告訴・告発状の書き方
目次
イ. 個人的法益に対する罪
ロ.
社会的法益に対する罪
ハ.
国家的法益に対する罪
告訴とは、犯罪の被害者その他一定の者(告訴権者)が、捜査機関に対して、ある特定の犯罪が行われた事実、あるいは行われている事実を申告し、その犯人の処罰を求める意思表示です。
一方、告発とは、告訴権者と犯人を除く第三者が捜査機関に対して犯罪事実を申告して、犯人の処罰を求める意思表示です。
告訴も告発も捜査機関に対して犯罪が行われたこと、あるいは行われていることを申告して、捜査開始のきっかけになるということでは同じですけれども、大きな違いは、親告罪(告訴がなければ処罰することのできない犯罪)において告訴が重要な役割にあるということです。
なお、告訴・告発は、原則として口頭による事も可能であるが、捜査機関は「いい顔」をしないので、文書による告訴状・
告発状の提出をすべきである。
さあ、彼方も、この“告訴・告発状の書き方”を参考に告訴状、告発状を書いてみてください、捜査機関がやる気があり、
誠実なところであれば、動いてくれるでしょう。
*
刑法上の親告罪
●信書開披罪(133) 秘密漏泄罪(134)
●強制わいせつ罪(176) 強姦罪(177)
準強制わいせつ・準強姦罪(178)
上記各罪の未遂罪(179)
但し、これらの罪を二人以上が現場で共同して犯した場合は非親告罪となる
●過失傷害罪(201@)
●略取材・誘拐罪(224) 猥褻・結婚目的拐取罪(225)
拐取幇助罪(227@) 被拐取者収受罪(227B)
上記各罪の未遂罪(228)
但し、これらの罪を営利目的から犯した場合は非親告罪となる(229)
●名誉毀損罪(230) 侮辱罪(231)
●親族間の窃盗罪・不動産侵奪罪(235,235−2)
上記各罪の未遂罪(243)
●親族間の詐欺罪・恐喝罪・背任罪(246・248・249・247)
上記各罪の未遂罪(250)
●親族間の横領罪(252・253・254)
●私用文書毀棄罪(259) 器物損壊罪(261)
信書隠匿罪(263)
*特別刑法において親告罪とされるものは、著作権などの侵害罪(著作権法)・特許権などの侵害罪(特許法)・実用新案などの侵害罪(実用新案法)等がある。
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B.告訴図解
告訴図解
1.告訴の意義 |
a.被害者などの告訴権者が b.捜査機関に c.犯罪を申告し d.処罰を求める意思表示 |
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2.告訴権者(刑事訴訟法230〜234) 及び告訴の方式(241) |
a.書面又は口頭(電報・電話不可) b.検察官又は司法警察員(巡査部長以上) c.口頭の場合は、当局が告訴調書を作る事になる |
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3.告訴人に対する処分通知 及び不起訴理由の告知 |
刑事訴訟法261条 |
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4.親告罪 |
意義 |
告訴が訴訟条件である犯罪 |
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種類 |
a絶対的親告罪―常に告訴条件となる犯罪(例えば、器物損壊罪など) b.相対的親告罪―通常は親告罪ではないが、犯人と被害者とが一定の親族関係のある場合に限って告訴条件となる犯罪(例えば、親族相盗) |
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親告罪設立理由 |
a. 罪質軽微である為被害者の意向如何では、特に国家が犯罪として取り上げる必要がない(侮辱罪・名誉毀損罪・器物損壊罪など) b. 被害者の意向を無視しての訴追が被害者に重大な不利益を与えかねないもの(強姦罪など) c. 国家権力の介入を適当としないもの(親族相盗) |
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告訴不可分の原則 |
a.主観的不可分(刑事訴訟法238−1) ・ 告訴又はその取消は共犯者の一人に対してすれば、他 の共犯者にも、その効力が及ぶ。 ・ 共犯者のある者に処罰を求めても、他の共犯者全員にそ の効力が及ぶ。つまり、告訴は、犯人に対するものではな く、犯罪事実に対するものだからである。 ・ 相対的親告罪の場合、非親族に対する告訴の効果は、 共犯者全員が親族である場合、告訴は全員に及ぶ。 b.客観的不可分 ・ 一個の犯罪事実の一部に対する告訴又はその取消は、 全部に及ぶ。 ・ 処断上一罪の場合でも、その一部に対する告訴の効力は 全部に及ぶ。但し、各罪が被害者をことにする場合は別。 |
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期間の制限 |
a.告訴 ・ 犯人を知った日から六箇月以内。但し例外あり(刑事訴訟 法235) ・ 告訴権者が数名いる場合は、一人が告訴権を失っても 他の告訴権者には影響なし。 b.取消― 起訴の時までに限り、取消をした者は、さらに告訴はでき ない(刑事訴訟法237)。 |
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告訴の強制調査は証拠保全の必要のある場合はできる |
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告訴権者
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被害者(刑事訴訟法230条)・・・犯罪により直接被害をこうむった者。これは、強姦罪における姦淫された婦女、名誉毀損罪における名誉を毀損された者のように、侵害された保護法益の主体たる者の他、構成要件の内容として規定されている犯罪行為の直接の客体となったもの、例えば、公務執行妨害罪における、暴行・脅迫の対象になった公務員も含まれる。
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告訴権者は自然人だけではなく,法人や法人格のない社団・財団も含まれ、実際の告訴は、その代表者がする。
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また、告訴権者は一人とは限らず、被害者が数人あるときは、各人がそれぞれ独立して告訴権を有する。
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被害者の法定代理人(231@)・・・被害者が未成年者である場合、その親権者である父母若しくは養親または後見人は、被害者本人の意思とは独立して告訴ができる。
