しかし安全委側は、規制庁発足に伴い組織が廃止されることを理由に、伊方3号機の確認作業を行っておらず、再稼働のプロセスが止まっている。
状況を打破するため、政府・与党は保安院、安全委の機能を一元化する規制庁の早期発足を推進。発足後、伊方3号機に加え、すでにストレステストの結果を国に提出した19基についても速やかに安全確認を行い、再稼働にこぎ着ける考えだ。
ただ、与野党の溝は埋まっていない。政府案は、規制庁を環境省の外局とする政府の関与の強いスキームだが、自公案では政府から独立した「原子力規制委員会」を新設し、規制庁はその事務局とする。意見対立で法案成立が遅れる可能性があるうえ、政府内では「独立性の強い専門家委員会に任せたら、『100%安全ではない』と繰り返すだけで再稼働は前に進まない」(経産省幹部)との懸念も出始めている。(渡部一実)