箱根への小旅行(72)
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再び大観山レストハウスの駐車場に車を停め、今度はAさんと一緒に現場である椿ラインの右コーナーまで降りてみました。 「ここが現場だったんですね。」 改めて場所の解説をするならば、写真正面に見えるのは、大観山レストハウス西側に位置する大観山の山頂。 そして、この地点からだと右手の土手に遮られて見えませんが、土手の上には大観山レストハウスがあり、正面のコーナーを抜けた先では、進行方向向かって右側から、ターンパイク箱根小田原本線が椿ラインとT字に交叉しているということになります。 撮影地点 「前のコーナーからここまでは、結構長い直線だったんだなあ…。」 事故現場に立った弟は、誰に言うとでもなくぽつりと言いました。 私たち兄弟と一緒に事故現場のコーナーに佇んだAさん、周囲の状況を見回しながら、遠い過去の記憶を少しずつ手繰るようにして当時の状況を語り始めます。 「トラックは…そこの道路のあっちの方から出て来たんですよ。」 Aさんは、ターンパイク箱根小田原本線の、小田原方面から椿ラインと交叉する地点までをゆっくりと指差しながら言いました。 「ふと気付いたら、もうすぐそこにトラックがいるんですよ。誰もまさかそんなところからひょっこりトラックが出て来る、なんて思ってないですからね…。撮影隊のみんなが、『あれ?あれ?』って言ってるうちにコースに入って来て、誰も何もできないままライダーとぶつかってしまったんです。突然のことでしたから、誰もトラックを制止している暇なんて、ありゃしませんでした。」 「ちょうど秋ちゃんがね、最後のカーブで先頭を走っている車を追い抜いたところでした。カーブを抜けた途端に目の前にトラックが突然表れたんですよ。どうしようもなかったですね。そのまま秋ちゃんは正面からトラックにぶつかってしまいました。いや、他のライダーだって危なかったんですよ。『うわーっ、何だ、何だ!』っていうんで、みんなてんでバラバラにあっちこっちへ逃げて…。まあ、無事だったから良かったけどね。秋ちゃんのすぐ後ろを走っていたライダーなんか、トラックの目の前でやっとの事で止まったんですから…。」 「…その後は何がどうしたのか、まあ、覚えちゃいませんね。みんなして秋ちゃんを助け出して、病院へ運んで…。」 ここで私は、Aさんにこの足掛け3年に及ぶ小旅行の核心ともいうべき部分について、質問を投げかけてみました。 「その時、父もその場にいたのでしょうか?」 この私の問いに、Aさんは首を傾げながら答えました。 「うーん、フクちゃんねえ…。さあ、どうだったかねえ。いたかもしれないし、いなかったかも知れないし…。どうだったかねえ…?」 Aさん、残念ながら、この一連の記事になるまでに至る「その時親父がそこにいたかどうか」という疑問点については、よく覚えていらっしゃらないご様子でした。 そこで、私は 「これをご覧頂けますか?」 そう言って写真を一枚取り出しました。 プロジェクトXのワンシーンで紹介された、レースシーンのスタート前らしき写真です。 当日、私はAさんにお話を伺うつもりで、これまでこのブログで使用してきた写真を、いくつか持参して来ていました。 私はこの写真がNHKのプロジェクトXの映像をキャプチャしたものであることを説明し、 「これって、多分撮影のスタート前の様子を撮影したものだと思うんですけど、ここに写っている方がどなたなのか、お分かりになりますか?」 そう尋ねてみたのです。
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