北米におけるシェール(頁岩(けつがん))ガスの豊富な生産量を背景に米国は世界1位の天然ガス生産国となり、天然ガス価格は原油との比較でかつてなく割安な水準になっている。これを受けて、LNGを輸送燃料とする動きに経済的な観点から注目が集まっている。
シェルの下流部門担当ディレクターのマーク・ウィリアムズ氏は今月の講演で、「LNGは輸送燃料として大きな可能性を秘めている」と説明。「輸送燃料での天然ガスのシェアは上昇しそうだ」と述べた。
◆進むインフラ整備
米国トラック協会(ATA)によると、米国における昨年のトラックの燃料費は1350億ドルを超えている。
フェラスのポーターCOOは「インフラが整備されれば、そのメリットを生かしたい」と述べた。
シェルは、燃料補給所チェーンを展開するFJマネジメントとの間で、カナダの石油産業の中心であるアルバータ州フォートマクマレーから、南西に900マイル(約1450キロ)以上離れた太平洋岸のバンクーバーを結ぶ幹線道路沿いに、トラック用のLNG補給所を設けることに合意した。
グリーン・コリドー・プロジェクトと呼ばれる同計画では、年間30万トンのLNGを作り出す。まずは2013年に、同ルートの中間点付近にあるジャンピング・パウンドの小規模な液化プラントでLNGの生産を開始する見通しだ。