箱根への小旅行(70)
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明らかになった事実から私が最初に抱いた疑問点は、「スタート地点はどこだったのか?」についてでした。 妻の勲章のレースシーンの撮影の際、スタート地点で待つスピードクラブの面々への「GO」の合図は、「ゴール地点で待機する撮影隊から旗を振ることで知らされた」という証言があります。 これすなわち、「スタート地点はゴール地点から目視できる位置にあった」ということが示唆されていることになります。 これまでレースコースが大観山へ向かう芦ノ湖側の坂道だったとばかり思っていた私は、大観山を挟んだ反対側、湯河原側の坂道が大観山から見てどう見えるか、に関する検証を一度も行って来ていません。 「確かスタートの合図って、ここから旗を振ったんですよね?ここからスタート地点って見えるんでしょうか?」 Aさんから教えて頂いた事故現場に立ち、大観山のこれまでと反対側、湯河原方面に視野を向けながら私はAさんに問いかけました。 私たちが立っている場所からだと、椿ラインは木々に遮られて全く見えません。 「そうねえ、あの辺からだったら見えるんじゃないかねえ。」 そう言ってAさんが指さしたのは、ここです。 大観山レストハウスの駐車場は、椿ラインへの出入り口付近から駐車場そのものが結構な傾斜のある斜面になっていて、Aさんが指さしたこの付近はその中で一番高さのある地点になっています。 Aさんからそう伺った私はさっそくその地点まで走り、湯河原側の斜面を眺めてみました。 すると、ごく一部ですが、確かに椿ラインが直接見えたと思われる地点があることが分かりました。 これは後日大観山レストハウスの二階部分から撮影したものです。 ここ。 写真の位置関係です。 遠く写真背後に広がっているのは相模灘。 駐車場から見た時には、目前にある杉の立ち樹に視界を遮られ、実際に見えたのはこの写真真ん中に写っているレーダードームだけで、椿ラインの道路を直接目視することはできませんでした。 ただ、今から50年前であればこの杉の立ち樹はもっと丈が低かったはずで、恐らくレーダードーム下を走る椿ラインのコーナーまで見渡せたのではないかと思われます。 (実際に行ってみよう) 確かにコースが目視できたと思われる地点があったことを確認した私は、早速そこまで車を走らせてみよう、と思いました。 急いでコースを目視した地点から戻ると、そこにAさんと弟はいません。 どこへ行ったのか、と辺りを見回すと、Aさんと弟が連れだって、弟が「ここだった」と推理した大観山山頂下の右コーナーまで移動し、何やら会話を交わしているのが目に入りました。 二人のいるところまで走り寄った私は、 「コースの見えるところがありましたよ。そこまで行ってみましょう。」 そう二人を促し、再び車に乗り込んで大観山から湯河原方面へ走り出しました。
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