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【社会】

北条米、粘り腰 竜巻に負けぬつくばの美味 農家、田植えを再開

 深刻な竜巻被害を受けた茨城県つくば市北条地区やその周辺は、「北条米」の産地で知られる県内有数の米どころ。六日の竜巻では四十ヘクタール以上の田んぼにがれき類が散乱し、農家は田植えを中断せざるを得なくなったが、多くのボランティアの協力でがれき類の撤去が進み、農家は米作りを徐々に再開した。竜巻から間もなく一カ月。農家は「北条米のブランドを保てるように頑張りたい」と決意を新たにしている。 (松尾博史)

 JAつくば市によると、筑波山麓に位置する北条地区周辺は、花こう岩などを含む土壌の成分や周辺を流れる川の水が米作りに適し、上質の米が収穫されてきた。戦前には皇室に献上され、現在も「甘みがある」「冷めてもおいしい」と消費者に好評という。

 JAは一九九八年、北条米のブランド化を進めるため「筑波北条米」の商標登録を出願。主力品種はコシヒカリで、昨年は同地区や周辺の農家約二百五十軒がJAを通して約九百十五トンを出荷。農家が直接販売している分を含めると、同地区などでの収穫量は年間約三千八百トンに上る。

 竜巻被害が発生した六日は田植えが本格化したところだった。農家の中山博さん(41)、晶さん(38)兄弟の田んぼは、田植え前後の約四ヘクタールで屋根瓦や自転車、木の枝などが散乱する被害を受けた。博さんは「家族や自宅は無事だったが、まさかこれほどになるとは」と途方に暮れた。

 だが、多いときには一日に四十人のボランティアががれき類の撤去に協力し、今月中旬から田植えが再開できた。博さんは「地域を再生していくためにも、多くの人に北条米を食べてもらい、よさを知ってほしいという気持ちがますます湧いている」と話す。

 つくば市や県の県南農林事務所によると、市内で竜巻被害を受けた田んぼは約四十四ヘクタールで、目立ったがれき類はおおむね撤去された。細かなガラス片が土中に残っている場所はあり、農家が作業中にけがをする恐れもあるため、国は被災農家支援の一環として、土を入れ替える費用の一部助成を決めた。

 JAつくば市営農経済部長の飯竹忠さん(57)は「ボランティアの協力で、がれき撤去が順調に進んだ。稲の生育に問題はないと思う。生産者と協力しておいしい米を届けたい」と話している。

 

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