最初にお話をうかがったときは、「ああ、そういう素敵な企画なんだ。少しでも関わりたいな」と漠然と思ったんですが、どんなドラマになっていくのか、具体的なイメージは浮かばなかったんです。その分、本当に興味が湧きましたし、楽しみだなと思いました。
そうみたいですね。私は、それほど多くの経験があるわけではないですけど、先輩たち…天海祐希さんや石田ゆり子さんたちからも「こういうのは珍しいんだよ」と伺いまして…。恵まれているんだな、と実感しました。 |
- 今回の玉子というキャラクターに関して、制作サイドからどんな説明がありましたか?
- 最初は衣裳のことはまったく知らなくて、主婦で、子どもがいて、パチンコが好き、という設定だけを聞いていたんですね。で、家庭環境としては、そこそこ普通の家庭だと。「貧しくもなく、裕福でもなく普通です」ということでしたので、「なるほど…でも“普通”ってどうやっていこうかな?」と思っていたところ、衣装がフリフリだということを聞きまして。まったくなかったんです、そのイメージ(笑)。「フリフリで、ピンクで、リボンがついていて…」というのを聞きまして、驚愕しました(笑)。「そっちですか!?」「うん、そっちそっち!」と(笑)。私が漠然とイメージしていたものとは180度変わったので、今回はまず衣装から入ったという感じなんです。
- そもそも“普通”と言われても、その基準はあいまいですよね。
- そうなんです。“普通”って難しいですよね。でも、そう思う中で、逆にバンと強く出る衣裳に大きく助けられたようなところはありました。ちょっとおバカな玉子、というキャラクターが出来たのは、衣装や小道具の力が大きかったですね。
- 歌や踊りのレッスンは、そういうイメージを踏まえながらのものだったんですか?
- いえ、レッスン序盤はまったくそういうイメージがないままやっていて…。衣装合わせをやってからですね。逆に、そこで監督さんやプロデューサーさんも、玉子はこういうキャラクターだということをバチッと見てくださったというか。そこからは「玉子だったらここまでやるんじゃない?」というようなレッスンになっていったんです。
- そのレッスンですけど、具体的などんな風に進んでいったんでしょうか?
- 基本的には歌ですね。ずっと歌のレッスンで、1話に出てくる歌はかなり重点的に練習しました。で、クランクインしてからは、2話や3話の歌のレッスンもやりつつ、振り付けのレッスンも入ってきて…という感じです。だから、主に歌ですね。コーラスをメインにレッスンしていました。
- 歌う、ということも役の要素のひとつ、というのは演じるという面でひとつハードルが上がると思うのですが…。
- そうですよね。歌うことも演技ですもんね。選曲はポップスがメインなので、感覚的にはお芝居と歌、という風に分けて考えることができるんじゃないかと思っていたんです。でも実際、レコーディングをしたり、お芝居をしながら歌っていく中で、そこが一体となっているというか、お芝居中に歌うし、歌いながらお芝居するし、という感じで。ただ、その方がやり易いですし、面白いんです。
- 澪役を演じている天海祐希さんの印象は?
- いやもう、感動・感激・尊敬…ひと言では言い表せないです。思った通りの方でしたし、思った以上に素敵な方で、びっくりしました。
- 今回が初共演ですよね?
- はい、初めてです。
- 最初に交わした会話を覚えていますか?
- 最初は「よろしくお願いします」と(笑)。普通ですね(笑)。そうしたら「ご飯、行きましょう!」「連絡先、聞いてもいいの?」とか、気さくに声をかけてくださって…。現場で、先に先輩たちがお帰りになることとか、ロケ先で分かれてそれぞれ帰ることも多いじゃないですか。そういうとき、バタバタしていてキチンとご挨拶できないこともあるんですけど、天海さんは必ずメールをくださるんです。「ご挨拶できなくてごめんなさいね」って。本当は私からしなくちゃいけないし、そういうことをしても却ってご迷惑になっちゃうかな、とか考える間もなく、パッとメールをくださるので。目がいくつあるんだろう、って思うくらい、よく周りを見ていて気遣ってくださるので、頭が上がりません。本当に凄い方だと思います。
- 台本はいま5話まで上がっていますが、特に印象に残っているシーンは?
