「人からコンクリートへ」という自民党の姿勢がはっきりしてきた。29日の党政策会議で、衆院選の目玉政策に掲げる「社会保障制度改革基本法案」と「国土強靱(きょうじん)化基本法案」を了承。生活保護を大きく削って社会保障費を抑える半面、公共事業に10年間で200兆円をつぎ込む内容だ。6月中にも両法案を国会に提出する。
社会保障制度改革基本法案は、野田政権の社会保障政策を「バラマキ」と攻撃するための対案だ。「自助」を前面に押し出し、民主党が掲げる「最低保障年金の創設」は採用せず、現行制度の手直しにとどめる方針を明記。1月に209万人を超え、過去最多を更新し続けている生活保護については「不正な手段による保護を受けた者への厳格な対処」などによって、費用を年間2兆7千億円から8千億円減らすとした。
一方、国土強靱化基本法案では公共事業の大幅増を打ち出した。「国土の均衡ある発展」を基本理念として大胆なインフラ整備で大規模災害に備える内容。高速道路や新幹線、港湾の整備、原発の安全確保などの事業を10年間で集中的に進める。