府がストレステスト(耐性検査)などを経て既に大飯原発の安全性を確認したことである。

 西川知事は首相の国民向けメッセージも求めている。首相も含めて政府は、これまでの安全対策やその説明に対してさらに万全を期すとともに、政府が全責任を持って再稼働を主導する姿勢を堅持していく必要がある。

 また、停止していた原発が安定した商業運転に移行するには1カ月程度かかる。関電管内では7月から15%の厳しい節電が求められているが、節電計画の見直しを急ぐためにも、早期かつ円滑な再稼働は不可欠だ。

 橋下市長は「事実上の再稼働容認だ」と認めたが、「夏に限定した運転」を政府に求めているのは問題だ。関電管内の深刻な電力不足は、大飯原発が再稼働しても決して解消されるわけではない。老朽化した火力発電所の酷使や、台風などによる故障リスクも高いことを忘れてはならない。

 和歌山県の仁坂吉伸知事は「再稼働のリスクより(原発停止の)経済的なリスクが大きい」と再稼働に賛意を示した。安価で安定的な電力供給には首長の責任も大きいと銘記すべきである。

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