◇…スポーツ報知の購読申し込みは、フリーダイヤル 0120-16-4341(イロ ヨミヨイ) まで…◇
◇…過去の記事は、ご使用のプロバイダのデータベース・サービスをご利用ください。…◇
仲良し3人の話は尽きず、現在、佐藤夫婦が教えている小塚崇彦の話題に。大学院での勉強にハマッているなか、フィギュアスケートとの両立に励む小塚を支えている。さらに夫婦の未来像に話は進み…。
城田「でもやっぱり信夫先生の所はすごいな。章枝ちゃんに静香ちゃん、友加里ちゃんら、お姉さんたちが卒業したと思ったら、今度は小塚君が伸びてきて、世界選手権で銀メダルを取るまでに育って。小塚君はもう、ちっちゃい時から見てきて、無駄なく育ててきたようにも見えるし、同時にチャレンジも多かったようにも見えるし」
信夫氏「崇彦の場合は、一から順番にきっちりと作り上げてこられた、そんな気がしています。その仕上げが、去年の最後の試合にうまく合わせられたんだね」
城田「うん、そう思う。でもこれから先、また彼がさらに大人に、そして青年から大人になる時の『味』というものも出しつつ、技術の部分もいろいろ調整していかなきゃならない。もう一つ殻を破る難しさが、これからあるかもしれないわね」
久美子氏「そう、それはあります。そしていつもいつも、うまくいくわけではないんです。昨季(2011~12年シーズン)は、その前の年ほど、ちゃんとスケートに集中出来なかったかもしれない。彼もいろいろなことがあったからね…。崇彦自身、精神的にもいろいろ疲れちゃった、そんな影響もあるみたい」
信夫氏「学校も大変なんだよ。大学院に入って、授業に出て…」
城田「大学院の授業、ちゃんと出てるの?」
久美子氏「出てるのよ。試合に行く前だって、夜8時まで授業に出てる」
信夫氏「勉強しすぎるって、周りの方がやきもきしてますよ(笑)」
城田「でも崇彦君、昨季は勉強の年でもいいんじゃないかしら? 今季また、メダルを狙えばいいわけだから。ちょっと休んで、もう来年(13~14年シーズン)に焦点を合わせたっていい。毎年毎年同じように頑張って息切れするより、4年間のスパンで考えて、オリンピックの近くでまたグッと伸びるようにすればいいのよね。彼は金メダルを取る可能性だって、高いんだから」
久美子氏「今季は本当にそんな感じかもしれない。でもバイオなんとかの勉強してるから、理屈っぽくなっちゃって」
城田「大学院の専攻?」
久美子氏「スポーツバイオ…。なんだっけ?」
城田「スポーツバイオメカニクス?」
久美子氏「そう、それ。中京大の湯浅先生(景元=かげもと=体育学部長)についてるの。とにかくすごく、いろいろな研究をしてるみたい。体にこんな機械みたいなのを着けて、自分で滑ったり跳んだりして、そのデータを全部集めたりしてね。じゃあ、ついでにこんなことも調べといてよ、ってこっちからリクエストもしちゃうくらい、色々な研究をしてる」
城田「勉強に目覚めちゃったのかしら?」
久美子氏「好きなのね。ここに来て、特にね。海外の英語の文献にも向き合ってたから。例えば、インターバルトレーニングはどんなことをやっているのか、それぞれの国のデータを出してきて比べたり…そんなのことまでやってる!」
城田「将来はスケートの先生じゃなくて、中京大の先生になるのかな?」
信夫氏「どうなのかねえ(笑)」
久美子氏「とにかく今は、一生懸命勉強してるみたい。もう、いろいろな知識で、頭でっかちになっちゃうくらい(笑)。でも研究の成果と自分のスケートを比べて、『先生、やっぱり現実は違いますね…』なんて言う(笑)。それが分かっただけでも、ちょっと進歩かな」
城田「そんな小塚君と、真央ちゃんと。2年後のソチ五輪に向けて、先生たちはどんなふうに持っていくつもり?」
信夫氏「いや、僕には特別なアイデアのようなものは…」
城田「ないの?」
信夫氏「うん、この子だからこう育ててみよう、という戦略みたいなものは、昔からない」
城田「じゃあ、淡々と練習して行くだけ?」
信夫氏「ただ、自分の考える通りに教えることを続けて、じゃあここまで出来たから、その上にはこれを積んでみよう。その上にまたこれを積んで行こう、って。そしたらいつの間にか『ああ、これも挑戦できる』とか、『このジャンプも跳んでみようか』という風に…。ただそれだけですよ」
