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文教委員会(平成23年5月〜)

平成23年7月8日

【渡会克明委員】
 始めに、県立高校の入試制度の見直しについて伺う。複合選抜制度を採っているのは全国でも愛知県だけであり、23年間続いている。自信を持っている入試制度だと思うが、他の都道府県の現状を伺う。

【高等学校教育課長】
 複合選抜制度は他県に類を見ず、この形で実施しているところは本県だけである。各県色々な制度があり一口では言い難い。例えば推薦入学を実施している中でも、全部の学校で実施している県もあれば、一部の学校でしか実施していない県もある。それを前提に言うと、文部科学省に報告されているところでは、推薦入学を実施していない県は18となっている。また、一般の学力検査を中心とした選抜は当然全都道府県で実施されているが、愛知県の全日制課程の場合は推薦入学がまずあり、その後、各学校が一般の入学試験を実施する。その上で定員に満たなければ二次募集を行うという形で行っているが、そうではなくて、例えば全日制課程の定員の一部の選抜を推薦入学ではなく前期選抜という名称で実施しているところもある。前期後期選抜は14県で実施されていると文部科学省に報告されている。そのように、各県さまざまな形で行われているという状況である。

【渡会克明委員】
 各県がそれぞれ工夫をしており、一番良い方法を模索していると思う。皆さんも自信を持ってやっていると思うが、そういう中で、他の都道府県の制度で参考になり得ると思うものがあれば教えてほしい。なければ、東京都の例を教えてほしい。

【高等学校教育課長】
 愛知県の入学者選抜制度については、推薦入学が全校全学科であり、その後、一般入学で2校に出願ができる。更に全日制で定員に満たない学校、学科では二次募集を実施している。こういう形で行っているところは他県にはなく、かなり良い制度ではないかと自負している。学校の入学者選抜制度は完ぺきという形にはなかなかならず、常に改善を必要とするものであるので、毎年度改善を加えながら行っている。東京都では、推薦入学については、ほぼ全ての学校で行っており、前期選抜、後期選抜と二次選抜という形で行っており、実施回数は愛知県とよく似たものとなっている。

【渡会克明委員】
入学者選抜制度については、そういう見直しを少しずつしている。回数については、愛知県は4回受験でき、選択肢が広い。それを聞くだけだと東京と似ているという気がするが、多分全然違うのであろう。そこで、現在実施している複合選抜の一番のメリットと課題を伺う。

【高等学校教育課長】
 推薦入学を全校全学科で実施しているということは、学力選抜だけに偏らない選抜につながる。人物について、学力だけではなく、他の観点からも見ることができる。これは一つの大きな特徴である。それから、一般入学において2校に出願ができる。1校だけにしか出願できないとなると、安全も考えながら出願せざるを得ないということがあり、2校に出願ができることにより、生徒が本当に入りたい学校を受験できるようになる。これも特徴であると思っている。その一方で、課題としては、選抜をたくさん行うと、入試の期間がある程度必要になる。他府県の入学者選抜の期間に比べてそれほど長いわけではないが、中学生にとっては入学者選抜そのものが精神的な負担になるので、そのことは課題の一つであると考えている。ただ、実際には改善が難しい点ではある。

【渡会克明委員】
 平成元年度に複合選抜制度を導入した当時とは環境が変わった。例えば、少子化の問題もあるし、交通網も当時とは随分変わったと思う。また、時の政府の施策による授業料の無償化や生徒・保護者の価値観の多様化等さまざまな変化があった。複合選抜制度は学校間格差の解消を目的に導入したと思うが、現段階でそういうことを指摘する県民の声は収まっているのか。

【高等学校教育課長】
 複合選抜制度が始まったのは平成元年度であるが、その後、委員指摘のような社会事情の変化がある中で、いくつかの課題が生じてきている。それを指摘する声が平成10年あたりから教育委員会によく聞こえてくるようになった。制度の根幹の部分は、学校を群・グループに分けているところにあり、そのことについて協議する、「愛知県公立高等学校入学者選抜における群及びグループのあり方に関する懇談会」を平成16年から平成17年にかけて開催して、その協議のまとめを踏まえて、平成19年度入学者選抜から群・グループ分け等の改善を行った。改善の内容については、群・グループ分けを一部変更したほか、1・2群共通校を設置した。更に、尾張学区と三河学区の境界にある調整区域についても少し変更をした。そういう改善を行った結果と考えているが、この複合選抜制度の特徴である2校志願率について、かつては80パーセント台だったものが改善前には70パーセント台にまで下がっていたが、平成19年度からは80パーセント台を回復して、この5年間は80パーセント台を維持している。そういった改善の成果もあり、更なる改善を求める大きな声は聞こえていないが、平成19年度の改善から5年が経過したので、今年度、改めて当該改善に係る成果と課題について、中学校や高等学校等から意見を聞いて、検証を進めているところである。

