教えて県民くん
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【福井発】大飯再稼働 首相責任で最終判断 関西の事実上容認で2012年5月31日 野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係三閣僚は三十日夜、関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働に関する会合を官邸で開き、立地自治体の県と町の理解が得られれば、再稼働を最終決定する方針を確認した。四者会合は四月十三日に再稼働方針を決め、福井県などの理解を求め始めて以来初。この日、政府として関西広域連合が再稼働を容認したと断定し、最終判断の手続きへ走り出した。 関係3閣僚と会合首相は会合で、関西広域連合が再稼働に関し、条件付きで政府に委ねる声明を発表したことについて「関係自治体の一定の理解が得られつつある」と強調。「夏の電力確保だけでなく、経済の安定と発展のため原発は引き続き重要だ。立地自治体の理解が得られれば、最終的に首相の責任で(再稼働を)判断したい」と述べた。 会合では、細野豪志原発事故担当相が三十日、鳥取県での広域連合の会合で、原子力の安全規制を一元的に担う原子力規制庁設置までの暫定的な安全確保策として、経済産業省の副大臣ら政務三役が現地で常時監視する体制を構築する案を示したことなどを報告。広域連合側は松井一郎大阪府知事らが「安全基準が万全でないのに再稼働を決めるのか」と反発したが「理解は得られた」(藤村修官房長官)と判断した。 政府が再稼働を焦るのは「大飯の原子炉二基をフル稼働させるには六週間必要」(首相周辺)で、夏の電力需給がピークを迎える七月中旬に間に合わせるため、一日でも早く動かしたいからだ。 細野氏が広域連合で二回にわたって説明したり、国会で二十九日から原子力規制庁の設置関連法案の審議が始まった「実績」で条件が整ってきたと受け止めている。 ただ、広域連合などが指摘してきた安全基準が暫定的という問題は残ったまま。規制庁法案の審議が始まったとはいえ、法案成立の見通しも立っていない。再稼働の機が熟したとの首相らの姿勢には、民主党内にも少なくない再稼働慎重派から批判が噴出するのは確実だ。 西川知事「安全監視説明聞く」 原発担当相の来県要請関西広域連合が大飯原発3、4号機(おおい町)の再稼働の判断を政府に委ねたことを受け、西川一誠知事は三十日夜、「担当大臣等からこれまでの政府の対応や、規制庁ができるまでの安全監視体制を十分に聞かなければならない」とのコメントを発表。政府に対し、同連合への説得役を務めた細野豪志原発事故担当相を来県させるよう要請した。 細野氏とは西川知事が面談し、県が求めていた大飯原発の運転監視体制をどう強化するのかや、関西地方の説得状況を直接聴き取る。また、同連合は「(大飯原発の再稼働を)限定的なものとして」との条件を付けたことから、「限定的」を国としてどう受け止めたかの説明を受けたい考えだ。 西川知事は「総理大臣が国民に向かって明確な責任ある見解を述べることが重要」とも指摘。福井県で再稼働の議論を進めるために、野田佳彦首相が会見してリーダーシップを示すようあらためて求めた。 一方、おおい町の時岡忍町長は、細野氏が明らかにした大飯原発に経産副大臣などを常駐させる監視態勢案に、「実現すれば、国との連絡態勢などのパイプが太くなる」と歓迎する意向を示した。(尾嶋隆宏、帯田祥尚) 首相の敬意に「ありがたい」 おおい町長政府の四者会合後の会見で、野田佳彦首相が「四十年にわたって原発の安全確保に向き合い、電力の安定供給に貢献してきた立地自治体の福井県とおおい町に最大の敬意を払う」と発言したことに、おおい町の時岡忍町長は三十日、「大変ありがたい言葉」と謝意を示した。 町長は、関西広域連合が大飯3、4号機の再稼働を限定的に認めるとの声明を出したことに「首相は関西圏の理解を得るためにも、最大限の努力をしていただいた」と高く評価した。 PR情報
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