アリラン3号の打ち上げ現場にいた韓国人記者らは、打ち上げ成功だけでなく、「日本に学ぶべき」という内容の記事を書いている。
「韓国の航空宇宙工学技術は日本より50年も遅れている」
「日本は急いで結果を出そうとせず、失敗を繰り返しながらも航空宇宙産業に投資している」
「韓国の衛星打ち上げに成功したことをきっかけに、日本の航空宇宙産業はますます発展するだろう。海外の衛星を代行して打ち上げるサービスの受注が増える」
これまでの衛星打ち上げ技術研究に対する批判が強まる
韓国はここ10年ほど、IT分野では韓国の方が日本より進んでいる、と自負してきた。サムスンやLGの躍進によって、家電や携帯端末、半導体などの市場において、韓国のプレゼンスが日本より高まっている。しかし、種子島宇宙センターでのアリラン3号打ち上げ成功は、韓国人に「やっぱり日本は技術大国」という強い印象を与えた。
朝鮮日報は5月24日の朝刊1面に「国家的失敗、韓国はロケット技術で15年を無駄にした」というタイトルの特集記事を掲載した。ロシアのクルニチェフ国家研究生産宇宙センターとの技術提携が上手くいっていないことを批判する内容だった。
「衛星打ち上げは最先端技術の集約だ。10万個以上の部品を必要とする。国家の安全を保障する監視衛星も、宇宙資源開発に必要な施設も、自国の打ち上げ技術を高めないことには、充実させることができない」。
「韓国は1998年から衛星打ち上げ技術の開発を進めた。より早く成果を上げるため、2002年からロシアの技術を導入した。しかし、結果的に失敗している。ロシアは2002年当時、『ロケットの打ち上げ技術を2006年に韓国に移転するとしていた。だが、『1段目ロケットを制作して渡す』と立場を変えている」
ロシアのクルニチェフ国家研究生産宇宙センターが制作した1段目ロケットと、韓国航空宇宙研究院が制作した2段目ロケットを使って打ち上げたのが前出のナロ号だ。そして、打ち上げに2度失敗している。ロシア側も韓国側も、責任を相手に押し付けるだけ。韓国航空宇宙研究院はいまだに失敗の理由を公表していない。
朝鮮日報は5月24日付けの記事で、宇宙工学分野の教授らのコメントを紹介した。「2006年の段階でロシアと手を切り、韓国が衛星打ち上げ技術を独自に研究していれば、今頃は1段目ロケットを作れたはず」「ロシアの技術を導入できないまま15年もの歳月を無駄にした」。
韓国は衛星打ち上げ技術の自立を目指せ
日本の種子島宇宙センターは、顧客である韓国を大満足させた。日本の技術力に刺激を受け、韓国航空宇宙研究院と教育科学部は、科学技術開発政策を見直し、新しい一歩を踏み出そうとしている。5月23日、政府危機管理対策会議でパク・ジェワン企画財政部長官は、「アリラン3号の打ち上げ成功は、(韓国の)科学技術分野の凱歌である。しかし、科学技術政策のパラダイムを量的投入から質的改善に転換しないといけない」「(先進国を追いかける)模倣政策から、民間のクリエイティブな技術開発を促進する方向に政策を変える必要がある」と発言した。
日本から刺激を受け、ロシアとの失敗を教訓に、韓国もこつこつと実力を積み上げて、技術の自立を成し遂げてほしいものだ。