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庭山さん衝撃の告白「近藤議員の不審死」

近藤議員の不審死
由紀日記よりコピー
 
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雨が雪に変わった。私は、今、議会の中の委員会室で平成21年度 第2回定例会の桐生市議会会議録のテープを聴いている。なぜなら私はこの議会の会議録署名議員だからだ。おかしな事だが、議事録ができあがってから署名を求められた。テープを聴いて確認してからでないと署名できないと言ったら、確認のテープを聴かせる聞かせないですったもんだした結果、ようやく今、これを聴いている。ちなみに、テープで確認したいと言った議員は私が初めてだという。要するに、「会議録署名議員」などと大上段に構えても、渡された紙に確認もしないでサンしているだけという事だ。形式ばっかりのデタラメ議会の証拠のひとつだ。

実は、この議会は、近藤議員最後の議会。議会も後期に入り、近藤議員は総務委員会の委員長だった。

近藤議員はH21年7月11日に亡くなった。カンカンに晴れた暑い夏の土曜日の正午、わが家から20〜30メートル離れた路上にエンジンをかけたままの車中で首から血を流して発見された。

その日、私は久しぶりに何の予定も入っていなかったので、保育園児の娘とお買い物に行ったり、市内の小学校でミニバスの練習に行っていた小学生の息子を見に行ったりしていた。午前11時くらいに家に戻り、ドアも窓も全部開けて布団や洗濯物を干したりしていた。お昼のサイレンがなったので、娘と「カレーでも食べに行こう」と車に乗って角を曲がろうとしたところ、隣の家のおじさんとおばさんに呼び止められた。
「庭山さん、庭山さん、そこの車に死んでそうな人がいるんだよ!」
「え?」
右側に寄せられた黒のボックスカーは、エンジンがかかったまま、運転席に人が乗っているのが分かった。私は車から降りて、後ろから車に近づき、運転席の窓からのぞき込んだ。
 
目に飛び込んできたのは、首からシャツにかけて血を流してぐったりしている中年の男だった。私は驚いて、
「救急車は呼びましたか?!警察は?!」
「今、呼んでいるんだけど、まだ来ないんだよ!」電話機を片手におじさんが言った。

しばらくして、サイレンが聞こえてきた。私とおじさんは大通りに出て、救急車とパトカーを誘導した。はしご車と覆面パトカーも来た。周囲にはイエローテープが張り巡らされた。

自分の車を自宅に戻し、現場の状況を説明した。私は気が付かなかったのだが、お昼の用意をしていたら、エンジンの爆音したので、おじさんとおばさんが通りにでてみたら・・・ということだった。説明をしている最中、車中の男は救急隊員に運ばれた。救急車はサイレンを鳴らして行ったので、「助かるといいね」とおじさん達と話した。
刑事は「車中にいた人は近所の人ですか?」と聞いてきた。おじさんは、「見たことないねえ」と答えた。私も
「知らないです」と答えた。

その間、娘はずっと私の車の中にいた。状況説明が終わったので、イエローテープをくぐって、知人の家に向かった。私は現場の様子から殺人事件と思い、先ほど開けっ放しで掃除をしていたことを思い出し、犯人がどこかに潜んでいるかも知れないと不安になった。仕事に行っている夫に電話をし、帰って来て欲しいと事情を話した。お昼は知人宅近くのお店でおいなりさんか何かを買って娘に与えた。しばらくして夫から家に着いたと電話があり、娘と自宅にもどった。

たいして広い家ではないが、タンスから押入から戸袋まで全部、犯人が隠れていないかチェックした。
「これで、おにいちゃんが帰ってきても大丈夫だね」と話ていたら、午後3時半すぎ、桐生タイムスのT記者から電話がかかってきた。

T記者:さっき、庭山さん、どこかに出かけていったけど、警察に行ってたんでしょ。
庭山:え?何で私が警察に行くんですか?
T記者:警察に呼ばれたでしょ。
庭山:だからなんで私が警察に呼ばれるんですか?
T記者:だって、さっきそこで亡くなっていたのは近藤議員だから。