【渡会克明委員】
環境や状況が変わってきて、子どもや親も本当に自由な選択を求めてくるようになった。そのことを踏まえて、検討していただきたい。小中学校はともかく、高等学校はどこに入学してもよいのではないか。豊橋市の生徒だからといって豊橋市の高校でなくてもよいが、岡崎市までは行けても名古屋市までは行けない。進学率も含めて、全て丸く収めたいがためにこのような制度にしているのならば、議論していただきたい。総合技術高等学校は素晴らしい学校だが、どういう位置付けで、入試はどうなるのか。

【高等学校教育課長】
 総合技術高等学校は設置前の段階であり、もう少し設置時期に近づいた時点で入試について検討していくことになる。

【渡会克明委員】
 豊橋からも受験ができるとよいが。

【高等学校教育課長】
 普通科には尾張・三河の学区があるが、普通科を除く専門学科、総合学科については全県1学区である。総合技術高等学校は普通科ではないので、全県1学区になるということはまず間違いない。

【渡会克明委員】
専門学科はどこからでも受験できるが普通科は違うということが理解できない。教育委員長に聞くが、個人の所感でよいが、私の言っていることは的外れで見直しに値しないことか。

【教育委員長】
 個人的な考えだが、私はどんな制度でも随時見直しが必要だと思っている。その制度が作られたときには、検討の結果、最善だとして結論を出したと思うが、改善が必要ならば、さまざまな意見を聞いて改善に向けて検討する。そういう姿勢だけは持ち続けていきたいと思っている。

【渡会克明委員】
 今の答弁にあるような姿勢がこの独特の複合選抜を維持している愛知県の原動力になればよいと思っている。子ども本位に考えてほしい。そのためにどうすればいいかということをしっかりと考え、改善を検討してほしい。そのときは、できればいろいろな層の人を入れて検討してほしい。それを要望する。
次に、公立学校施設の防災機能の向上について、文部科学省の専門家の会議が学校を地域の防災拠点と位置付けて、国が支援すべきだという緊急提言を出した。県立学校の現在の耐震化の進捗状況を伺う。

【財務施設課主幹(計画・整備)】
 県立学校の耐震化について、大地震により倒壊または崩壊の危険性が高いCランクの建物については平成18年度までに完了している。現在は次のレベルで危険性のあるBランクの建物の耐震化を進めているところであり、平成23年4月1日現在での県立高校の耐震化進捗率は68.8パーセント、特別支援学校が97.7パーセント、全体では73.4パーセントとなっている。

【渡会克明委員】
 災害が起きた場合、小中学校が避難所に指定され、地域の拠点になると思う。県立学校も当然そういう場所になると思う。そこで伺うが、避難所として指定されている学校はどれぐらいあるか。

【財務施設課主幹(計画・整備)】
 県立学校で市町村の避難所として指定されている学校数は、建物が指定されている高校が96校、特別支援学校が9校で合わせて105校である。グラウンドのみが指定されている高校12校を加えると、全体で117校である。そのほか、備蓄倉庫が53校、防災無線局が49校で、うち避難所指定が42校ある。また、防火水槽や防災トイレ等の防災関連機器が配置されている学校が26校で、うち避難所指定が21校である。なお、県立学校数は高等学校が149校、特別支援学校が25校である。

【渡会克明委員】
 小中学校に比べれば少ない数ではあるが、避難所にも指定されているということで感謝したい。災害があれば避難所に指定されていない学校にも県民が逃げてくると思う。例えば、豊橋西高校は避難所に指定されていないが、小坂井高校は指定されている。豊橋の標高図によると、小坂井高校も豊橋西高校も標高2メートル以下である。御津や蒲郡は地盤がしっかりしているから液状化しないが、この豊橋海岸は実は危ない。建設部に話を聞くと、液状化すると5メートルは地盤が沈むという。現在、堤防が5.9メートルであり、5メートル沈むと90センチメートルしかなく、間違いなく水が来る。そうすると避難所に指定されていない豊橋西高校にも避難者が一気に押し寄せることになると思うが、このことについてどのように認識しているか。

