お店の閉店。
わたしたちはタクシーを呼んだけど、なかなか来ない。
まるで行き先を悩んでる、わたしたちを見越してるのかな…って思った。
そんな時、後ろから抱きしめられた。
そう言えば昔、よくこうやって色々なこと、話したっけ。
ぼんやり、そんなこと考えてたら。
彼が言った。
部屋に行こうよ。
とっさにわたし。
イヤ。
って言葉が出た。
何でだろう。
とっさに出たイヤ。
その言葉の重みを2人でかみしめた。
ずっと×2昔ね。
入院してた病院で、主治医だった彼。
わたしが退院する前日。
わたしの病室で…
キスして良いですか?
と聞かれ。
はい…
と答えたわたし。
それがはじまりだった。
そんなことを2人で思い出してた。
なつかしいなぁ。
あの頃。
でも、あれから時が経って。
わたし、彼に言った。
最後にキスして良い?
そして。
最後のキスをしました。
きっと彼もその意味を解ったはず。
長いキスの間。
いろんなこと、思い出した。
彼に愛されたこと。
奥様が職場に乗り込んできたこと。
大阪に一緒に行こうと言われたこと。
行かないと決めたこと。
彼を忘れられない日々。
そして…
彼にタクシーでホテルまで送ってもらいました。
ありがとう。
お互いに大好きな笑顔で、そう言って別れました。
そうそう。
わたし、この大阪の仕事はね。
後輩に譲ることにしました。
もう大阪に出張することも、彼に逢うこともない。
翌日、普通に打ち合わせ。
一緒にランチ。
午後も打ち合わせ。
最後に彼に意地悪されたけどね…。
今気になる人。
その人が東京駅までお迎えに来てくれるかも。
なんて話もあったのに。
何かを察した彼に。
見事に邪魔されました。
山梨に戻り。
また当たり前の日常。
幸せだよ。
わたし。
あなたに出逢えて、ホント幸せだったと思う。
何だか次に、前に。
進めそうな気がしてる。
そう思えるようになった。
彼にココロから、ありがとう。
ばいばい。