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被害者の配偶者・直系親族・兄弟姉妹(231A)・・・被害者が告訴をしないで死亡した場合、被害者が、生前何らかの方法で告訴をしないことを明らかにしていた場合以外、告訴をすることができる。
なお、被害者告訴権を失った後死亡した場合は、もはや告訴はできません。
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検察官が指定した者(240)・・・告訴をする者について法律上または事実上利害関係があるものの申し立てにより、検察官が指定する者で、指定を要するときは、利害関係を示して申し立てをする。
*
告訴権を有する者から代理で告訴をする権限を授与されれば、特別な資格がなくても誰でも代理人として告訴をすることができる。
告発権者
告発を待って論ずる罪であるか否かを問わず、罪があると思料するときは、誰でも告発をすることができます。ただ、告発を待って論ずる罪の場合、もし、私人が告発したとしても、捜査の端緒を提供したという意味しかなく、訴訟条件を満たすことはできない。
ところで、告発は権利であり、私人の場合するかしないかは自由ですが,公務員が職務を行う上で犯罪があると思料するときは、告発の義務が生じます(239A)
基本的には、誰を、どのような犯罪事実について処罰してほしいかが明らかにされていればよいのです。
犯人については、判例上でも法解釈上でも、特定は必要とされておらず、その氏名・住所の特定も必要とされてはいません、また、告訴人が犯人として指名した者が誤った者であっても、真犯人の処罰を求める意思がある限り、告訴の効力に影響はないとされる。しかし、実際問題として、犯人を特定する資料をできるだけ多く提供しなければ、捜査機関は動かないでしょう。
犯罪事実については、どのような犯罪事実を申告したのかが認識できる程度に特定されていれば足り,必ずしも犯罪の日時・場所・態様・罪名などにつき詳細である必要はないとされる。しかしここでも実際問題として、犯罪の日時・場所・態様・罪名などを、ある程度特定していなければ捜査機関は動かないでしょう。
告訴・告発状は、そこに犯人の処罰を求める意思があることが重要で、処罰を求める意思があうということが、単に被害の事実の申告であるに過ぎない被害届と違う点です。
告訴状例文@
告訴状 告訴人 住所 東京都中央区日本橋一ノ四ノ三 職業 不動産管理業 氏名 佐藤 まさお(昭和10年3月3日生) 印 被告訴人 住所 千葉県松戸市秋山2345ノ1 職業 公務員 氏名 木村 次郎(昭和25年9月14日生) 昭和76年9月1日 日比谷北警察署長殿 一 告訴の趣旨 被告訴人の以下の所為は、刑法xx条(xx罪)に該当すると考えるので、被告人を厳罰に処することを求め告訴する。 一 告訴事実 被告訴人は、昭和76年8月15日午後2時ごろ、東京都中央区銀座の和光前交差点付近を通行中の私に対して「眼をつけやがって、ちょっとこっちへ来い」と言いがかりをつけ、私と私の友人の二人を裏通りへ連れて行きました そこで、私たちは、被告訴人と連れの五人に取り囲まれ「さっきはなんだ、おとしまえをつけろ、十万円で勘弁してやる、早く出せ」と、被告訴人から脅しました。 しかし、私は、その要求を拒みました、すると、いきなり、被告訴人は私の腹部を蹴り、私が倒れこむと,今度は、私に馬乗りになり、頭部を何回となく殴りました。そのため私は、後頭部に15針、顔面に13針も縫い、手首を骨折し、加療一ヶ月の怪我を負わされたうえ、現金四万二千円を奪われました。 被告訴人の、前記行為は刑法240条の強盗傷害に該当すると思われますので、被告訴人の厳重な処罰を求めるため、ここに告訴いたします。 二 立証方法 1 参考人 私の友人甲 2 参考人 目撃者乙 3 中央外科病院医師 田中秀雄作成診断書 三 添付書類 上記診断書 一通 |
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告訴期間 親告罪の場合・・・「親告罪の告訴は、犯人を知った日から六ヶ月を 経過したときは、これをすることができない」(刑事訴訟法235@本文) とされ、六ヶ月経過後の告訴は無効となります。 また、ここで、「犯人を知った」とは犯罪事実の認識を前提として、 告訴権者が告訴の要否を決しうる程度に犯人がどういう人物である かの認識をもつことを言うとされる。判例は、犯人の住所、氏名などの 詳細を知る必要はないが、犯人の何人たるかを特定しうる程度に認識 する必要があるとしている。 次に、「犯人」とは、親告罪にあたる犯罪事実の犯人を言うとされ、 例えば、犯人が強姦を犯す目的で暴行を加えたのに、被害者が単に 暴行罪の被害しか認識していないときは、いまだ犯人を知ったことには ならす、後で、被害者に強姦罪であるとの認識が生じたとき、初めて 犯人を知ったことになり、その時から告訴期間は起算されます。ただし、 被害を受けた事実が具体的にどういう罪名にあたる釜での認識を要せ ず、被害者の認識した事実が法的に見て親告罪に当てはまる以上 親告罪としての認識を得たことになります。 「犯人を知った日」とは、犯罪行為終了の日で、告訴権者が、誰が 犯人かを知った日をさし、犯罪の継続中に犯人を知ったとしても、犯罪 行為の終了時点から告訴期間が進行するのであり、必ずしも、犯罪の 継続中に犯人を知った日が、告訴期間の起算日にはなりません。 告訴をすることができる者が数人ある場合は、告訴期間は各告訴 権者ごとに犯人を知った日が起算日となり、告訴権者のうち、一人の 告訴期間の徒他の者の告訴権に影響しません。 被害者とその法定代理人またはこれに代わる親族とが重複して告訴 権者である場合、それぞれが犯人を知った日が異なるときは、各自が 犯人を知ったひがそれぞれの告訴期間の起算日になる。 六ヶ月の原則の例外として@外国の君主・大統領または外国の使節 に対する名誉毀損罪・侮辱罪につきが外国の代表者または外国の使節が 行う告訴には告訴期間の制限はありませんA略取・誘拐された後、その 犯人と結婚した者は、結婚の無効、取り消しの裁判が確定した日に告訴 権が生じ、その日から六ヶ月以内が告訴期間です。 なお、告訴期間の計算は初日不算入の原則により、犯罪行為の終了 の日の翌日から起算し、期間の末日が日曜・祝日であれば、その翌日が 末日とされる。 非親告罪の場合・・・非親告罪の告訴は、単に捜査の端緒としての意味 しかないので特に告訴期間というものを設ける意味はなく、制限はありません から犯罪事実の公訴時効が完成するまで告訴することができます。 しかし、公訴時効の完成間際になって、告訴しても、捜査機関は動かない でしょう。 