【総務課主幹(総務・広報)】
 実際に災害が起きれば、学校近くの住民は近くの公的施設あるいは学校へ避難すると承知をしている。

【渡会克明委員】
避難所指定は市町村が行うわけだが、例えば、マニュアル作成などの防災対策は全部市町村が実施するのか。どこが作成したマニュアルに従ってどのように行動するのか。それを教えてほしい。

【総務課主幹(総務・広報)】
 委員指摘のように、どこの学校も災害時には避難所となる可能性がある。そうした緊急時に備えて、県教育委員会では、各県立学校の地震対策マニュアルの作成指針として、「地震・防災の手引き」を作成しており、学校の避難所としての対策計画についても各学校に周知をしている。この手引の中で、避難所として指定されている、あるいは指定されていないにもかかわらず地域の被災者が避難することにより避難所となる場合に備えた学校施設の利用計画、また、被災者の自治活動を支援する避難所運営マニュアルをあらかじめ備えておくように指導している。したがって、この手引に沿って、各学校では避難所としてのマニュアルを実情に応じた形で作成しているという状況である。

【渡会克明委員】
 今の答弁は県教育委員会の指示のもとで、各学校が独自にマニュアルを作成しているということでよいか。

【総務課主幹(総務・広報)】
 先ほどの答弁は、学校は学校としての責任によりマニュアルを作成しているということである。災害が発生した場合、各市町村の地域防災計画というものがあるので、学校と市町村が連携して適切な対応をしていくことが重要であると考えている。

【渡会克明委員】
 ちょっと歯切れが悪い。県教育委員会の主導性と校長の采配でしっかりと県民の命を守るということを徹底してもらいたい。避難所に指定されると、市職員など一般行政職員が来て、教職員が手伝うという形になると思うが、避難所でない場合は教職員が被災者の世話をすることになる。そうなると、学校での業務とは違う仕事を地方公務員として当然に強いられる。特別支援学校でも避難所に指定されているところがあったが、ここは特別支援学校だから避難してもらっては困るなどとは言えない。子どもを抱えながら県民の命を守らなければならない。実際に動いてくれた人の処遇をどのように考えているか。

【教職員課主幹(給与)】
 そのような業務に従事した職員には、特殊勤務手当として1日6,400円を支給するという規定がある。

【渡会克明委員】
 国も含めて考えなければならないことだろうと思うが、金銭的なこと以外についても考えていただきたい。 現在、国土交通省からの補助金を使って校舎の耐震化を進めているが、学校施設の防災対策には、文部科学省、国土交通省、消防庁等いろいろな省庁からの補助金を利用できると思うが、どのような補助金を活用しているか。

【財務施設課主幹(計画・整備)】
 学校は文部科学省の所管であり、他省庁の補助金を財源として活用することは制度上ない。ただし、平成21年度は地域活性化交付金の経済危機対策臨時交付金、平成22年度は地域活性化交付金のきめ細かな交付金が内閣府で補正予算措置されたことから、地方での裁量度が高いこの交付金の一部を財源として県立学校の耐震化を進めてきたところである。

【渡会克明委員】
 他省庁の補助金は余り使われていないようだ。これは愛知県だけではなく、私が調べたら他の県も余り使っていない。しかし、例えば、トイレの改修は文部科学省から、トイレ・シャワーの設置は防災対策事業費として消防庁から補助金が出る。それから、NHKでも取り上げられた、マンホールをトイレにするというものがあるが、そういうものを学校の避難所に設置しようとすると国土交通省からの補助金がある。このように避難所に指定されているところもそうでないところも、県と市町で連携して、どういう補助金でどうやって学校が改善できるかということを考えてほしい。なぜ文部科学省の補助金だけをあてにしているのか。避難所の整備などにおいては文部科学省以外からの補助金がたくさんあるので、それをリストアップしてもらいたい。市町村などと連携をとって、絶対やるべきだと思う。そのことで何か答弁があるか。

【財務施設課長】
 昨日、国が今回の震災を受けた緊急提言を出している。まず、施設の耐震化を図るということが挙げられ、また、学校を避難所として機能させて使う場合の色々な事例を示し、被災後経過した期間に応じて学校がどういった設備や機能を持つべきかということをリストアップして紹介している。そういったことを踏まえつつ今後の学校施設の整備を進めていく必要があると思うが、その提言の中にも、防災担当部局と連携して、役割分担やあるべき姿を明確にした上、それぞれが役割を果たしていくべきだということが挙げられているので、今後、市町村がハザードマップを作成する際などに、そういったことや緊急提言で紹介された内容と照らし合わせた上で、防災対策を図っていく必要があると思っている。

