そこで韓国がロシアを排除し、独自開発に乗り出すと、ロシアは地上燃焼試験場の使用を拒んだ。航宇研のある関係者は「地上燃焼試験場は、金さえ出せばいつでも使用できたのに、後継ロケットの開発事業にロシアが参加できなくなったため、燃焼試験場を使わせてもらえなくなったと聞いている」と語った。
ロケットエンジンを一つ開発するためには、2万秒以上の地上燃焼試験を行わなければならない。ロシアのフルニチェフ社は、羅老号の1段目ロケットエンジンについて、計120回、2万6892秒の燃焼試験を行った。それにもかかわらず羅老号は、2010年の2回目の打ち上げに失敗した。
韓国が宇宙ロケット開発に乗り出してから15年が過ぎた今でも、韓国国内には大型ロケットエンジン用の地上燃焼試験場がない。推力10トン級の小型エンジンの燃焼試験場があるだけ(のみ)だ。韓国型ロケットに搭載される推力75トン級エンジンの試作品も、出力を大幅に減少させて試験を行わなければならない。
趙辰洙(チョ・ジンス)漢陽大学教授(機械工学)は「最初から独自開発を進めていれば、当然、韓国国内に燃焼試験場を建設していただろう」と語った。別のロケット専門家は「ロシアが立場を変えたことで、数年が無駄になった」と語った。
航宇研は、15年までに3700億ウォン(約248億円)を投じ、羅老宇宙センターに地上燃焼試験場を建設する計画を打ち立てた。しかし、予算が確保できず、足踏み状態のままだ。今年10月に予定されている羅老号の3回目の打ち上げにも失敗した場合、ロケット開発に対する懐疑論が噴出しかねない。