私はこの言葉で初めて、首から血を流して亡くなっていた中年男が近藤議員だったと知った。実は、私は運転席の窓からのぞき込んだが、首から血を流している人を見たのは初めてだった。動揺してしまい、顔まで見ることが出来なかったのだった。
 
 
ちょうど玄関のインターホンがなったので、電話を切って出てみると、二人の刑事が立っていた。

庭山:そこで亡くなっていたのは近藤議員なんですか?
すると二人の刑事は顔を見合わせて、
刑事:そうです。
庭山:ええっ?

私はびっくりして、外に飛び出した。ちょうど、黒のボックスカーがレッカー移動されるところだった。私はパッと助手席を見た。そこには、近藤議員が使っていた黒と白の柄のあるネクタイが2本あった。そこで岡部純朗議員に会った。

庭山:そこで亡くなっていたのは、近藤さんだったんですか?
岡部議員:そうだよ。

本当に、驚いた。何が起きたのかよく分からなかった。なんで、近藤議員がわが家の近くで?首から血を流していたのが、近藤さん・・・?

玄関先で二人の刑事は待っていた。

刑事:近藤議員は知っていますか?
庭山:はい。知っています。
刑事:近藤議員は庭山さんの家に来たことはありますか?
庭山:ありません。
刑事:近藤議員は庭山さんのお宅を知っていますか?
庭山:私の家を知っていたかどうかも知りません。
刑事:では、庭山さんは近藤さんのお宅を知っていますか?
庭山:知りません。
刑事:庭山さんはブログを書いているんですか?
庭山:はい。『由紀日記』と言うのを書いています。
刑事:そこで近藤さんを中傷したことは?
庭山:ありませんけど。見て頂ければ分かると思います。
刑事:『竹原信一という男』というブログは知っていますか?
庭山:ええ。知っています。
刑事:そこには近藤さんのことも書かれている?
庭山:ええ。書いてあります。
刑事:自殺に繋がるようなことが書いてありますか?
庭山:ええ?近藤さんは自殺なんですか?
刑事:事件と自殺と両方で調べています。
庭山:『竹原信一という男』も見て頂ければ分かると思いますが、自殺・・・?
刑事:まだ捜査中です。近藤さんとは親しかったのですか?
庭山:親しいって・・・。他の議員よりは親しかったかもしれませんが。私はひとり会派で、近藤さんは最大会派の先輩です。私のことを心配してアドバイスをいただいたことはありますが、飲みに行ったことも、3回くらいあったでしょうか?
刑事:そうですか。ありがとうございました。

近藤議員の件で警察に話を聞かれたのは、これきりでした。
 
その後、近藤議員は自殺と言うことで地元紙と全国紙の地方版に小さく記事になっただけだった。

後日、通夜に参列。帰り道の途中、近藤議員と共通の友人の医師から電話があった。

医者:庭山さん、一体何があったの?
庭山:私も何があったのか、分からないんですけど。
医者:ちょっと時間ある?
庭山:ええ。

ということで、ママトモ3人と医師とその運転手6人でとあるイタリアンレストランの個室で話をした。

そこで、私が一連の話をした。医師はうんうん・・・と聞きながら言った。

医師:もう、コンチャン(近藤議員の通称)が亡くなったって聞いてびっくりして、聞いたら庭山さん家の近所だっていうじゃない。もう、なにがあったのかわからなくなっちゃったよ。でも、今話を聞いて、状況が分かったよ。
庭山:ありがとうございます。いろんな風評が流れているみたいで、私も困っているんですけど。
医師:ホントだよね。私はコンチャンが亡くなった一報を聞いて、コンチャン家に電話して、仕事が終わってから縫合セット持ってコンチャン家に行ったんだよ。遺体はもう家にあったんだけど、動かすと出血しちゃう状態だって奥さんが言うから。医師である僕に出来ることは縫合くらいかと思ってね。で、コンチャン家で縫合したんだけど、首が両側切れていてね・・・。侍だって切腹するとき死にきれないから介錯人っているんだけど、片方切ってもう片方切ってできたら・・・サムライ以上だよね。すごい血が出たと思うよ。
 