告発の期間 告発は、それが訴訟条件となっている場合であると否とを問わず、告発 期間の制限がないので、公訴時効が完成するまで、いつでも告訴すること ができます。 未成年者の告訴・告発 告訴告発は、訴訟行為の一つですから、訴訟(行為)能力、すなわち 訴訟行為の意味・効果を理解し、これを有効になしうる能力のある者がす る必要があります。具体的には、被害事実を理解し、告訴・告発をするこ に伴って生ずる自己の社会生活上の利益、不利益を判断する能力が 必要とされます。従って、たとえ、未成年者であっても、意思能力の認め られる者であれば、固有の権限にもとずいて、告訴することができます。 なお、禁治産の宣告を受けた者でも、一時本心に復した時は、法定代 理人によらず、告訴することができる場合がある。一方、準禁治産者 の場合は、告訴権者といて欠けるところはない。 代理人による告訴・告発 告訴については、刑事訴訟法240条において「告訴は、代理人により これをすうことができる」とされており、親告罪、非親告罪を問わず告訴の の代理は許される。一方、告発は、代理になじまないとされる。 ※ 告訴の代理人となるには、告訴権者から代理権を授与する旨の委任を受けることが 必要です。この代理権授与の事実は委任状によって証明することになります。 なお、代理人の資格に制限はなく、誰でもなれます。 ※ 告訴状を代理人が作成する場合、まず、告訴人に上申書を書いて貰い、その 上申書に基づいて告訴状を作成する。 ※ 告訴状を当局に持参する場合、告訴人も連れて行くべきである。 |
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条文 |
規定 |
内容 |
告 訴 権 者 |
230 |
告訴権者1 |
犯罪により被害を被ってもの=被害者 |
231の1 |
告訴権書2 |
被害者の法定代理人=親権者など ・ 被害者の意思とは無関係に告訴できる |
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231の2 |
告訴権者3 |
被害者が死亡した場合、被害者の配偶者、直系親族( 父母など)、兄弟姉妹が告訴権者となる。 ・ 被害者が生前、告訴しない旨を明らかにした場合 は告訴できない。 ・ 名誉毀損について、告訴できる親族の範囲の特 即が233の2にある。 |
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232 |
告訴権者4 |
231の1の告訴権者が被疑者であるとか、被疑者の配偶者・四神道内の血族・三親等内の姻族である場合被害者の親族が被害者に意思とは無関係に告訴権者になる。 |
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233の1・2 |
告訴権者5 |
(1)死者に対する名誉毀損罪(2)名誉毀損罪に付き被害者が告訴をしないで死亡した場合は、死者の親族・子孫が告訴権者になる。 ・ (2)の場合は、被害者が告訴しない旨明らかにし ていた場合は告訴できない。 |
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234 |
告訴権者6 |
親告罪に付き、告訴できる者がいない場合検察官が指定した者が告訴権者になる。 |
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告発 権者 |
239の1 |
告発権 |
何人も、犯罪があると思料する時は告発する事ができる。 |
239の2 |
公務員の告発義務 |
国家公務員・地方公務員は、其職務を行う上で犯罪があると思料するときは告発しなければならない。 |
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告訴 告発 の方 式・ 手続 |
241の1 |
告訴・告発の方式 |
書面・口頭どちらでもよい(口頭は嫌がられる) |
241の1 |
受理機関 |
検察官(大きな事件)又は司法警察員(巡査部長以上) |
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241の2 |
口頭の受理による捜査機関の調書作成義務 |
検察官・司法警察員とも調書を作成しなければならない |
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242 |
告訴・告発を受理した司法警察員の検察官への送付義務 |
司法警察員は関係書類および証拠物を速やかに検察官に送付しなければならない |
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243 |
告訴・告発の取消 |
241・242の規定は取消の場合も準用される |
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244 |
外国の代表者が行う告訴・其取消の特別方式 |
外国の君主又は大統領の名誉に対する罪に付いては外国の代表者が行う告訴又は告訴の取消しは、241条の方式による事ができるほか、外務大臣に対してする事ができる。外国の使節に対する名誉毀損・侮辱罪についてもどうようである。 |
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期 間 |
235の1 |
親告罪 |
原則は犯人を知った時から6っヶ月以内。例外は、外国の使節等に行う場合で、機関尾制限はない。 |
235の2 |
一部の親告罪 |
略取又は誘拐された後その犯人が婚姻した者の告訴の場合は、婚姻の無効・取消の裁判の確定した日から6ヶ月以内。 |
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236 |
告訴期間の独立 |
親告罪について告訴権者が二人以上いる場合、ある者の告訴期間が過ぎてしまっても、他のものの告訴機関に影響はない。 |
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非親告罪についての告訴期間 |
告訴期間の制限はない(公訴時効が完成するまで告訴できる) |
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告発期間 |
告訴が訴訟条件となっているか否かを問わず、告訴期間の制限はない(公訴時効が完成するまで告発できる) |
||
取 消 |
237の1 |
告訴の取消 |
公訴の提起(起訴)があるまでは取り消せる。それ以後の取消は無効。 |
237の2 |
再告訴の可否 |
告訴を取り消した者は再告訴できない(親告罪についての規定であり、非親告罪に付いては再告訴も可能と考えられる。 |
|
237の3 |
