息子が高収入の芸人であるにもかかわらず、その母親が生活保護を受けていたことが問題となっています。
生活保護は、どうしても生活できない人が世帯単位で使うことができる制度で、世帯の中で養える人がいる場合には使えません。受けられるのは、病気や子どもが幼いなどの理由で、明らかに働けない人。収入が、著しく低くて生活していけない人です。
働いていて収入がある場合には、一定基準に満たない場合のみ生活保護の対象となります。その場合は、生活保護費から収入を差し引いた金額が支給されることになります。
預金や土地、車など、売って生活費を賄える財産がある場合には、生活保護は受けられません。住宅ローンの支払いなども、認められません。ただし、障害を持っている人が通勤や通院にどうしても車が必要だといった場合には、認められるケースもあります。
生活保護で支給される金額は、住んでいる地域によっても違い、飲食物、被服費などの経費のほかに、光熱費や生活機器などの世帯共通経費、障害者や子どもがいる場合には人数に応じた加算、家賃や地代の住宅扶助、小学校、中学校の教育扶助、介護が必要な場合の介護扶助、医療費などがかかったら医療扶助などが足し合わされて支給されます。
たとえば、東京都で33歳の夫が働けなくなり、29歳の妻も働けず4歳の子どもの面倒を見なくてはならないケースだと、生活扶助として月17万2170円が支給されます。68歳で職も財産も年金も無い独り身の老人だと、月8万820円支給されます。68歳と65歳で年金も無く働けない高齢者夫婦の世帯だと月12万1940円、2歳と4歳の子どもを抱えて働けない母子世帯の場合には、月19万2900円の支給になります(児童養育加算含む)。
生活保護は、生きていく上での最後のセーフティーネット。頼らざるをえない方も多いですが、社会保障費の増加で財政状況が厳しくなっていることを考えると、自活できる人や助けてくれる親族がいる人が利用するというのは、やはり問題があるでしょう。
1954年長野県生まれ。経済ジャーナリストとして幅広く活躍。デフレを見越し、借金を減らし投資を控える「資産防衛」を一貫して提唱。現在、テレビ・雑誌・新聞などを通じて不況時の生活防衛策や、保険、金融、住宅問題など実戦的な提案を発信している。著書に「荻原博子の家計まるわかり読本」(学研パブリッシング)「生命保険は掛け捨てにしなさい!」(ダイヤモンド社)など多数。監修した「ボクたちの値段」(講談社)も好評発売中。