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クニマスの水中撮影に成功
5月28日 19時24分

クニマスの水中撮影に成功
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70年前に絶滅したと考えられていた淡水魚の「クニマス」が、おととし12月、山梨県の西湖で発見されて話題となりましたが、NHKの取材班が、クニマスの泳いでいる姿の撮影に初めて成功しました。

NHKの取材班がことし2月に初めて撮影したもので、水深33メートルの湖の底で、体長30センチほどのクニマスが泳ぐ様子やメスどうしが産卵場所を巡って争う様子、それに、小石や砂利を尾びれで掘り起こす「産卵行動」が捉えられています。
特にクニマスの「産卵行動」は、僅かに残る記録では「冬に深い場所で産卵する」とされるだけで、その決定的証拠となる映像です。クニマスの撮影には長時間の水中撮影を強いられるため、ロボットカメラを産卵ポイントと思われる場所の近くに設置しました。
西湖のクニマスは、昭和10年に秋田県の田沢湖から持ち込まれた10万個の卵をもとに、繁殖していると考えられています。
西湖は秋田県の田沢湖と似て水深が深く、クニマスは、周囲の山からの湧き水で水温が低く保たれた生息環境の下で、70年間、人知れず生き続けてきました。
日本を代表する魚類の分類学者で京都大学の中坊徹次博士は「世界で初めての生態映像なのですごいのひと言です。クニマスが、今、西湖にしかいないのは危険だが、生態系を広い意味で捉えて全体を守ってほしい」と話しています。

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