核燃料サイクル

再処理工場プールの貯蔵率97%
(2012/03/31)
 日本原燃(六ケ所村)は30日、2012年度の使用済み核燃料の輸送計画を発表した。同村の使用済み核燃料再処理工場の貯蔵プール(容量3千トン)は満杯に近いため、搬入量は約19トンにとどまる。工場が計画通り10月に完成しなければ、プールに受け入れ余地がない状況が続き、全国の原発に使用済み核燃料がたまる状況は解消されないことになる。
 再処理工場は原発にとって、使用済み核燃料の唯一の搬出先。東京電力福島第1原発事故では、原子炉近くのプールに使用済み核燃料が大量にたまっていることが、深刻さに拍車を掛けた。
 再処理工場は試運転が難航しているため、プールには再処理前の核燃料が滞っている。貯蔵量は約2919トンで貯蔵率97%。受け入れ余地はほぼない。
 10月に工場が完成すれば12年度中に約80トンを再処理でき、13年度以降の受け入れ余地が生まれるが、原燃の川井吉彦社長は計画通りの完成は難しいとの見方を示している。
 原子力政策の見直しを進める国が再処理路線を堅持するのかも不透明で、12年度中に工場が動かなければ、年度末の貯蔵量は2938トン、貯蔵率は98%に達する見込みだ。
 一方、英国から返還されるガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)について、原燃は12年度下半期に28本を同村の貯蔵施設に搬入する計画。低レベル放射性廃棄物は、全国の原発から約1万2千本(200リットルドラム缶入り)を受け入れる。(今井崇雄)