トップページ社会ニュース一覧核燃サイクル報告原案を事前配布
ニュース詳細

核燃サイクル報告原案を事前配布
5月24日 17時21分

核燃サイクル報告原案を事前配布
K10053436411_1205241222_1205241224

核燃料サイクルの見直しについて検討していた原子力委員会の作業部会が、報告書をまとめる前の先月下旬に、作業部会のメンバーではない核燃料サイクルの関係者が集まった勉強会で報告書の原案を配布していたことが分かりました。
原子力委員会の近藤駿介委員長は、事実であれば不適切だとして調査を行う考えを明らかにしました。

国の原子力委員会の作業部会は、原発から出る使用済み燃料を再処理して再び燃料として利用する核燃料サイクルを巡って、今の政策を続ける場合ややめる場合などについて、経済性や影響などを評価し、今月16日に見直しの選択肢を示した報告書をまとめました。
ところが、これより前の先月24日に作業部会の座長を務める鈴木達治郎原子力委員会委員長代理と作業部会のメンバーではない核燃料サイクルの関係者が東京都内で開いた勉強会の場で、報告書の原案が取り扱い注意として配布されていたことが分かりました。
会議には、資源エネルギー庁や電力10社で作る電気事業連合会、それに青森県六ヶ所村の再処理工場を運営する日本原燃、高速増殖炉「もんじゅ」を運営する日本原子力研究開発機構など、いずれも核燃料サイクルに深く関わる組織の担当者らおよそ30人が出席し、出席者からは核燃料サイクルの事業継続を求める意見んどが出たということです。
これについて、原子力委員会の近藤駿介委員長は「報告書がまとまる前に原案を配布したとすれば不適切だ」として、事実関係の調査を行う考えを明らかにしました。
また、鈴木達治郎委員長代理は「作業部会の議論のたたき台のデータを確認するために関係者から話を聞いた。最終的な報告書に影響はないが、誤解を招くような行為をしたことは反省し、今後改めたい」と話しています。

“まったく不適切”

作業部会の委員で原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「電力会社などの関係者から、報告書に必要なデータを聞くなら公開の会議の場で聞くべきで、非公開の勉強会に利害関係者が集まり報告書の原案が配布されるのは、内容がこれでよいかと打ち合わせをしていたとしか思えず、まったく不適切だ」と厳しく批判しています。
そのうえで、「そもそも核燃料サイクルの見直しの選択肢を示した報告書の原案は、委員の自分でも先月24日の時点では見ていない。この勉強会で、どのような資料が示され、何が話し合われたか明らかにするべきだし、こうした経緯があった報告書の策定はやり直すべきだ」と指摘しています。

官房長官も“配付は不適切”

藤村官房長官は、午後の記者会見で、「作業部会のメンバーでない核燃料サイクルの関係者が集まった勉強会で、報告書の案が配布されていたことは、国民からの疑念を招くもので適切でない。すでに、原子力委員会の近藤委員長が、特定の事業者に情報を提供する際には、提供の必要性を確認するよう、委員会の事務局に指示したと聞いており、今後、適正化されるのではないか」と述べました。

[関連ニュース]
このページの先頭へ