先進国の物価上昇率、マネーより人口増加率と関連強い=日銀総裁

2012年 05月 30日 10:43 JST
 
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[東京 30日 ロイター] 白川方明日銀総裁は30日、日銀金融研究所主催の国際コンファランスであいさつし、先進国では物価上昇率と人口の増加率の相関関係が2000年代に観察されるようになったと指摘した。一方、マネーの増加率と物価上昇率の相関は近年弱まっている、との見方を示した。

白川総裁は、「人口動態の変化に伴う問題は、日本だけでなく、諸外国にとっても今後、重要性を増していく」と述べ、一例として「中国の生産年齢人口の増加率は1990年から減少傾向をたどり、2020年にマイナスになる」との予想を取り上げた。日本については「1990年代以降、物価上昇率と人口変動率の間に正の相関関係が観察される」と指摘した。

日本の人口減少は「今後も継続し、当面経済成長率に下押し圧力を及ぼす」との見方を示し、労働人口の増加や医療・介護など高齢者向けビジネスの拡充、海外需要の取り込みなどが必要と強調した。資本の最適配分により労働生産性を引き上げ、1人当たりの所得水準を上昇させる余地があるとも指摘した。

日本の貿易収支は2011年度に赤字に転落したが、理由は原発事故による化石燃料輸入増など一時的要因だとし、「当分、経常収支の黒字基調に変わりはない」との見方を示した。

(ロイターニュース 竹本能文;編集 佐々木美和)

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5月30日、白川日銀総裁は、先進国では人口増加率と物価上昇率に正の相関が観察されるようになっている一方、マネーの増加率と物価上昇率の相関は近年弱まっている、との見方を示した。写真は都内で1月撮影(2012年 ロイター/Toru Hanai)
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