237の1・2の準用 |
請求を待って受理すべき事件の請求に準用する |
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告訴・告発 其取り消し の効力 |
238の1・2 |
主観的不可分の原則・客観的不可分の原則 |
上記図解B参照 |
告訴・告発 其取消の 代理 |
240 |
告訴・告発とその取消の代理 |
告訴及びその取消は、告訴権者から委任された代理人によってもなすことが出来る。 240条が告発に触れていない事から、告発・告発の取消には代理は認められないと解するのが一般である。 |
検察官の 処分結果 通知義務 |
260 |
告訴人・告発人などに対する起訴・不起訴などの通知 |
検察官は告訴・告発があった事件について起訴した場合も、不起訴とした場合も速やかにその旨を告訴人・告発人に通知しなければならない。 起訴を取り消したり、事件を他の検察庁の検察官の送致した場合も同様である。 |
261 |
告訴人・告発人などに対する不起訴理由の告知 |
検察官は、告訴・告発があった事件について、不起訴とした場合は告訴人・告発人の請求があれば、不起訴理由を告げなければならない。 |
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告訴人 告発人 の救済 制度 |
262の1 |
公務員の職権乱用罪のつき不起訴処分を受けた場合の不服申したて |
職権乱用罪又は公安調査官の職権乱用ん付いて告訴・告発をした者は、検察官がした不起訴処分に不服がある者は、其検察官所属の検察庁の所在地を管轄する地方裁判所に、事件を審判に付する様請求する事ができる(付審判請求)。 |
262の2 |
付審判請求出来る期間・方式 |
法260の通知を受けた日から7日以内に不起訴処分をした検察官に請求書を提出する。 |
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263の1・2 |
付審判請求の取り下げ、再請求の可否 |
付審判請求は、其請求に対する裁判所の決定が通知されるまで取り下げる事ができる。 請求を取り下げた者は、其事件に再度不審判請求をする事ができない。 |
|
264 |
検察官の公訴提起義務 |
検察官は、付審判請求に付き、起訴相当の理由があるときは、公訴提起の義務がある。 |
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検察審査会法 30 |
不起訴処分の当否に関する審査申立権 |
被害者・告訴人・告発人・その他請求を待って受理をすべき事件の請求人は、検察官がした不起訴処分に不服があれば、其検察官所属の検察庁の所在地を受け持つ検察審査会に、其処分の当否の審査の申立をする事ができる。但し、内乱に関する罪・独禁法の罰則違反かかわる事件に付いては審査を申し立てることはできない。 |
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検察審査会法 31 |
審査申立の方式 |
書面により申立の理由を明らかにしなければならない。 |
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検察審査会法 32 |
一事不再理 |
検察官の不起訴処分の当否に関して、検察審査会が起訴相当・不起訴相当などの議決をしたと後は、同一事件につき再度審査の申立をすることはできない。 |
|
|
上級検察庁の長に対する不服申し立て |
検察官のした不起訴処分に不服がある者が、其検察官所属する検察庁の上級検察庁の長ん対し不服を申立監督権の発動をそくすと、上級検察庁はこれを受理し、其不起訴処分の当否を再考するなどの取扱いが検察事務上行われているらしい。 |
|
不当な告 訴・告発 の抑制 |
183 |
告訴人・告発人などの費用負担 |
告訴・告発などが重要な影響を及ぼした結果公訴が提起された事件に付いて、被告人が無罪又は免訴の判決を受けた場合に、告訴人・告発人らに故意又は重大な過失があるときは、其告訴人らに訴訟費用を払わせる事ができる。 |
1. 用紙・・別に決まりはありません、便箋でもかまいません。じょうき
2. 文体・・「〜です」「〜ます」調がいいでしょ。
3. 項目・・(一)、(1)、A,a,ア、第一、1.、とかを使い項目を分ける。
4. 書式・・一般に告訴・告発状の書式に法定の定めはありません。しかし、告訴・告発が訴訟条件となっているものについて検察官は裁判所に訴訟条件存在の立証のため、その告訴・告発状を提出しなければならないので、作成上一定の方式が定められている。
すなわち、@公務員が国又は地方公共団体を代表して告訴・告発をする場合、その告訴・
告発状には作成年月日を記載し、所属官公署を表示し、作成者が署名押印しなければなら
ない。また、告訴告発状が数通に渡るときは、一枚ごとの継ぎ目に契印(割り印)をしなければな
らす、さらに、文字の改変は許されず、文字を加入したり削除した時はや欄外に記入した時は
、その部分に認印をした上、加除した数字を上欄にしさいし、削除した文字は読み取れるように
残しておかなければならないとする。A公務員以外の者が告訴・告発状を作成する時は、年月
日を記載し、作成者が署名押印しなければならないとされており、代書者によってなされた時は
代書した理由と代書者の署名押印を必要とする。押印できない時は左手一指指の指紋でよ
いとする。
なお、上記規則に反しても告訴・告発の効力に影響はないとされる。
5. 内容・・感情的になり、偏見をもった態度で告訴・告発状を作成すると誣告罪、名誉毀損罪
になるようなこともあるので、冷静さを欠かず真実を間違いなく書くべきである。
6. 犯行の日時、場所・・正確に特定する必要はなく「〜ごろ」「〜辺りで」というものでいい。
7. 余罪・・付記しておいてもいいでしょう。
8. 作成通数・・原則として1通でいいが、作成者本人も控えとして取っておくべきだから2通作成すること。
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G.告訴・告発状の例文(告訴事実)
[殺人罪]
「刑法199条 人を殺したる者は、死刑又は無期若しくは三年以上の懲役に処す」
被告訴人は、XX建設代表取締役であるが、工事の受注が思うように行かず、銀行からの
借金の返済のめどが立たず、このままでは、会社は倒産、一家は離散してしまうことを憂い、保険金
殺人を思い立ち、被告訴人は、自らを受取人として、従業員のA・B・Cにそれぞれ五千万円の
生命保険契約を締結していたものであるが、2003年3月3日、従業員A・B・Cの殺害の意思を
持って、A・B・Cらを箱根へドライブに誘い、同日午後9時30分頃、車ごと芦ノ湖に突っ込み、自ら
