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【社会】

原子炉注入 漏れた水どこへ 高汚染水になりタービン建屋へ

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 二十二日付朝刊で、「東京電力福島第一原発1号機に毎日大量の水が注入されているのに、格納容器内の水位はわずか四十センチ」と報じたところ、多くの読者から「じゃあ、注入した水はどこに消えたの?」との質問があった。その疑問にQ&Aの形でお答えします。 

 Q 2号機の水位も六十センチという記事があったけど、どういうこと?

 A 格納容器が損傷している証拠。1〜3号機とも炉心溶融が起きた時、原子炉(圧力容器)の底部が壊れ、格納容器も高熱と高圧で弱い接合部などが壊れた。1号機には毎日百六十トン、2号機には二百二十トンの水が原子炉に注入されているけど、すぐに格納容器に漏れ出し、さらには原子炉建屋地下に流れ込んでいる。

 Q 核燃料は冷えているの?

 A 水がどう当たっているかははっきりしないけど、冷えているのは確か。ただ、核燃料に触れた水は高濃度汚染水となって、配管やケーブルの穴を伝って隣接のタービン建屋に流れ込んでいる。

 Q たまった水はどこに行くの?

 A ポンプで近くの別の建屋に移し、放射性セシウムを除去した後、塩分を取り除く。事故当初に海水を注入していたからね。

 Q 処理した水はどうしているの?

 A 先週だと、一日平均で約九百トンの汚染水を処理して、うち五百トンを1〜3号機の核燃料を冷やすのに再利用した。でも、残りの四百トンは使い道がなくて、敷地内のタンクにためている。

 Q ずっとため続けるの?

 A それが問題なんだ。敷地内に大小約一千基(容量は計約二十万トン)のタンクを設置したけど、もう残りは四万トン強。あと三カ月もすれば満杯になる計算だから、また増設する。地下のため池も造る。でも、十年くらいは注水を続けるし、タービン建屋地下には一日数百トンの地下水が流れ込み、高濃度汚染水と混じって水量を増やしてしまっている。何とかしないと。

 Q タンクの水を海に捨てるのでは?

 A 東電は昨年末、そうしようとした。でも、漁協などの猛反発で断念した。セシウムは除去できても、ストロンチウムなどは残っているから。こうした放射性物質も除去できる装置を秋ごろ導入するそうだけど、効果はやってみないと分からない。

 

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