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イスラエル 赤軍事件で死刑検討
5月31日 4時38分

イスラエル 赤軍事件で死刑検討
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数々の国際テロ事件を繰り返した日本赤軍が、1972年、イスラエルの空港で銃を乱射して100人が死傷した事件を巡り、イスラエル政府内で、日本人の実行犯に対して死刑が検討されていたことが当時の閣議の議事録から明らかになりました。

この事件は、1972年、イスラエルの国際空港でパレスチナの武装グループと連携していた日本赤軍のメンバー3人が自動小銃を乱射するなどして、24人が死亡、76人が重軽傷を負ったものです。
事件からちょうど40年となる30日、当時の閣議の議事録が機密解除され、この中で、3人の実行犯のうち自殺せずに唯一逮捕された岡本公三容疑者について、閣僚の間から「大量虐殺で極刑に値する」として、政府方針を変更してでも死刑を求刑すべきだという意見が出されていたことが明らかになりました。
イスラエルでは死刑制度が存在しますが、1962年に、ホロコーストのユダヤ人大量虐殺を指揮したナチス・ドイツの幹部に執行されただけで、その後、政府は、事実上、死刑を適用しない方針を閣議決定していました。
ただ、閣議では「テロ組織からの報復テロにつながる懸念がある」などとして反対する意見が多く、結果的に死刑は求刑されず、岡本容疑者は裁判で終身刑が言い渡されました。
これについて、議事録の機密解除に関わったイスラエル国立公文書館のハガイ・ツォレフ研究員は「興味深いのは、この事件をナチス・ドイツの大量虐殺になぞらえる閣僚までいたことだ。当時のイスラエル社会でも死刑はやむをえないという空気があり、それだけ凄惨な事件だったということだ」と話しており、議事録によって日本赤軍によるテロ事件がイスラエルに与えた衝撃の大きさが改めて浮き彫りとなりました。

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