【渡会克明委員】
 私が言いたいことは、既にそのような制度を使って事業をしている例があるので、その勉強をしてほしいということである。利用できるのは文部科学省からの補助金だけではない。金がないのだから、そういう工夫をしなくてはならない。
最後に聞くが、災害時に学校を頼りに避難して来る人が大勢いる。その命を守るために、今後どのような取組をしていくのか。

【総務課長】
 今回の東日本大震災に際して、市町村との連携が県立学校に欠けており、それが最も大きな反省点であることが分かった。早速、市町村の防災部局との協議の場を設けるように各県立学校に指示をして、実際に動き始めている。これを第一歩として、より実践的な避難対策がとれるように検討していきたい。

【渡会克明委員】
 小中学校は災害があった時に要になる。そのためにしっかりと市町村と連携をとり、どのような役割を担えるかということをはっきりさせ、また、県立学校が率先して災害に対して取り組んでいるということを県民に見せていただきたい。



平成23年10月5日

【渡会克明委員】
 県教育委員会は「地震・防災の手引き」を作成しており、それに基づいて県立高校はマニュアルを作成している。この地域にマグニチュード9.0の三連動の地震が発生した場合、大変大きな津波が襲ってくると新聞報道があった。これまでの想定であったマグニチュード8.7で、今まで大丈夫とされていた避難所は9.0では浸水することになってしまう。市町村では急ピッチで様々見直しをしていると聞いている。県立高校も今後避難所指定されることもあると思うが、教育委員会として子どもを守るということからマニュアルをしっかりと作成しておく必要がある。現マニュアルの見直しの状況といつまでに見直しを行うのか伺う。

【総務課主幹(総務・広報)】
 県教育委員会では、大規模地震の発生に備え、各県立学校の地震対策マニュアルの作成指針として、「地震・防災の手引き」を作成し、学校の防災体制、地震発生時の対応、防災教育、避難所運営などについて、各学校へ周知している。しかしながら、今回の震災において津波による甚大な被害があったが、現手引きでは津波対策が不十分であるため、現在、手引きの改訂にむけて作業を進めているところである。また、これまでの県立学校の地震防災対策については、市町村との連携や協力体制が不十分であったので、各学校においては市町村の防災担当部局と協議の場を設け、それぞれの学校におかれた防災対策の課題や問題点について、対策の協議・検討を進めている。これらの課題や問題点を整理し、年度内を目途に手引きの改訂を行い、各学校に対策の周知を図ってまいりたい。なお、県の防災局では愛知県地域防災計画について、東日本大震災の課題を踏まえて、まずは早急に対応できる項目の修正を本年度内に行い、震災での検証を受けた修正を24年6月までに、また新たな被害予測を受けた抜本的な見直しを25年6月に行う予定であることから、教育委員会としても計画の修正にあわせて随時手引き等の改訂を行っていきたい。

【渡会克明委員】
 あいちの教育に関するアクションプランUから、安全教育推進について防災教育の考え方、取組の状況について伺う。

【健康学習課主幹(振興・安全)】
 児童生徒が自らの命を守るため、状況に応じて危険を予測したり、回避する能力を高めるような防災教育が重要であると考えている。各学校においては、特別活動の時間などの中で、不測の事態に対応できるよう年間複数回の防災訓練を実施している。中には自ら考え判断力を養うために避難訓練を予告せずに行っている学校もある。自らの力で災害に対応できる力を身につけ、学校や地域の防災リーダーとなる人材を育成するために、昨年度から、県教育委員会と名古屋大学と連携して県内の高校生を対象に「高校生防災セミナー」を実施している。また、小中学校の防災担当教員を対象として、防災教育の専門家を招いた研修会を11月に開催し、より実践的な防災教育の在り方について指導するとともに、被災地支援で活動するNPO法人から支援の在り方について講演をしていただくよう予定している。さらに、今回の大震災を踏まえたリーフレットを作成し、小学校1年生から高校3年生までの全児童生徒に配布し、家庭を含めて防災意識をより一層高めるよう働きかけていきたい。

【渡会克明委員】
 教員については、「現場を踏む」ということが重要であると思うが、被災地への教員の派遣に係る自治体間での協定は可能なのか伺う。

【教職員課長】
 県レベルではそれぞれ協定を持っているところもあると聞いているが、詳細については不明である。しかしながら教育委員会レベルでの協定は現段階ではない。教員が現地でいろいろな経験をしてくることは重要であると考えているが、県から派遣するとなると相手側の受入態勢もあるので、国や他県の動向などを見ながら検討していきたい。

