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秋田県、誘致“お手上げ” 進出済み企業支援に軸足
企業誘致の低迷が続く秋田県が、雇用政策の抜本的な強化を迫られている。対策の主軸は既に、好転の兆しが見えない新規誘致から、誘致済み企業への支援に移した。電子部品大手TDKの再編で県内の工場の閉鎖が決まった問題を教訓に、倒産や廃業を防いで設備投資を促す戦略だが、効果が得られるかどうか不透明な情勢が続いている。
1億円以上の投資で、10人以上を雇用する企業の誘致数は、2008年度が2件、09、10年度がゼロ、11年度は2件だった。統計を取り始めた1961年度以降、計632社を誘致したが、うち300社が撤退や廃業に追い込まれた。 県は、岩手、宮城両県に集積する自動車関連産業に着目。「隣県」をセールスポイントに自動車部品産業の誘致を狙ってセミナーなどを開いてきたが、奥羽山脈越えのハードルは高く、企業側の反応は鈍いという。 県産業集積課の担当者は「隣県でありながら、秋田は(産業集積から)取り残された。新規誘致は難しく、悪あがきの状態だ」と嘆く。 県は5年ほど前、雇用対策の重点を新規企業誘致から、誘致済み企業への支援に転換。工場の拡張や関連企業の誘致を促し、雇用確保を目指す。 2010年度には県の専門員による企業訪問を始めた。「ご用聞きに徹する」(県産業集積課)ことで、信頼関係を構築する狙いだ。 それでも、県内経済の好転につながるような成果は得られていない。昨年10月にはTDKが組織再編を発表し、県内4工場の閉鎖が決まった。東日本大震災で取引先が被災し、仕事が減った企業もあるという。 県産業集積課は「現状は政策の方針転換を受け、成果を得るための下地作りの段階。これ以上既存企業が秋田を離れることがないようにしなければならない」と警戒感を強めている。
2012年05月26日土曜日
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