電力社員の原子力委勤務を見直し5月25日 12時12分
細野原発事故担当大臣は閣議のあとの記者会見で、国の原子力委員会の作業部会が核燃料サイクル関連の文書をメンバー以外に事前に配布していたことについて、改めるべきだとしたうえで、原子力委員会の事務局で電力会社の社員が働いている今の体制を見直す考えを明らかにしました。
核燃料サイクルの見直しについて検討していた国の原子力委員会の作業部会は、先月下旬に、作業部会のメンバーではない関係者が集まった勉強会で、核燃料サイクルの報告書の原案を配布していたことが明らかになっています。
これについて、細野原発事故担当大臣は「原子力委員会の小委員会は、すべてオープンでやっているので、業者の意向で変わったとか、影響されたということはない。しかし、事前に、小委員会に出る資料が業者に配られていたのは問題であり、やり方は改めるべきだ」と述べました。
そのうえで、細野大臣は「少し前から、原子力委員会の事務局に、特に電力会社の皆さんが入っていることについて問題意識を持っている。実際に力を借りている面はあるが、国民から疑念を持たれることは好ましいことではないので、しかるべき段階で、電力会社の皆さんには会社にお戻りいただくことを検討している」と述べ、原子力委員会の事務局で電力会社の社員が働いている今の体制を、見直す考えを明らかにしました。
メンバー以外の非公開勉強会20回以上
核燃料サイクルの見直しについて検討していた原子力委員会の作業部会が、作業部会のメンバーではない核燃料サイクルの関係者を集めて非公開で行っていた勉強会は、部会とほぼ同じ時期に20回以上開かれていたことが分かりました。
東京電力福島第一原発事故を受けて、国の原子力委員会は、核燃料サイクルの見直しについて、ことし1月に鈴木達治郎委員長代理を座長に外部の有識者6人からなる作業部会を設けて公開で議論を重ね、今月16日に報告書をまとめました。
ところが、作業部会が開かれたほぼ同じ時期の去年12月から先月までの5か月間に、作業部会のメンバーではない、資源エネルギー庁や電力10社で作る電気事業連合会など核燃料サイクルに深く関わる組織の担当者らを集めた非公開の勉強会が、20回以上開かれていたことが分かりました。
このうち先月24日には、報告書の原案が取り扱い注意として配布されたほか、原子力委員会の近藤駿介委員長も1回目から4回目まで勉強会に出席していたということです。
鈴木委員長代理は「原子力委員会の事務局だけの作業には限界があり、作業部会で使用するデータを確認するために必要な勉強会だった」と話しています。
近藤委員長は、報告書の原案が配布されたのは不適切だったとして、経緯を調査するとしていますが、非公開の勉強会でどのようなやり取りがあったのか、原子力委員会の説明責任が問われます。
|
[関連リンク] |
|