第4章 石で造られた日本橋
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18世紀中頃に制作された「隅田川風物図巻」は、江戸城前の日本橋川を下って隅田川に合流し、浅草界隈を経て木母寺までさかのぼる光景を描いた、長大な絵巻です。最近は、日本橋からスタートして浅草寺方面に遊びに行った、江戸時代の舟遊びのようすが伝わってくる作品として注目を集めています。そしてこの絵巻のもうひとつの魅力は、全巻に渡って施された〈影からくり絵〉の細工です。
本展覧会では、この絵巻を初めて全画面広げたうえで、〈影からくり絵〉の技術によって浮かび上がる夜景の一部を、特殊な照明によって実演展示します。隅田川の両国橋の花火が一番の見どころとなりますが、川沿いの家々の窓、舟の提灯など、10メートル近い絵巻に星のように散りばめられた光の演出は必見です。江戸時代の舟遊び気分を味わえる、幻想的な世界をお楽しみください。
(上)「隅田川風物図巻」(日本橋部分)
(下)「隅田川風物図巻」(日本橋部分・夜景)
筆者不詳
江戸中期・18世紀中頃 江戸東京博物館蔵

江戸時代の医学書『解体新書』。これは、日本橋の近くにあった版元須原屋(すはらや)から出版されたものです。また文明開化の象徴である「人力車」は、日本橋脇の高札場から売り出してあっという間に全国に広まりました。絵画で構成された空間の中に顔を出す、江戸博ならではの展示が楽しめます。

杉田玄白「解体新書」 須原屋市兵衛/版 安永3年(1774)江戸東京博物館蔵
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人力車
明治期 江戸東京博物館蔵
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(ページ上部画像左から)
「東京名所 日本橋真景并ニ魚市全図」歌川広重 天保(1830〜43)中頃、ノエル・ヌエット「東京風景 日本橋」昭和11年、「東都名所年中行事 四月 日本橋初かつお」歌川広重 安政元年(1854)、「江戸日本橋より冨士を見る図」渓斎英泉 文政(1818〜29)中頃 全て江戸東京博物館蔵