普段何気なく使っている文房具でも、ビックリするような値段がついているものがありますよね。
身近な「シャープペンシル」の高級品とはどんなものなのか、ぺんてる株式会社の国内営業本部営業企画部プロモーション課、丸山さんにお聞きしました!
――高級品と一般的な商品は、どう違うのでしょうか?
「一般的に、高性能と言われているシャープペンシルは『製図用』として売られているものが多いかと思います。CADなどがなく設計図を描くのがすべて手書きだった時代、プロの方に愛されてきた商品です。その使いやすさが一般にも認められて、設計のお仕事以外の方にも愛されるようになりました。弊社の商品ですと、1,000円のものもあります」
――万年筆などの高級品と比べればお手ごろですが、一般的なシャープペンシルと比べれば、かなりお値段がしますね。
「弊社製図用シャープペンシルの特徴は、低重心設計で細身に作られていること、それから先端のパイプ部分が細いことです。
グリップに関して言えば、弊社ではラバーと金属を組み合わせて程よい硬さで握りやすく設計してあるものや、金属だけのものがほとんどです。本体は、一般的なものに比べて細めのものが多いですね。
先端の細いパイプはスリーブと言いますが、一般的なものだと2mm~3mmが多いのに対し、製図用は4mmとちょっと長めです。これは、定規を使うことを想定して、定規の厚みがあっても描きやすくしています。また、ペン先と紙の間にすき間があることで、視認性も高くなっています」
――1mm~2mm長いだけで、だいぶ違うのですね。細かい技を感じます!
「そのほか、製図用の特徴としては、ペン先に重心がある低重心タイプになっていて、安定した書き心地であること。重心が上にあるとフラフラしてしまうイメージはお分かりいただけると思います。製図用のシャープペンシルは本体に金属を使っているものも多く、一般的なプラスチックのシャープペンシルよりは全体の重量は重めですが、この低重心のおかげで安定した書き心地が得られます。
ほか、弊社の製図用シャープペンシルは、クリップが外れるようになっています。これは、ペンを回しながら書くことを考えて、邪魔にならないようにするため。
製図をする方には、一定の線の太さで書きたいというニーズがあります。ある方向からだけ書いていると芯の先が斜めになって太くなってしまうため、ペンを回しながら書くことがあるので、それを想定しています。
また、B、HB など、芯の濃さを表示する窓(芯硬度表示窓)がついています」
――製図用シャープペンシルに、最近人気のものなどはあるのでしょうか?
「基本的な性能は昔と大きく変わっていないと思いますが、本体のデザイン、色が豊富になったなと思います。昔は、ブラックなどの暗めな色が多かったんです。派手な色や光沢は、長時間使う人にとって目の負担になるからです。
一般用に使われることも多くなって、一般の志向を取り入れたシルバー系なども増えましたし、ロングセラー商品の限定品として、真っ赤なものを発売したこともあります。
そのほか最近のペン類のトレンドとしては、シャープペンシルに限ったことではないのですが、カスタマイズできるペンが人気ですね。本体のデザインを豊富な色・柄から選んで、リフィルも別購入というものです。文房具店さんに行けば、各社が趣向を凝らしたものが置いてあると思います。ボールペンもありますし、シャープペンシルとボールペンを組み合わせたものもあります」
――ありがとうございました!
毎日使うシャープペンシル、皆さんもぜひお気に入りの一本を手に入れてみてはいかがでしょうか。
ぺんてる株式会社
昭和21年創立。ボールペン、シャープペンシル、くれよん、絵の具、マーカー、修正具などを展開する大手文具メーカー。現在は、タッチパネルなどへの分野にも進出している。
http://www.pentel.co.jp/
(島田彩子)