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「おかんの面倒はまず家族」だけど…

 人気お笑いタレントの河本準一(37)が25日、母親が生活保護を受給していたことを謝罪した。生活保護費の増加は財政を圧迫しており、小宮山洋子厚生労働相は支給水準の引き下げを検討する考えを明らかにした。行政による任意調査には限界が指摘される一方、厳しい対応を危ぶむ声もある。

 景気後退とともに、1995年には約88万人だった生活保護受給者は今年2月時点で約210万人に迫った。失業し再就職できない中高年など、公助を必要とする人は減りそうもない。

 憲法の生存権の規定に基づく生活保護は、資産や働く能力などをすべて活用しても生活に困ったとき、行政が手を差し伸べる制度。河本さんが「おかんの面倒」は「自分がしなければならない」と述べたように、まず家族で助け合い自立のため努力することが前提だ。

 だが生活保護が必要かどうかの調査は任意だ。生活保護が申請されると、行政の担当者は扶養義務のある親族を訪問するなどして、年収や扶養できるかどうかを尋ねる。全国公的扶助研究会の渡辺潤事務局長は「行政には強制的に調査する権限がなく、扶養の可否は親族の答えを信用するしかない」と話す。

 2012年度の生活保護費は3兆7000億円で、25年度には5兆2000億円に達すると試算されている。不正受給額も10年度には10年前の3倍の約130億円となった。

 生活保護の適正な運用は必要だが、受給のハードルが高まることへの懸念もある。

 07年、生活保護を打ち切られた北九州市の52歳の男性が「おにぎり食べたい」と日記に書き残し孤独死した。日記には市から保護の辞退を強制されたかのような記述があった。市民団体に刑事告発された元福祉事務所長は不起訴となったが、生活保護行政の在り方が問題視された。

 NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの稲葉剛代表理事は「審議会で検証中の支給水準の見直しを、河本さんの記者会見に乗じて厚労相が持ち出すのは問題だ」と批判。「家族の存在を理由に、生活保護窓口で追い返される例もあるが、DV被害者や虐待経験者ら家族と接触が難しい人もいる。困っている人が相談に行きにくい状況が孤独死や餓死を招く恐れがある」と話している。(共同)

 [2012年5月26日6時10分]







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