庭山:え?私は車の運転席の窓からのぞき込みましたが、血痕は横の窓にも、前の窓にも付いていませんでしたよ。
医師:え?なにいってんの。首なんて切ったら、しかもあんなに深く切ったら車の中は血の海だよ。
庭山:いいえ。血は飛んでいませんでした。首からこうやって(お腹くらいまでとジェスチャー)・・・。そういえば、レッカー移動するときも助手席に近藤さんのネクタイが2本あったけれど、血痕は飛んでいませんでした。
医師:それはおかしいよ。

・・・同席していた者全員が一瞬黙りこんだ。いろいろな憶測がそれぞれの頭の中を駆けめぐったのだと思う。

後日、この医師の紹介で前橋の弁護士に相談に行った。一通り話を聞くと弁護士は静かに口を開いて言った。
「それは、おかしいよね。だいたい、首を切ったら車の中はものすごいことになるだろうし、新聞では自殺扱いしているけど、自殺するときは普通首は切らないんだよね。しかも、右を切って、左を切ってって・・・それは無理だと思いますよ。でも、何で警察も自殺扱いなんだろう」
「分かりません」と答えた。

後に分かることだが、議会で「庭山、お前のブログのせいでコンチャンは死んだ」と言わんばかりの陰湿ないじめにあい、桐生警察に相談していたとき、とある刑事がぽろっと言った。

刑事:庭山さんのせいじゃないよ。はっきり言ったらいい。
庭山:言う場所がありません。
刑事:私も近藤議員を知っているが、自殺をするようなたまじゃないと思うんだよ。もし、庭山さんに文句があるなら、彼なら庭山さん宅に乗り込んで大げんかするよ。
庭山:私もそう思います。でも、警察は自殺扱いをしているじゃないですか。なんで自殺扱いなんですか?遺書があるとかないとか荒木議員が言ってたみたいなんですが。
刑事:・・・コンピュータの中に、5行くらいのがね。でもね、庭山さんの名前はないしブログのせいでもないよ。

刑事はそれ以上は教えてくれなかった。

コンピュータにあったという『5行の遺書』。一体何が書いてあったのかは、分からないままだ。
 
今日は、近藤議員のハリのある質疑の声を聞いて、近藤議員の事を思い出し、思わずこれを書いていた。近藤議員は議会の中で、本当のことをストレートに言い過ぎる私を心配して、「由紀ちゃん、そんなこと言っちゃダメだよ」「いろいろ事情があるんだよ。分かってくれよ」そういって、声をかけてくれた貴重な先輩議員だった。

近藤議員:由紀ちゃん、ブログにあんな事書いているけど、こういう事情もあるんだよ。
庭山:そう思うのでしたら、近藤さんもブログを書いたら良いじゃないですか。
近藤議員:それもそうだな。
庭山:ここのページからこうやると、さるさる日記ができるんですよ。

近藤議員は、翌日からブログをはじめた。後に、数名の議員もブログを始め、ちょっとしたブログブームになった。近藤議員と私は立場も見解も全く異なっていた。にもかかわらず、近藤議員はブログを書いている桐生市議会議員を全員、自分の「お気に入り」に登録していた。議会や議員に批判的な私のブログも紹介してくれていた。そういう人だった。

近藤議員は自殺などしない。愛する大切な家族をおいて、死ぬなんてありえない。そんな無責任な人ではない。もっと、人情味のある親分肌の人だ。

今ここに、書けない事も、実はある。が、それを書くと困る人がいるので、書かないが、別の場所に情報としてプールしてある。

私が警察を信用しないのは、この一件からである。


「オレが自殺かよー?!ったく、まいったなー」そんな声が聞こえてきそうだ。
 

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