はすぐに脱出し助かったが、A・B・Cを車に閉じ込め溺死させたものである。
● 殺人罪は、一般的に重大犯罪であるので、告訴・告発を待つことなく、捜査機関は、死体の
の発見などにより捜査を開始するものである。しかし、捜査機関が、自殺による死亡であるとか、
過失による死亡であると判断して捜査を開始しない場合に、死亡者の遺族が、死亡が、殺害さ
れたものであると言う合理的な理由がある場合は告訴する事が出来る。
● 殺人罪は動機・原因を明らかにする事によって成立する犯罪であるから、犯罪の動機を具体
的かつ明確にする必要がある。
● 殺人罪は、被害者の死亡により既遂に達するのであるから、特定できる限りで死亡の日時・
場所・殺害の実行行為の態様を特定する必要がある。
[殺人予備罪]
「刑法201条 前二条の罪を犯す目的をもって其予備を為したる者は二年以下の懲役に処す
但し情状によりその刑を免除することを得」
被告訴人は、以前、告訴人足利麗子と交際していたものであるが、2004年4月4日御茶ノ水
の喫茶店「ピカソ」において、別れ話を持ちかけられたことに憤慨し、告訴人を殺害しようとして、
出刃包丁を隠し持ち、2004年4月5日午前9時頃告訴人の勤め先である本郷三丁目の本郷
出版株式会社玄関付近に於いて、告訴人が出勤するのを待ち、因って殺人の予備をなしたの
である。
● 殺人予備罪が成立するためには、予備行為を殺意をもってする必要がある。そのため、殺意
至る動機・事情を明確にする必要がある。
● 殺人予備は、殺人の実行行為に至る準備行為として、殺意を持って、殺害目的に役立つ
行為(出刃包丁を買うなど)をすることである。一方、殺人未遂は、殺人の実行行為はしたが、
既遂にいたらなかった場合である。
[殺人未遂]
「刑法203条 199条、200条及び前条の未遂罪はそれを罰する」
被告訴人は、以前、告訴人足利麗子と交際していたものであるが、2004年4月4日御茶ノ水
の喫茶店「ピカソ」において、別れ話を持ちかけられたことに憤慨し、告訴人を殺害しようとして、
出刃包丁を隠し持ち、2004年4月5日午前9時頃告訴人の勤め先である本郷三丁目の本郷
出版株式会社玄関付近に於いて、告訴人が出勤するのを待ち、出勤して来た告訴人に、隠し
持っていた出刃包丁で被告人に切りつけたが、被告人の抵抗により、全治3週間の傷害を負わ
たに止まり、因って殺害の目的を遂げなかったものである。
● もちろん、殺人未遂にも“殺意”は必要である。
[傷害罪]
「204条 人の身体を傷害したる者は10年以下の懲役又は30万以下の罰金若しくは科料
に処する」
被告訴人は、2003年1月30日午後4時30分頃東京都XX区XX町1−2の株式会社
慶応出版配送センター内において、告訴人に対して「お前はみんなに嫌われている、性根を治し
てやる」等と言いがかりをつけ近寄ってきた。告訴人が「ケンカなら後にしてくれ」よいうと、被告訴
人は「後も先もねえ、今やるんだ」と凄んで、告訴人の胸倉を掴み、告訴人を床に押し倒し、テ
−ブルの上にあったカッターナイフで告訴人の顔面に切りつけ、さらに、両腕の握りこぶしにより
被告人の胸部を数十回に渡り殴り続け、顔面額に五針、頬に十針の傷、肋骨骨折に至らしめ
、被告人に対し加療二ヶ月を要する傷害を負わせたものである。
●
犯行の日時・場所はもちろんのこと、傷害罪では、犯行の動機が一方的なものであるのか、そ
それとも、被害者側にも何らかの理由があるかが重要である。従って、犯行に至った経緯をしっかり
示す必要がある。
●
傷害罪で最も重要な点は、加害者の実行行為がどのようなものであるかにある。従って、どのよ
な行為によって、どのような傷害が負わされたかを詳しく示す必要がある。
●
傷害罪の告訴には医師の診断書が必要であるが、その診断書に記載されている診断事項と
告訴状に書かれている傷害の状況が一致したものでなければならない、例えば、ナイフで「顔面を切りつけ・・・」と告訴状に記載されているのに診断書では「足に切り傷・・・」というのでは、状況に不一致があるので、告訴状自体が疑問視される
point 傷害とは、(1)身体の完全性の侵害 (2)生理的機能の障害 (3)(1)+(2)の見解が対立するが、
判例は(2)の見解であり、髪の毛を引き抜く行為は暴行であるとする。つまり、身体への侵害が軽微であ
る場合は、傷害罪ではなく暴行罪で処罰すべきで、傷害罪で処罰するには一定程度以上の身体の
完全性の侵害に限る事になる。一方、全く身体の外部的な完全性が侵害されていなくても、例えば、
故意に感染症に罹患させる行為は傷害罪に該当する事になる。
[傷害致死罪]
「205条 (1)身体傷害に因り人を死に致したる者は2年以上の有期懲役に処す」
被告訴人は、2004年4月4日、告訴人弟大泉義男ら数人と、埼玉県加須市乙女町1−1−5の
カラオケスナック「そうぞうしい」に於いて飲食をしていたものであるが、同日午後10時25分頃、カラ
オケのマイクの取り合いにより義男と口論になり、突然、その場にあった灰皿で義男の頭を数回殴打し、
倒れた義男に馬乗りになり更に義男の顔面を殴り続けたことによる脳内出血の傷害を負わせ、翌5日
午後5時55分、同市市立病院に於いて、同傷害により義男を死亡させたものである。
● 犯行の動機・場所・日時は明確にする。
● 傷害の結果である事を示す。
Point 傷害致死罪は結果的加重犯(基本犯の故意の範囲を超えた結果が生じた場合を基本犯より
重く処罰するもの)であり、重い結果の認識・予見はあってはならないので、もし、加害者が死の結果
を予見していたなら殺人罪が成立する。
[暴行罪]
「208条 暴行を加えたる者人を傷害するに至らざる時は2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金
又は勾留若しくは科料に処す」
被告訴人は、2005年5月5日午後5時55分頃、千代田区隼1丁目2番地路上に於いて、通行中
の告訴人高山茂が、擦れ違いざまに痰を吐いたことに立腹し、いきなり告訴人の足を背後から数回蹴り、
暴行を加えたものである。
● 犯行の動機を示す。
● 暴行の方法・回数・部位などを示す。
Point 暴行とは、人の身体に向けられた有形力の行使である。しかし、有形力の行使が全て暴行罪
に該当するというわけではなく、処罰に値する程度のものでなくてはならず、例えば、単に、胸倉を掴む
行為は暴行ではない、殴るなどが典型例である。
[過失傷害罪・同致死罪]
「209条 (1)過失により人を傷害したる者は30万円以下の罰金又は科料に処す
(2)前条の罪は告訴を待ってそれを論す
210条 過失により人を死に致したる者は50万円以下の罰金に処す」
被告訴人は、2004年4月4日午後2時10分ごろ、中央区日本橋3−4−5の弁天地蔵前に於いて、
歩道は、大勢の歩行者が居る事から、自転車での通行は、周囲の安全を確認し慎重であるべき注意