- 回を重ねる毎に、まひる(大島優子)ちゃん、南(福原美穂)ちゃんとか、それぞれのキャラクターも少しずつクローズアップされていくので、どのキャラクターにも共感できるし、感動できる言葉がたくさんあるんです。最近、リハーサルをやって、このシーンは感動する、と思ったのは、一希(玉山鉄二)さんのエピソードですね。まだちょっと先ですけど…。歌というものの感動や熱さみたいなものを思い出して、あらためて何て素晴らしい作品なんだろう、と思いました。
- 音楽や歌の持つ力を感じさせてくれるドラマですよね。
- まさにそうだと思います。
- ここで、菊地さんご自身の音楽的なルーツというか、歌というものから受けた影響についてお聞かせください。
- 歌は歌うものだと思うんです。聴くことが好きな方もいらっしゃると思うんですけど、私は断然歌う方が好きです。CMソングでも、口に出して歌いたいし、電車の電子音とかが鳴っていたらそれも歌いたい(笑)。歌うっていうことは、私にとって日常的なことなんですね。今回のドラマではいろいろな曲が使われているので、みなさんもカラオケとかで歌ってほしいな、と思っているんです。歌うって、ストレス発散になるし、自分と向き合うきっかけにもなると思うんです。
- 好きなアーティストは?
- この人が好きでライブにも行く、というアーティストの方がいるわけじゃないですけど、山口百恵さんが凄く好きです。あと、ちあきなおみさんとか。最近の曲もひと通り聴きつつなんですけど、ちょっと前の…それこそ母親が聴いていたような曲を聴くと、凄く興奮するんです。あとは仕事絡みでミュージカルの曲もよく聴きます。
- 常に生活の周りに音楽がある感じですか?
- そうですね。音楽というよりも歌がある、という感じです。地下鉄で、電車がフォーンってくるときにも歌ってますから(笑)。誰にも聞かれないからいいかな、と思って(笑)。
- カラオケに行くこともありますか?
- それが、行かないんですよね。家で歌ったりとか、仕事場で歌ったりとかしているだけで十分というか。カラオケに行くと、逆に緊張しちゃうんですよね(笑)。「いつも、何を歌ってるんだっけ?」って迷ったりして…。でも、この作品のおかげでレパートリーが大分増えました(笑)。自分では絶対歌わないような曲も練習しましたから。
- 天海さんが「シャンソンズのメンバーでカラオケに行きたい」とおっしゃってましたね。
- そうなんですよ!「行きたいね」っておっしゃっていて。もう、入れる曲も決まってるし、みんなハモれるし(笑)。ずっとレッスンしていますからね。『風になりたい』っていう曲をみんなで練習していたら、片瀬那奈さんが「私もう、風になっちゃいそうだよ!」って(笑)。私も、頭の中にずっと練習した曲が流れてる感じです。私、お稽古場が好きなんですね。「一番好きな場所は?」って聞かれたら、「お稽古場です」って答えるくらい(笑)。木の床で、大きな鏡があって、みんな稽古着で…何もないその場所に、ひとりの役者としてそこにいる、というのが好きなんです。だから、今回インの前にひと月かけてその場所でみんなで積み上げてきて第1話の撮影が始まって…。さらに、それにプラスしていまだにお稽古が続いているので、何だか本当に幸せな毎日なんです。
- 役者さんにとっては、レッスンもそうですし、撮影がなくてもレコーディングがあったりもして、やっぱり通常の連ドラより相当大変だと思うのですが…。
- みなさん、ずっと明るいんですよね。それぞれのパッションを感じることができるんです。それってやっぱり、歌の力なんじゃないかな、と思います。疲れてても、ロックを歌い出したら、「そこまでやらなくてもいいよ!」っていうくらいのテンションになっちゃうんです(笑)。みんな、「ロックは危ない」って言っています。朝の9時でも、全開になっちゃうから(笑)。でも、それがこのチームの良さだと思います。それはやっぱり、音楽の持つパワーだとか天海さんの仕事に対する姿勢に影響されている部分も大きいと思うんですけど、ホントにみなさんパワフルですよ!
- 最後に、視聴者のみなさんに向けて、メッセージをお願いします。
- 先ほども言いましたけど、ドラマを見てくださった方も、シャンソンズのみんなと一緒に歌ってくださったらいいな、と思っています。若い世代の方は、もしかしたら知らない曲も多いかもしれないですけど、きっとお母さん、お父さんは知っていると思うんです。そこで親子の会話が生まれたり、CD買ってみようかな、と思ってもらえたりして、少しずつ輪が広がっていく連鎖が生まれたらいいな、と思っていますので、絶対に見てくださいね!