【渡会克明委員】
 教職員の確保と資質の向上について、教育委員会が考える「優秀な教員」とは何か。

【教職員課長】
 県教育委員会では、優秀教員の表彰を行っている。その表彰基準で言えば、
 ・創意工夫ある教育活動で顕著な成績をあげた者
 ・教員としての使命感をもって教育活動の改善に取り組み、信頼が厚い者
 ・地道な教育活動を継続して行い、他の模範となる者
 などを優秀教員として表彰している。

【渡会克明委員】
 教員として採用された後の指導・育成体制はどのようになっているのか伺う。

【教職員課長】
 学校には若い活力ある教員と、経験豊な教員がバランスよく配置されていることが大切であり、ベテラン教員が若く経験の浅い教員に対して適切な指導を行うことが重要であると考えている。近年の大量退職により、ベテラン教員の知識・技能の伝承等が十分になされていないとの意見も聞くが、新任教員に対する教育や研修については、採用後1年間を通じて行われる「初任者研修」のなかで総合教育センター等で行われる校外での研修とは別に、校内においてもベテランの指導教員が学級経営、教科指導、生徒指導、進路指導等について指導を行っている。  なお、新規採用者が増加する中で、指導するベテラン教員の負担が増加している。このため、再任用制度を活用し、新規採用者の指導員とするなどして退職した教員の豊富な能力・知識・経験を活用している。こうした初任者研修を始め、5年経験者研修、10年経験者研修などの折にも教科指導だけでなく、教員として子どもたちや保護者から信頼されるためにはどうあるべきかなど、教職員のライフステージにあった段階的な研修を実施し、教育の専門職として資質能力の向上に努めている。

【渡会克明委員】
 優秀な教員の確保について、これまでどのように取り組み、今度どう捉えていくのか伺う。

【教職員課長】
 従来から各種特別選考等を導入しており、まずはたくさんの方に受験していただきたいということですすめてきた。今後ともより多くの方に受験していただくように受験説明会や大学説明会を充実していき、その中から本県、子どもたち、学校現場が望む教員を選考していきたい。「公立学校教員採用選考試験選考会議」において、教育現場が求める教員が採用できるよう選考方法の工夫・改善に引き続き努めてまいりたい。

【渡会克明委員】
 開かれた学校づくりについて、学校評価制度とはどのような制度か。

【高等学校教育課長】
 学校の教育活動やその他の学校運営の状況について、各学校がその実情に応じて具体的な努力目標や基準を明らかにした上で、計画的に点検・評価を行うことで、学校の教育計画や教育活動の改善・充実・発展を絶えず図っていくことを目指したものである。各学校は、評価の結果を公表し、教育活動の成果や課題について、保護者や地域の人々に対して積極的に情報提供することで、説明責任を果たすことにもなっている。各学校が自ら行う「自己評価」、学校関係者を交えて行う「学校関係者評価」、専門家を交えて行う「第三者評価」がある。

【渡会克明委員】
 学校関係者とは具体的にはどういった者か。

【高等学校教育課長】
 保護者、PTA、地域の方など学校にかかわりのある者が中心であり、自治会の方、地域の中学校、教育施設の方などが多い。

【渡会克明委員】
 学校評価での意見でどういったものがあり参考になったか。

【高等学校教育課長】
毎年目標を定め現状を示すことで学校の努力に対し評価してもらうこともあるが、そういった評価できる部分をもっと広く知らしめる手立てを高じてくださいなど、また、高校と大学との関係がさらに密になるよう具体的事例を提案していただいたりしている。具体的な指摘を受け次の年に改善している。