久美子氏「だから、あんまり先の話は出来ないんですよ。だいたい、こっちの寿命が持つかどうかが分からないんだから(笑)。ねえ、お父さん」
信夫氏「やっぱり、ある年を越えると、粘りが効かなくなるしね」
久美子氏「それでも、お父さんはしぶとい方だわ。いつも見ていて、そう思う。あの真央ちゃんに付き合えるんだから。私には無理だ(笑)」
城田「そうなのよ。私も思うけれど、信夫先生は根気がいい」
久美子氏「根性はあるわね」
城田「あると思う。だってそうじゃない、育ててきたのが、美姫ちゃんでしょう? 章枝ちゃんでしょう? 真央ちゃんでしょう? 崇彦君や友加里ちゃんは、まだ言うことを聞いたでしょうけれど(笑)」
信夫氏「そうだね(笑)」
久美子氏「みんなそれなりに、色々(笑)。でも、そんな子たちと付き合っていくことが、お父さんが元気に生きてる原動力なんじゃないかな」
城田「だから先生には頑張ってほしいのよ。私は今ちょっと、沈んでるからね(笑)」
久美子氏「そんな風には見えないけれど(笑)」
信夫氏「どうしても年とともにね、『ここまでは絶対行ってやろう!』なんて、強い気力が無くなっている。スケートのビデオを見るのもすごく好きで、昔は一生懸命見ては、色々なことを覚えようとした。けれど、最近は目も弱くなってきたからね。『ああもう、いいや。面倒くさい』で終わり(笑)。もう新しいこと覚えようともしないんです」
久美子「でも、お父さん、ゲームは喜んでやってるじゃない。iPadのゲーム!」
信夫氏「ビデオでもゲームでも、見えるものはまだいいんだ。これが、字を読むとなるともう、ね」
久美子「そんなこと言ってると、ボケるわよ! 確かに寝る前に本を読もうとしても、1ページか2ページかで、もう寝てるわね。眼鏡をかけたまま、グワーッて寝てる(笑)」
城田「大丈夫よ。信夫先生は、まだまだ大丈夫」
信夫氏「でももう、体も動かない。ここまできたらね、自分の手で何か新しく作っていくなんてことは、もうあまり考えられないですよ。いずれは誰かに、バトンタッチしなきゃいけない。そのバトンタッチの時に、誰の元でもスッと滑れるような選手を…。つまり、基礎的なことをきちんと身についた、素直に滑れる選手を少しでも育てていければいい。それがこれからの自分にとっての一番の役目かな、と思っています。そんなことが出来るならばね」
久美子氏「うまいこと言ったわね。やっぱり年の功だ(笑)」
城田「そのバトンを渡す相手として、今は娘の有香ちゃんがいる。有香ちゃんもコーチを始めて、トップの選手をいっぱい抱えてて大変そうではあるけど、信夫先生の夢は、引き継がれる…。すごく幸せじゃないですか」
久美子氏「でも仕事をやめたら絶対ボケるから、なかなか辞められないのよ。私なんか、好き勝手に続けていきますから(笑)。お父さんと違って、これは嫌、って思ったら、絶対やらないのよ」
城田「じゃあ、私と同じね(笑)」
久美子氏「その通り(笑)」
城田「久美ちゃんは、私よりも好き勝手に生きてるわよね。でもそれも、信夫先生がいてくれるから?」
久美子氏「そうなんです(笑)」
城田「いいわねえ。それで信夫先生は信夫先生で、久美ちゃんがいなくちゃ生きてられないと思うけれど?」
久美子氏「そうだよ!」
信夫氏「うん、生きていけないね。まず、ご飯が食べられなくなる(笑)」
城田「やっぱり、おしどり夫婦なんですよねえ(笑)」
(この項終わり)
(2012年5月28日16時56分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
国内最大規模の携帯ニュースサイト。スポーツニュース速報のほか、旬の社会、芸能ニュースも満載。月額84円(税込)
巨人軍公式サイト。待ち受け画像や注目の選手情報など、シーズンオフも必見。「NEWS読売・報知」の全コンテンツも利用できて月額210円(税込)!
翌日朝掲載の釣果情報を当日夜に配信。厳選した指定船宿と協力店からの正確な情報や、船宿の自慢料理・仕掛けなど、実用的なメニューもご用意。月額210円(税込)
携帯初の競輪予想情報。グランプリやダービーはもちろん、関東・南関東を中心に各レースを徹底予測。月額210円(税込)