義務があるのに、それを怠り、携帯電話の画面を見ながら、漫然と走行していた事により、同所を通行
していた告訴人とぶつかり、告訴人を転倒させ全治3ヶ月を要する手首骨折の傷害を負わせたものであ
る。
● 過失に於ける注意義務の内容となる、人の生命、身体に危険を及ぼす虞のある具体的状況
を示す。
[業務上過失傷害罪・同致死罪]
「211条 (1)業務上必要なる注意を怠り因って人を死傷に致したる者は5年以下の懲役若しくは禁固
又は50万円以下の罰金に処す重大なる過失により人を死傷に致したる者亦同じ」
(2)自動車を運転して前項前段の罪を犯したる者は傷害が軽い時は情状によりその刑を免除
する事ができる」
被告訴人は、タクシードライバーであるが、2003年3月3日午前3時30分ごろ、自家用車を運転し帰宅
途上、豊島区池袋3丁目を王子方面より時速60キロで新宿方面へ走行し、信号機のある交差点にさし
かかり、青信号により同所左折しようとしたが、自動車運転者としての注意義務を怠り、前方を注視せず、
漫然と運転していた事のより、横断歩道を歩行中の告訴人XXXXに気づかずに告訴人と衝突し、同人
を転倒させ全治4週間の頭蓋骨骨折などの傷害を負わせたものである。
● 被告訴人が、一定の「業務」に従事する者である事を示す記載が必要。
● 業務上の注意義務の内容を記述する。
Point 本条の「業務」とは、各人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務で、他人の生命
身体に危害を加える可能性のあるものとする(判例)。つまり、その行為が、誰でもが行う日常的な
行為というものではなく、特定の社会生活上の役割りから生じるもので、特に職業として行われるもの
でなくてもよいが、それが反復継続して為され、他人の生命・身体に危害を加えるものである。
[遺棄罪]
「217条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者の為扶助を要すべき者を遺棄したる者は1年
以下の懲役に処す」
被告訴人は、2003年3月3日午後2時15分頃、名古屋市堺4−5−6の城址公園内で、告訴人
の長女長谷川雅子(当時2歳)の身体を触るなりのいたずらをしたところ、同児がいやがり泣き出したので、
いたずらを同児の親に言われ怒られる事を恐れ、同児をどこかへ遺棄しようと企て、自分の自転車に
同時を乗せ、同所から10キロ離れた同市東3−3−3の建設資材置き場に連れて行き、同日午後
4時30分ごろ同児を遺棄し、自らその場を立ち去ったものである。
● “遺棄”とは、保護を要するものを保護のない状態に置いて、生命・身体の危険を生じさせるもの
であり、その危険は抽象的なものであってもよい。
● 被害者が保護状態にある必要がある。
● 犯行の動機を示す。
● 移置(場所の移動を伴った遺棄)である事を示す必要がある。
● 遺棄の実行行為の日時・場所を示す必要がある。
[保護責任者遺棄罪]
「218条 (1)老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任あるものがこれらの者を遺棄し
又はその生存に必要な保護をしなかったときは3月以上5年以下の懲役に処する
(2)自己又は配偶者の直系尊属に対して犯したるときは6月以上7年以下の懲役に処す
219条 前二条の罪を犯し因って人を死傷に致したる者は傷害の罪に比較し重きに従って処断す」
被告訴人は、2004年12月10日午後9時ごろ、被告訴人の母中畑悪子(当時92歳)の介護を
していたが、ちほの症状が悪化し、寝たきりの状態になったことから介護に疲れて遺棄しようと企て、
被告訴人の母中畑悪子を自己の車に乗せ、同日11時15分頃、大阪市北2−2−2の円融寺ま
で連れて行き、そのまま同所に被告訴人の母中畑悪子を放置し立ち去り遺棄したものである。
● 本罪は、単純遺棄より広く、老年者に必要な医薬品を与えない事も含む。
● 保護責任の根拠は、法令、契約、慣習、条理などに求められる。
● 本条の“遺棄”行為は、移置の他、置き去り行為も含む。
[脅迫罪]
「222条 (1)生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加ふべきことを以って人を脅迫したる者は
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処す
(2)親族の生命、自由、名誉又は財産に対し害を加ふるべきことを以って脅迫したる者亦同じ」
被告訴人は、2002年10月3日午前9時ごろ、xx市xx町15−5のスーパー「東友」事務所内において、自らが暴力団であることを示す名刺を渡し「前日買った牛肉が腐っていた、片手でいいから何とかしろ.店がどうなってもいいのか」と凄んだ。よって、告訴人の生命身体および財産に危害を加えようとしたものである。
●
犯行の原因(「」の部分)を明らかにする。
●
脅迫行為の内容は、行為者の言葉や態度を示して、その行為が刑法222条所定の行為に該当することを記載する。
Point 脅迫罪は、相手に生命・身体などに危害を加えることを言って恐怖心を生じさせようとするもので
あるが、実際に相手方に恐怖心が生じたことは必要ではない。危害を加えるという言動が相手方
に告知されるだけ(相手に伝わらなかった場合は不可罰)で脅迫罪は成立する。
脅迫罪に該当する為の害悪の告知は、人に恐怖心を生じさせるに足るものでなければならないが、
告知の内容自体が犯罪を構成するものではなくても、相手方に恐怖心を生じさせるものであれば
脅迫罪は成立すると解される。
なお、一般人なら恐怖心は生じないだろう内容の告知をした場合、たまたま相手が小心者で
あったがゆえに恐怖心を生じてしまった場合に脅迫罪が成立するかは問題であるが、加害者が
相手方が小心者である事を知って告知した場合は脅迫罪が成立すると考える。
[強要罪・強要未遂罪]
「223条 (1)生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加ふべきことを以って脅迫し又は暴行を
用い人をして義務なきことを行わしめ又は行うべき権利を妨害したる者は3年以下の懲役に処す
(2)親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加ふべきことを以って脅迫し人をして
義務なきことを行わしめ又は行うべき権利を妨害したる者亦同じ
(3)前2項に未遂はそれを罰する」
被告訴人は、告訴人が被告訴人に預金通帳を詐取され、告訴人に無断で現金を引き出されとして
警察に告訴しようとしている事を知ると、告訴人に告訴を取り下げさせようと、2003年3月3日午後6時ごろ、
札幌市北大通3−3の告訴人宅まで押しかけ「なんだおまえは告訴したのか、早く告訴を取り下げろ、いやなら
お前の命は保障しないぞ」と脅し、告訴しないように約束させたものである。
