最終更新: 2012/06/01 01:07

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福島・南相馬市小高区の住民が抱く不安と希望を取材しました。

福島・南相馬市小高区の住民が抱く不安と希望を取材しました。
福島・南相馬市小高区は、福島第1原発からの距離は15km前後と、事故発生直後から、立ち入りが制限される警戒区域に指定されていました。
およそ1年たった4月16日の規制区域の再編で、帰還困難区域を除き、ようやく立ち入りが自由となりました。
国と南相馬市がいうように、復旧・復興への第一歩なのか、居住制限区域と避難指示解除準備区域で、住民の受け止め方を追いました。

警戒区域が解除されても住むことができないわが家。
深まる国への不信感、原発事故に翻弄(ほんろう)されて生きる南相馬の人々を追った。
南相馬市の小野田病院・腎透析センター。
週3回の人工透析は、患者にとって、命を左右する大切な治療となる。
センターの看護師長を務める飯崎悦子さんは、3人の子どもを連れて埼玉に避難したが、この春、南相馬に戻って、職場復帰した。
飯崎さんは「(南相馬市に帰った理由)最終決断は、自分自身の仕事ですかね。子どもたちに関しては、このまま普通に体育とか水泳とかやらせてあげたいなっていう気持ちもあって、戻るにはちょっと悩みました」と話した。
飯崎さんの自宅は、警戒区域だった小高区にある。
仮設住宅で家族5人が暮らすことはできず、子ども3人は離れ離れに避難生活を送る。
4月16日、警戒区域が解除された南相馬市の小高区。
国道の検問が撤去されて、立ち入りは自由になった。
それから1カ月以上が過ぎた小高区の中心部だが、地震の傷痕、そして津波で流された車が、そのままになっていた。
およそ1万3,000人が暮らしていた町に人影はない。
水道など、ライフラインが復旧していないこともあり、警戒区域解除後、小高区で事業を再開したのは、3カ所のみだという。
富澤自動車整備工場の富澤広幸さんは「お客さんはね、ほとんど皆無に等しいです。はたして、ここで継続して、仕事していって大丈夫なものかどうか。今、思案中です」と話した。
警戒区域の解除後も自宅の宿泊は禁止で、富澤さんは、妻と小学3年生の息子と仮設住宅で暮らす。
南相馬緊急防犯パトロール隊の嵐 孝治さんは「かなり飛ばしてた。じゃあ、追っかけっぺよ」と話した。
夜間、無人地帯となる小高区を走り抜けた1台のトラックを追跡するのは、市民ボランティアの防犯パトロールだった。
トラックは、警戒区域の検問所で停止を命じられ、防犯パトロールの嵐さんが、身元を確認に行った。
嵐さんは「(結局なんだった?)原発の車」と話した。
防犯パトロールの女性が立ち寄った駅のホーム。
あの日から、電車は動いていない。
南相馬緊急防犯パトロール隊の志賀公子さんは「子どもたちがここの駅を使って、高校に通ったんですよね。悔しいというか、寂しいというか」と話した。
看護師の飯崎さんの小高区の自宅は、福島第1原発からおよそ15kmの場所にあり、区域再編で居住制限区域に指定されたが、この先、戻って生活が可能なのか、まだ明確に示されていない。
飯崎さんは「もう玄関先でも、このぐらい(4.96μSv/h)あって。ちょっと高いと、もう5ですよ。もうこのぐらいです、4。一番ひどいのは、こういうところですよ、たぶん。もうみるみる上がりますから。ほら(6.33μSv/h)」と話した。
そして、自宅の中で、飯崎さんは「こっち行くと、もう3(μSv/h)ぐらいで。すごいでしょ、びっくりするよね。(国から)住めって言われたら、どうしようと思って」と話した。
2011年12月、政府が設置した専門家会議は、年間被ばく量を20ミリシーベルト(mSv)まで容認するという結論を出した。
これは、1時間あたり3.8マイクロシーベルト(μSv)となる。
南相馬で生まれ育った飯崎さんの海のそばにある実家に向かった。
飯崎さんは「もうすぐですよ、わたしのとこ。わたしんち」、「ここです、これです。そこの石垣とか、だいたいあの囲いとか、ここ全部、わたしんち。実家の敷地です」と話した。
あの日、病院に勤務していた飯崎さんは、患者の安全確保に追われて、家族の安否を確認することができなかったという。
飯崎さんは「弟がまだ見つかってなくって、母とめいが亡くなって。(原発事故で)結構、遅れましたよね、捜し始めるのが。もうちょっと、早く捜してあげたかった」と話した。
原発事故によって分断された家族、放射能に汚された大切なわが家、置き去りにされたままの償い。
それでも飯崎さんは、南相馬の医療現場に立ち続ける。

(06/01 00:35)


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