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インプラント 重篤トラブル400件余
5月31日 18時36分

インプラント 重篤トラブル400件余
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あごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を取り付けるインプラント治療で、手術の際に神経を傷つけてしびれが残ったなどの重篤な医療トラブルが去年までの3年間に全国で400件余り起きていたことが、専門の歯科医師などで作る学会の初めての実態調査で明らかになりました。

この調査は、インプラント治療を巡るトラブルが後を絶たないことを受けて「日本顎顔面インプラント学会」が、口くう外科がある病院や歯科大学の付属病院など、地域の拠点となっている全国の79の施設を対象に初めて行ったもので、9割を超える74施設から回答がありました。
それによりますと、歯科医院などでインプラントの手術を受けたあと再治療が必要になった重篤な医療トラブルは、去年までの3年間で合わせて421件報告されました。
このうち、あごの骨の中を通る神経を傷つけて、しびれやマヒなどが残ったケースが158件で最も多く、全体の4割近くを占めました。
また、インプラントが上あごの骨を貫通し、誤って眼の下にある「上顎洞(じょうがくどう)」と呼ばれる空洞内に入ったケースが63件。
このほか、経過観察を十分しなかったため骨粗しょう症の治療薬の影響などでインプラント周辺のあごの骨がえ死したケースが10件報告されました。
実態調査を行った「日本顎顔面インプラント学会」の瀬戸理事長は「インプラント治療が急速に広がるなか、歯科医師は、基本的な技術や知識を身につける必要がある。患者の側も、手術のリスクや、服用している薬の影響などについて十分説明してくれる歯科医師を選んでほしい」と話しています。
学会は、今回の実態調査の結果を詳しく分析して再発防止策を検討するとともに、来月1日から安全対策の1つとして、インプラントの手術日をはじめメーカーの名前や種類、それに、服用している薬の名前などを歯科医師が記入して患者に渡す「インプラント手帳」の取り組みを全国に79か所ある学会の「認定医療機関」で始めることにしています。

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