青い空が漆黒の宇宙へと変わる、高度十数キロ~数百キロ。
そこに、“宇宙でも地球でもない世界”がある。
流星が飛び交い、オーロラが輝くその場所を、「宇宙の渚」と名付けよう。
このシリーズは、「渚を介して宇宙と地球は連続的につながっている」という新たな世界観を体感するシリーズである。
1961年、人類初の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンが「地球は青かった」と言った時から、私たちは地球を“宇宙から隔絶された要塞”のように捉えてきた。あれから50年。地球が宇宙との間で絶えず様々な物をやりとりしていて、 それがオーロラや流星といったスペクタクルを起こしていることが明らかになってきた。地球と宇宙の境目は、コンクリートの堤防ではなく、多くのものがゆるやかに行き来する、まさに「渚」だったのだ。
地上の渚に立つとき、人は海の果てのまだ見ぬ地に夢を馳せ、振り返って自らの来し方行く末を想う。
宇宙の渚に立ったとき、人類は何を思うのか?
第1集は、「宇宙の渚」最大のミステリーにスポットを当てます。 飛行機のパイロットによって密かに目撃されてきた謎の閃光がありました。雷雲から宇宙に向かって放たれる稲妻のように見えたと言います。
今回、古川聡宇宙飛行士は、ラモーン宇宙飛行士の遺志を継ぎ、スプライトの撮影に挑みます。 宇宙の古川さんと連携しながら、飛行機からもスプライトを狙いました。 その結果、宇宙の渚の上と下から、大接近映像を撮影するのに成功。謎に包まれた“妖精”の正体をついに解き明かしました。
撮影された映像からは、地球がいかに宇宙から多大な影響を受けて存在しているかが明らかになります。
第2集は、「宇宙の渚」最大のスペクタクル、オーロラです。
古川聡宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション滞在中に32回、オーロラと遭遇、撮影に成功しました。 ここではオーロラは天井ではなく眼下に現れます。幻想的なオーロラの映像をたっぷり堪能していただきながら、 その美しさの背後にあるストーリーを紡いでいきます。
オーロラは、太陽からの粒子が地球の大気に激しく打ち寄せたとき、大気が光り輝く現象です。 美しさの裏には地球と宇宙の間の壮絶な攻防が隠されています。 過去には、オーロラの中を流れる電流が原因で地上で大停電が起こったこともあります。 オーロラは宇宙の荒波の中で地球の置かれた状況を教えてくれているのです。
オーロラは、地球の未来も啓示しています。 今年から来年にかけて、大規模なオーロラが地球を襲い、200兆円規模の被害をもたらすという予測があります。 そしてその後は一転してオーロラがほとんど現れない時代が100年近くも続き、地球を寒冷化と干ばつが襲うとも言われています。 宇宙の渚から、オーロラのメッセージを読み解きます。
国際宇宙ステーションから、流星は、地球に向かって突き刺さって行くように見えます。 古川聡宇宙飛行士は、国際宇宙ステーションから300個もの流星を撮影することに成功しました。地球に降り注ぐ流星は、暗いものまで含めると、 1日に2兆個、100トンにもなり、流星とともにたくさんの物質を地表まで届けていることが分かりました。
そのなかには、遠い宇宙で作られた有機物も含まれ、そこから私たちの遠い祖先、地球最初の生命が誕生したとも考えられています。 流星は、生命を載せて、はるか宇宙を旅する箱舟なのかもしれません。
流れ星に願いをかけるのは万国共通です。宇宙で見る流星には、地上で見る流星と全く違う感慨を持つ、と宇宙飛行士たちは言います。個人的ではない、 人類共通のもっと大きな願いをかけたくなると言うのです。古川さんが宇宙の渚から撮影した流れ星を見て、あなたならどんな願いをかけますか?