原子力の安全規制を一元的に担う原子力規制庁の設置関連法案と、自民、公明両党の対案が29日の衆院本会議で審議入りした。野田佳彦首相は「国民の不安に応えるため一日も早く新たな組織の下で規制、防災体制を整えることが急務だ」と述べ、野党に協力を要請した。
自公両党とも新組織の早急な設置が必要との認識では一致しており、修正協議が本格化する。
同庁が発足すれば“足踏み”状態が続いているストレステスト(耐性検査)審査の進展が期待され、国内原発の本格的な再稼働に向けた環境が整う。政府内でも「ようやく動き出した。再稼働が進めば電力需給も楽になる」(経産省幹部)と期待する声が強い。
ただ、規制組織のあり方をめぐる与野党間の意見対立もあり、法案審議が難航する可能性もある。
「一日も早く新たな規制組織を導入できるよう議論を進めて頂きたい」。野田佳彦首相は29日の衆院本会議でこう述べ、法案の早期成立に理解を求めた。
“低姿勢”の背景には、ストレステスト審査の停滞がある。これまでに原子力安全・保安院は、関西電力大飯3、4号機(福井県おおい町)に加え、四国電力伊方3号機(愛媛県伊方町)の安全性を確認し、原子力安全委員会に確認作業を求めてきた。