2030年に目指す国内総発電量に占める原発比率を0〜25%の四つの選択肢に絞った経済産業省総合資源エネルギー調査会の報告書について、福井県敦賀市の河瀬一治市長は29日、「基幹電源として30%ぐらいにしないと国としてやっていけない」と述べた。日本原電敦賀原発3、4号機の増設が必要との考えもあらためて示した。野瀬豊高浜町長も同日の記者会見で「20〜25%が現実的だ」との考えを示した。
市役所で記者団の質問に答えた河瀬市長は「基幹電源として原子力がある程度ないとエネルギーを当面の間しっかりと確保するのは難しい」と強調。一方で「国民が心配しているので理解できる形で議論することが大事」と述べ、総合的に検討して結論を出すよう求めた。
調査会で「原発依存の拡大」になると反対があった「35%」を選択肢から外し、参考値として示すとした点には「現状が27、28%だから、その範囲内」とし、35%も選択肢の一つになりうるとの認識を示した。
細野豪志原発事故担当相が「15%は一つのベースになり得る」と発言したことに対しては「大臣の個人的な考え方。全体としてどうするかをしっかり議論してほしい」とくぎを刺した。15%は、原発の運転期間を原則40年とし、新増設も行わない場合と近くなる。
一方、野瀬町長は、原発を40年で廃炉にした場合には2031年段階で、関西電力の原発11基のうち動いているのは大飯4号機だけになると指摘。「その段階で新増設をすると決めても、(稼働まで)10年かかる。そうすると30年ぐらい火力依存が続くことになるが、国の全体を俯瞰すると、それが正しい選択なのかは疑問だ」とした。
また、全国原子力発電所所在市町村協議会や県原子力発電所所在市町協議会で提言をまとめ、国に申し入れることも必要との認識を示した。