Point 強要罪は、脅迫又は暴行を手段とする。ここでの暴行は、人に対するものであればよく、人の
身体に加えられる必要はなく、また、強盗罪の暴行のように、被害者の反抗を抑圧する程度の
ものである必要はない。
[逮捕監禁罪・逮捕監禁致死傷罪]
「220条 (1)不法に人を逮捕又は監禁したる者は3月以上5年以下の懲役に処す
(2)自己又は配偶者の直系尊属に対して犯したるときは6月以上7年以下の懲役に処す
221条 前条の罪を犯して人を死傷に致したる者は傷害の罪に比較し重きに従って処断す」
被告訴人は暴力団小泉組系阿部組組員であるが、告訴人中川正が消費者金融「レインボー」
から借り受けた金員の取立てを「レインボー」から依頼され、2002年10月3日午後11時ごろ、xx県xx市xx町2323−2−1ドリームハイツ601号室告訴人中川正の自宅から連れ出し、車で同組事務所まで連れて行き、「借りた金は返さにゃあかん、返さなんだら命がいくつあってもたれへんで」と凄み、ドスを突きつけ引き続き4日間同組事務所監禁したものである。
Point 逮捕とは、人の身体を直接拘束して行動の自由を制限するもので、多少の時間的継続性を
必要とする。
監禁とは、一定の区域からの脱出を困難にするもので、一定の時間的継続性を必要とする。
[強制わいせつ罪]
「176条 13歳以上の男女に対して暴行又は脅迫を以って猥褻の行為を為したる者は6月以上7年以下の
懲役に処す13歳に満たざる男女に対し猥褻の行為を為したる者亦同じ」
被告訴人は、2004年11月11日午後6時40分頃、新宿区西新宿5−4の中央公園脇の路上に置いて、
告訴人中山明美(当時23歳)がベンチに腰掛けているのを見て、強いて猥褻の行為をしようと企て、いきなり
告訴人に抱きつき「騒ぐと殺すぞ」などと脅し、告訴人のスカートの中にてを入れ、陰部をもてあそぶなどして、
告訴人に猥褻な行為をしたものである。
● 被害者が13歳以上である場合は、暴行・脅迫を手段としていなければならない。
● ここに「猥褻な行為」とは、「行為者の性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ一般人の性的
羞恥心を害し・・・・」という判例があるが、具体的には、男女の下腹部に手をやったり、いきなり
キスする行為などを言う。
Point 本罪の被害者は男性・女性共に可能である。
[強姦罪]
「177条 暴行又は脅迫を以って13歳以上の婦女を姦淫したる者は強姦の罪と為し2年以上の有期
懲役に処す13歳に満たざる婦女を姦淫したる者亦同じ
178条 人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ又はそれをして心神を喪失せしめ若しくは抗拒不能
ならしめて猥褻の行為を為し又は姦淫したる者は前2条の例に同じ
179条 前3条の未遂はそれを罰する
180条 (1)前4条の罪は告訴を待ってそれを論す
(2)2人以上現場に於いて共同して犯したる然条の罪に付いては前項の例を用いず
181条 176条乃至179条の罪を犯し因って人を死傷に致したる者は無期又は3年以上の
懲役に処す
182条 営利の目的を以って淫行の常習なき婦女を勧誘して姦淫せしめたる者は3年以下の
懲役又は30万円以下の罰金に処す」
被告訴人は、2002年10月3日午後10時ごろ、xx県xx市xx町3−4境コーポ201号室告訴人の部屋に猥褻の行為をしようと忍び込み、告訴人田中まりが寝ている所に襲いかかり、助けを求めて叫んでいる告訴人を全裸にした上縛り上げ「騒ぐと殺すぞ、おとなしくしろ」と凄み、告訴人の犯行を抑圧したうえ性交を成し遂げたのである。
● 被害者が13歳未満である時はその手段として暴行、脅迫が行われなければならない。
●
強制わいせつの行為が明らかであるよう「猥褻の行為をしようと〜」という記述が必要である。
●
告訴人の意に反する行為であることを示すために「助けをも求める〜」というようにする。
●
本件の場合は住居侵入罪も成立する。
●
性交渉に至らず、「陰部をもてあそぶ」などといった場合は強制わいせつ罪になる。
Point 強姦罪の被害者は女性に限られ、主体は男性に限られる。
[住居侵入罪]
「130条 故なく人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し又は要求を受け
てその場所より退去せざるものは3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処す
132条 130条の未遂はそれを罰する」
被告訴人は消火器の訪問販売をしているものであるが、2002年10月3日午前11時46分ごろ、xx県xx市xx町45−2の告訴人伊野太郎自宅玄関の呼び鈴を鳴らしたところ、告訴人の妻が応対に出たので、「消火器を1本買ってくれ」と申し出たところすげなく断られたので「何だこの野郎」と凄み、故なく玄関の外から家の中に侵入してきました。
●
家人の承諾がないことを「故なく〜」と表現する。
Point 住居とは、人の起臥寝食に使用される場所と定義されてをり、テントを生活の手段としている場合は
テントも住居である。一方、いくら立派なビルジングであってもデパートは住居ではない。また住居は人の
住居(本罪の主体以外の者が住居として使用しているもの)である必要がある。したがって、如何に
住居の所有者であっても、他人に賃貸しているなど、住居として使用していない場合は本罪の主体に
なる。
実行行為は、故なく侵入する行為である。
[不退去罪]
「130条 要求を受けて、人の住居または人の看取する邸宅・建造物若しくは艦船より退去せざる者は、
3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。」
被告訴人は、2002年3月3日午後7時17分ごろxx県xx市xx町44−4の告訴人香山隆一宅において、借地の更新料の支払いについて話し合っていたところ、1時間ぐらいした午後8時17分ごろ、金額について折り合いがつかないので告訴人は「もういいから帰ってくれ」と被告訴人に対して要求したところ、被告訴人はこれに応ぜず、一方的に自己の主張をまくしたて、4時間にわたって被告人宅から退去しなかったものである。
●
退去要求の辞典を明らかにする必要がある。
●
要求の内容「金額〜」を明確に記載する。
●
不退去の間の被告訴人の態様を具体的に記述する。
Point 本罪の実行行為は、他人の住居から要求を受けても退去しない場合に成立する。
[信書開披罪・秘密漏洩罪]
「133条 故なく封緘したる信書を開披したる者は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処す
134条 (1)医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、公証人又はこれらの職にありし者故なくその
