受け入れは東京都だけ 風評被害の拡散阻止が不可欠
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がれき広域処理 政府は住民説明に汗流せ
公明新聞:2011年10月18日付
東日本大震災で発生したがれきの広域処理を進めるため、環境省が全国の自治体を対象に、受け入れ検討状況の再調査に乗り出している。
岩手、宮城、福島の東北3県と沖縄を除く43都道府県の全市町村が対象で、21日までに受け入れが可能かどうかなどを回答してもらうという。
震災から7カ月余り、前回4月の調査からでも既に半年が過ぎている。ここにきて再調査ということ自体、政府の対応の鈍さを物語っている。
後手に回り続ける国の震災対応が、一方で東電福島第1原発事故に伴う風評被害を拡散させ、他方で早期復興の鍵を握るがれき処理の停滞をもたらしていることを、あらためて指摘しておきたい。
今回の震災で、東北3県では推計2300万トンものがれきが発生した。3県の被災市町村が通常出す一般廃棄物の約20年分に相当する。
この膨大ながれきを被災地だけで処理するのは到底不可能だ。約1400万トンのがれきを3年で処理完了させた阪神大震災に倣って、政府が4月、広域処理の方向性を打ち出したのは当然だった。
問題は、政府のこの方針が現実には全く進んでいないことだ。17日現在、東北以外で受け入れを決めているのは東京都だけで、3県のがれきは59%が仮置き場に搬入されたものの、焼却などの処理は手付かず状態にある。
背景に原発事故があることは言うまでもない。4月の調査で受け入れを表明した600余りの自治体も、放射性物質を懸念する声が住民の間に広まったことから、軒並み、受け入れ方針を撤回した。
原発問題が絡む“東北のがれき”を“阪神のがれき”と同一視できないのは、その通りだ。各自治体の住民が、広域処理に「総論賛成・各論反対」を唱えるのもうなずける。
ただ1点、誤解を恐れずに言うなら、汚染レベルが極めて低く、安全性が確認されているがれきまでが拒否される風潮は受け入れ難い。風評被害という“実体なき汚染”が列島を覆っていることを憂慮しないわけにはいかない。
政府の責任は大きい。がれき対策が後手続きな上に、常に説明不足で、かえって住民の不安をあおる結果となってきたからだ。
事は放射能汚染に関わる問題である。数値などの断片情報を一方的に公開するだけで、住民が安心すると思っていたら大間違いだ。専門職員を派遣するなど、政府による十全な説明作業なくして、広域処理の実現はあり得ないことを強調しておきたい。
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