国際中国「海洋観測新法」の不穏な内容 尖閣支配に向けた法制化の一端+(2/2ページ)(2012.5.30 09:48

  • [PR]

国際

  • メッセ
  • 印刷

中国「海洋観測新法」の不穏な内容 尖閣支配に向けた法制化の一端

2012.5.30 09:48 (2/2ページ)

 中国の海洋監視船が、ブイの撤去という「違法行為」に対して「法の執行」を試みるのなら、洋上で想定される日中当局間の摩擦は、これまでと違った次元のものとなりかねない。

 中国はすでに1992年制定の「領海法」で、尖閣諸島を一方的に「自国領」に組み込む法的措置を取った。領土・領海問題には、高度な政治判断から、立法や行政、さらに漁民個人までさまざまな段階があろうが、新条例の施行は、明らかに尖閣やスプラトリー(中国名・南沙)諸島の支配に向けた法制化の一端とみるべきだ。

 このところの中国の海洋問題をみていると、黄海から南シナ海まで、生活的に切羽詰まった中国漁民が、トラブルの前面に出てきているようだ。

 沿岸地域の乱開発や環境汚染、さらには長期にわたる乱獲によって、「大陸沿岸では魚が獲れない」という声が、中国では常識となっている。「耕作地のない農民」と同様に、「魚の獲れない漁民」は、中国の深刻な社会問題なのだ。農民ならば農民工として上海など中国の大都市に流れ込むところが、漁民となると漁場を求めて沖へ沖へと押し寄せる。なにせ漁船の船腹数は、中国が実に「106万隻」で世界トップなのだ。

 トウ小平時代に本格化した中国の海洋戦略は、漁業行政の行き詰まりを周辺国に転嫁し、これを法律や行政サービスで支える様相を見せ始めた。(産経新聞東アジア室長 山本秀也)

関連ニュース

  • [PR]
  • [PR]

[PR] お役立ち情報

PR
PR

編集部リコメンド

このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。
© 2012 The Sankei Shimbun & Sankei Digital