【渡会克明委員】
 学校や生徒のためには良かれということが本来の学校評価制度と考えるが、第三者評価について、仕組みと今後について伺う。

【高等学校教育課長】
 文部科学省は平成22年度に「学校評価ガイドライン」を改訂する形で、第三者評価の実施体制の一つとして「学校関係者評価の評価者の中に学校運営に関する外部の専門家を加えるなどして、学校関係者評価と第三者評価の両方の性格を併せ持つ評価を行う」と例示している。愛知県では特別支援学校を含む全ての県立学校で、平成22年度から学校関係者評価を実施しており、学校関係者評価委員会のメンバーを選ぶ際には、保護者の代表の他に、「地域との連携の観点」と「専門的な助言や進路とのつながりの観点」の両面から委員を選ぶという考えを示しており、具体的には、前者では地域の町内会等の代表者や卒業生、中学校の教職員などが考えられ、後者では、大学などの研究者、企業や社会福祉施設等の関係者など、学校運営について専門的、客観的な視点から評価が可能な立場の者を選ぶことが考えを示しており、各学校では地域や学校の実情に応じて委員を選んでいる。今後も学校関係者評価委員の中に第三者評価を組み込むことも例示の一つとして、学校運営や教育活動を客観的に評価、助言ができる者を積極的に加えることで、学校関係者評価の充実を努めてまいりたい。

【渡会克明委員】
 小・中学校についても同じか。

【義務教育課長】
 小・中学校についてもほぼ同様の形で行っている。小・中学校については、学校と設置者である市町村教育委員会が主体的に学校評価を進めていくことが基本であるが、県教育委員会としては「学校評価ガイドライン」の内容を紹介し、先進的な取組の工夫や成果、課題などを伝えるとともに、学校関係者評価に専門的な方を入れ、客観的な評価を入れる工夫をしていただくよう助言してまいりたい。

【渡会克明委員】
 特別支援学校はいかがか。

【特別支援教育課長】
 同様である。

【渡会克明委員】
 家庭・地域との協働でなければ子どもは育てられないということであるので、是非ともしっかりとした情報発信をお願いしたい。








安心・安全対策特別委員会(平成23年5月〜)


平成23年8月30日

【渡会克明委員】
 私立高等学校等施設高機能化整備費はどういう内容の事業なのか。今年度、私学でこれを適用する学校はあるのか。

【私学振興室主幹(助成)】
 現在申請している段階で、まだ内定前だが、現時点では該当校が数校ある。高等学校が2校と幼稚園が複数園ある。事業内容は、耐震補強と耐震改修である。

【渡会克明委員】
 高機能化整備という事業名でも、普通の耐震改修ということか。

【私学振興室主幹(助成)】
 国庫補助の申請内容には変更はないので、従前からの項目である。学校の事業計画に基づき耐震改修等について計画が出ている状況である。

【渡会克明委員】
 県立高校には文部科学省におけるこのような補助制度はないのか。文部科学省でなければ、他の省庁で同制度はあるか。

【財務施設課長】
 県立高校にはこのような助成制度はない。ただし、かつて国が緊急対策的に補正予算措置をした時に、県立学校が対象になったことはある。

【渡会克明委員】
 文部科学省は私学に手厚い制度を設けていると考えていいのか。

【私学振興室主幹(助成)】
 文部科学省は、一条校について耐震化に対する補助制度を設けている。その制度に乗っかる形で、施設設備整備費の貸付けという形で上乗せ補助ないしは補助率2分の1以内になるように補助をしてきた。

【渡会克明委員】
 一条校というのは、県立高校も一条校なのか。

【財務施設課長】
 県立高校も一条校である。

【渡会克明委員】
 同じ制度があって、私学は使っているのに、県立高校は使わないのか。

【財務施設課長】
 私学振興室が説明した制度は、公立学校は対象ではなく、私立学校固有の制度で、県立学校は使うことはできない。

【渡会克明委員】
 県立学校の耐震改修において、例えば体育館を改修するとした場合、どのように直すのか。

【財務施設課長】
 まずは発災した際に崩れ落ちないように、筋交いを入れるなどの本体構造部分の補強工事を行う。

【渡会克明委員】
 古いバスケットゴール、観覧席の手すり、窓ガラスなどは改修の対象ではないのか。

【財務施設課長】
 窓ガラス、バスケットゴール等のいわゆる非構造部分にも耐震対策をとるべきだと思っているが、まずは本体構造部分が崩れ落ちることがないように、優先して実施していく必要があると考えている。今回の東日本大震災の被害状況により、非構造部分についても目を向けていく必要があるという教訓を得た。今後は非構造部分にも目を向けていきたいと思っている。

【渡会克明委員】
 崩れ落ちないように改修することは分かるが、授業をすることを考えれば、それだけの措置で十分なのか。

【財務施設課長】
 今回の地震を受けて、国でも今後の施設整備の方針等をまとめている。その中でも非構造部分に目を向けて欲しいということが初めて提案されている。今後は非構造部分の補強に取り組んでいくため来年度予算を考えていきたい。

【渡会克明委員】
 国にも、他部局にも働きかけをお願いしたい。




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