米政府がこのほど公表した年次報告書によると、米国では教育レベルの高い人ほど平均余命が長く、肥満の割合が低い。
米国立衛生統計センターによる5月16日付の報告書は社会・経済状況と健康に関する特集を掲載している。それによれば、世帯主が高校を卒業していない家庭の子供では、大学卒・大学院修了の場合より肥満の割合が男子で2倍、女子で3倍に上った。また、2006年の時点で、25歳の人のうち高卒未満の人の平均余命は大学卒・大学院修了者より男性で9.3年、女性で8.6年短かった。さらに、教育による平均余命の差は1996年から2006年までの間に、男性で1.9年、女性で2.8年拡大したという。
報告書の主筆者で保健・福祉分野の研究者、エイミー・バーンスタイン氏は、健康格差は、是正を目指す取り組みにもかかわらず存在し続けていると述べる。同氏は、米保健社会福祉省は特定の人種や経済状況の層に生じる疾患の不均衡の低減を後押しするプログラムを策定しているが、今回の報告書はこれが成功を収めていないことを示唆していると指摘。「教育による大きな差がある。状況が改善していないことに驚いた」と語っている。
バーンスタイン氏は、教育レベルと収入には相関があるとする一方、その重なりは完全ではなく、高い教育を受けた人が貧しくなる可能性もあると述べる。
貧困は最も大きな健康格差に結び付く。報告書によれば、45~64歳の男女を収入が貧困水準を下回る層と水準の400%以上の収入を得ている層で比較すると、鬱病有病率(00~10年)は前者が後者の5倍、自然歯がない人の割合(10年)も同じく5倍だった。