(CNN) シリア中部の町ホウラで多数の住民が虐殺された事件を受け、欧米諸国が29日、シリアの大使らの国外追放を一斉に発表した。国連とアラブ連盟の合同大使を務めるアナン前国連事務総長は同日、首都ダマスカスでアサド大統領と会談し、自身の調停で成立した停戦合意の履行を強く求めた。
同日シリア大使や外交官の追放を表明したのは、米国、オランダ、オーストラリア、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ブルガリア、カナダの各政府。米国務省はジャブール代理大使を呼び、72時間以内に家族とともに退去するよう求めた。ジャブール氏は昨年10月、米政府の駐シリア大使召還に対抗してシリア政府が駐米大使を本国に召還してから、大使館のトップを務めていた。
アナン氏はアサド大統領と会談した後の記者会見で、ホウラの虐殺事件を含む同国での武力行使や暴力事件をめぐり「国際社会の重大な懸念を率直に伝えた」と説明。一方で、調査委員会を設置して事件を調査するとしたシリア政府の姿勢を「大変心強い」と評価し、政府が国連シリア監視団(UNSMIS)の展開に協力したことに感謝の意を表したと述べた。
アナン氏の声明によると、同氏はアサド大統領に「事態は転換点にある」「明日でなく今すぐに、合意案の履行に向けて一歩を踏み出すべきだ」と語るとともに、反体制派にも暴力行為の停止を促した。