「片山批判」意見広告プロジェクトの主催者を直撃した!

 ネット上で紛糾しているお笑いタレント・河本準一さんの母親による生活保護受給騒動。

 議論の契機になった片山さつき参議院議員に対して、反論の声を挙げるべく「新聞に意見広告を出そう」という動きが浮上し、話題を呼んでいる。

 「Civil Action Japan」(以下CAJ)と名付けられたこの運動の発起人は、以前本誌が報じた「[右翼だって反原発!]その主張を聞いてみた」において、保守の側からの脱原発運動を語ってくれたnoiehoie氏。(記事はこちら⇒ http://nikkan-spa.jp/167718

 CAJ立ち上げのきっかけは同氏が書き込んだ5月27日のツイート、「金さえあったら、新聞に、『片山先生、貴方は間違っています』『河本さんは悪くない』『健康で文化的な最低限の生活とはなんだろう』『制度改正のために、個人を批判する必要はありません』という、意見広告出したろうかなと思う。賛同者いる?」だった。

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このツイートは、賛否双方の側から多数リツイートされた

 フツーの一般人ながら、Twitterでは8000人以上のフォロアーを擁し、反原発運動にも参加、積極的に発言を行なっているnoiehoie氏に、この運動の真意を直撃してみた。

――Twitterで発言されてから、2日も立たずに公式ブログを立ちあげましたが、なぜ突然こうした運動を立ち上げたんでしょうか?

「以前から自民党が生活保護政策に手を付けたがっていることは感じていて、民主党もそれに乗っかってる風潮を危惧していたんです。その中で、河本氏について片山議員が発言した。僕は“このテで来たか”と思いました。僕がこの問題で危惧しているのは大きく言えば2つです。

 一つは、財政再建において“弱者から削られる”ことは圧倒的におかしいということ。僕は反原発運動にもコミットしていますが、よく“原発止まると弱者が死ぬ”と言われる。でも、そもそも弱者が死なない社会の仕組みを作ることを看過してることが一番の問題でしょう。今の片山議員や自民党、あるいはそれに乗った民主党の動きは、明らかに社会保障を削減する動き。生活保護基準の見直しの次は、介護保険に手を付けてきますよ。財政再建のために弱者から削られるのはあってはならない。

 原発止まっても弱者が死なない社会を作ることをせずに、「原発止まれば弱者が死ぬ」ってそりゃおかしいし、順番が違うでしょう。河本叩いても生活保護制度の運用が改善されるわけじゃないでしょう。

 確かに、生活保護制度をはじめとする社会福祉の制度には不備があるでしょう。しかし、その制度上の不備や運用上の不備は、あくまでも、一般市民の目線に立ち、民生委員やケースワーカーの現場の意見を聞きつつ、行政の仕組みや制度自体を見なおしていくという、冷静な論調でなされるべきではあって、芸能人とはいえ一般人のプライバシーを暴き、晒すことで行われるべきではありません。

 2つめは、民主主義の問題です。国会議員が議場の中から外の一般人を名指しで批判する。これほどおかしいことはない。一般市民が国会議員を批判するのは主権在民の国なので当然のこと。その逆はあってはならないことです。さらに、生活保護制度についてもシステム構築は霞が関や永田町の仕組みかもしれませんが、誰に支給するかなど実際の運用については地方自治体の仕事。国会議員が口を出す話じゃない。特に片山議員は小泉内閣で経済産業大臣政務官をやったとき、“司司(つかさつかさ)”という言葉を好んで用いていました。各省庁の各レイヤーできちんと対応するから問題ないというようなことを言っていた方です。そしてそれは正しい意見です。しかしその彼女が自らの言葉を反することをしているんです。

 僕は何も片山さつき議員のパーソナリティを批判したいのではない。彼女が採用した「制度改正を大義名分に個人を血祭りに上げる」という下衆い手法を批判したいんです。そのために、可及的すみやかに国民の間でこういう声があることをわからせる必要があると思って、Twitterで発言し始めたんです」

――ネット上では運動に本名を出してないことなどから、詐欺ではないかと不信を抱く人もいるようだが。

「これは私の本名とハンドルネーム、どちらが知られているかということになります。私の本名を出したところで、“お前誰?”となるでしょう。noiehoieという名前で、反原発デモや経産省前や首相官邸前の演説などでも発言し、顔を晒しています。いま準備中の趣意書が掲載されたのとは別の公式サイトでは事務局の連絡先なども明記しています。また、振り込まれたお金については、通帳などを開示し、透明性を持つのは当然です。さらに、このお金については全額当初の目的である広告掲載に使い、それ以外の公式サイト用レンタルサーバー費用や、この運動に関わる経費については僕の持ち出しでやるつもりです」

―― 一議員を名指しで批判する広告だと新聞社も拒否する可能性もあると思うが、その場合はどうするのか?

「それは極力避けたいと思っています。趣意書にも書いたように、広告掲載の経費が集まった金額より安く済んだ場合は、残余金の全額を社会福祉協議会に寄付することを考えています。また、片山議員がオールドメディアを利用してネットメディアにも声を広げるという手法を使ってきたなら、僕は逆にネットメディアからの動きでオールドメディアを動かして、広告以外でもみんなの良識が表明できる場を得るべく動いて行きたいと考えています。

 僕はこのCAJの動きを通じて言いたいことを趣意書にも書きました。

“誰かの不幸を指さし・誰かを不幸にすることで初めて自分の幸せを感じさせるようなやり方がまかり通るような社会でいいのだろうか?”、そして“このようなやり方で、本当に必要な議論ができるのだろうか?” さらに、“このような議論の進み方が、本当の民主主義なのでしょうか?”と」

 驚いたことに、noiehoie氏の元には受付開始から1日半で1,947,453円(本人ツイートより)集まっているという。

冷静に考えれば、いくらnoiehoie氏のハンドルネームが、ネット上では本名以上に知られた存在で、デモやイベントで顔を出しているとはいえ、素性についてはほとんど知られていないわけで、詐欺と疑う声が挙がるのも不思議ではない。そんな中で、この支持者の数や勢いは驚くべき数字である。

  無論、賛同の声も集まる一方で、こうしたやり方を疑問視する声、反論の声も数多く挙がっている。そして、誹謗中傷に近い声もあるという。noiehoie氏は、こうした疑問や問題をどう乗り越えるのだろうか。

  ソーシャル時代になり、さまざまな市民デモなどが行われるようになり、時代は変わりつつあることを実感する。そんな中で、noiehoie氏の起こしたこの動きは、どのような役割を果たすのか? 今後の行方が注目される。

●Civil Action Japan公式サイト http://www.civilactionjapan.org/

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