業務上取扱いたることに付知り得た人の秘密を漏洩したるときは6月以下の懲役又は
10万円以下の罰金に処す
(2)宗教若しくは祷祀の職にある者又はこれらの職在りし者故なくその業務上取扱いたる事
に付知リ得たる人の秘密を漏洩したるとき亦同じ
135条 本章の罪は告訴を待ってそれを論す」
被告訴人大野参栄は2002年3月3日午後11時ごろxx市xx町1−2告訴人板倉洋宛の郵便物が自宅郵便箱に入っているのを発見し、役所からの郵便物であり何が入っているかを確かめようと、その場で故なく封緘した信書を開披したものである。
Point 本罪の客体は「封緘した信書」である。封緘とは、信書の内容を外部から見えないように封筒に入れ
てのり付けしてある状他のものを言う。また信書とは、特定の人からある人に意思を伝達する為に宛てた
文書である。また、開披とは、第三者が、その内容を知りうる状態に置くことであり、第三者が中身を読
む必要はないが、封を切る行為は必要であるから、封が切ってあったものを読んでも本罪には該当しな
い。
●
開披の時点が既遂となるので具体的に日時、場所を特定すること。
●
正当な理由のない開披であることを記載する。
被告訴人は、宗教法人フクロウデタラメ教を称して加持祈祷の業務に従事する者であるが、2004年
4月4日、群馬県高崎市伊香保町3−3の法人道場に於ける“告白の儀“に際して、信者である告訴人
の告白から、告訴人が前科13犯であることを知り得たが、被告訴人は、同年5月5日、前橋市前橋
4−4の銭湯での雑談中、告訴人の前歴について語り、因って、業務上知りえた人の秘密を漏洩したも
のである。
● 業務上知りえた秘密である事を具体的に記述する必要がある。
● 正当な理由なく語った事を示す。
● 他人に知らせたときの状況を示す。
Point 本罪の主体は、条文に列挙されている者のみである。
[名誉毀損罪]
「230条
(1)公然事実を摘示し人の名誉を毀損したる者はその事実の有無を問はず3年以下の懲役
若しくは禁固又は50万円以下の罰金に処す
(2)死者の名誉を毀損したる者は誣もうに出づるに非ざればそれを罰せず
230条の2 (1)前条1項の行為公共の利害に関する事実に係わりその目的専ら公益を図るに出でたる
ものと認むるときは事実の真否を判断し事実なる事の証明ありたるときはそれを罰せず
(2)前項の規定の適用に付いては未だ公訴の提起せられざる人の犯罪行為に関する
事実はそれを公共の利害に関する事実と看做す
(3)前条第1項の行為公務員又は公選に依る公務員の候補者に関する事実に係わる
ときは事実に真否を判断し真実なることの証明ありたる時はそれを罰せず
被告訴人はxx県xx市xx町4−4の(株)四菱商事の会計を担当しているものであるが、xx月xx日同事務所金庫から500万円が盗難した事件について、2002年xx月xx日洗面室内で同僚数名がいる前で、先の盗難事件は同会社清掃員の大村義明(告訴人)が盗んだものであると、なんら確信がないのに公然事実を指摘して告訴人の名誉を傷つけたものである。
●
公然となした状況「2002年〜」を明らかにする。
●
被告訴人が、確実な資料や根拠に基づき事実が真実であると誤信するような場合、または公益目的などにより事実が真実である時は名誉毀損罪は成立いませんので、「なんら確信がないのに」というように記載する。
Point 「公然」とは、不特定又は多数人が知りうる状態である。したがって、特定人であっても多数ならよく、
小数人であっても不特定ならよいということである。なお判例は、特定の小数人に対しても事実の伝わる
可能性があれば公然性を認めている。
「事実」とは、人の社会的評価を害するものでなければならない。
[侮辱罪]
「231条 事実を摘示せずといえども公然人を侮辱したる者は拘留又は科料に処す
232条 (1)本章の罪は告訴を待ってそれを論す」
被告訴人は、2002年3月3日xx県xx市xx町3−3県立文化会館における県会議員選挙の立会演説会において、1000人の聴衆の面前で「田構造は間が抜けている、とろい、役立たずだ」などと放言し告訴人を侮辱したものである。
●
侮辱罪も公然性が要件であるから、具体的に場所、相手、態様などを記載する必要がある。
Point 事実の摘示のうむに係わらない点で名誉毀損罪と異なる。
[信用毀損罪]
「233条 虚偽の風説を流布し又は偽計を用い人の信用を毀損し若しくはその業務を妨害したる者は
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処す」
被告訴人は葛飾区内で印刷業を営んでいるが、告訴人飯倉武雄の経営する同業の夕日印刷の信用を失墜させようと企て、2002年3月3日に同区本町4−4区立集会場で開かれた商店街組合の総会の席上「夕日印刷は資金繰りに困っている、何時倒産するか分からない」などと嘘偽りを述べ、告訴人の信用を失墜させたものである。
●
信用毀損の内容「夕日〜」を具体的に記載する。
●
虚位の風説流布の内容は、不特定又は多数人に伝わるものであれば良く公然性は必要ありません。
●
本罪の成立には被告訴人が事実に反するものであることを知っている必要がある。また、その内容は被告訴人が他人から聞き知ったものでも良い。
Point 「虚偽の風説」とは、虚偽である事の認識を伴った事実と異なった噂である。
「流布」とは、不特定又は多数人に伝える行為である。
「毀損」とは、他人の信用を低下させる虞のある状態を生じさせる事で、現実に低下させる必要は
ない。
[威力業務妨害罪]
「234条 威力を用い人の業務を妨害したる者亦前条の例に同じ」
被告訴人は、2002年3月3日、ごご10時頃、告訴人山根美子が経営するスナック「アホ」において、ホステスの一人雅優がキスをさせてくれないと怒り出し、大勢の客のいる前でビールを撒き散らし、告訴人に対して「お前の教育はなってない。客に対するサービス精神が足りない」などと怒鳴り、店内のいす、テーブルをめちゃめちゃにして2日間に渡り営業不能の状態に至らしめたものである。
[窃盗罪]
「235条 他人の財物を窃取したる者は窃盗の罪と為し10年以下の懲役に処す」
被告訴人は、2002年3月3日午後6時21分ごろ、xx県xx市xx町3−4銅閣寺参道で、告訴人森田聡が夜店の商品を見ていたところ、告訴人所持の3万円入りの財布をポケットから抜き取ったものである。
●
被害品は金額、品名、数量などを特定する必要がる。
●
時間は気がつかないのが普通であるが、出来るだけ特定するよう努めるべきである。
Point 他人が占有する他人の物を盗取する罪であり、被害者に占有がないと本罪は成立
しない。占有とは、財物を実際に支配している状態である。従って、他人のために財物を
所持している場合であっても、現実に財物を所持している以上、その者から財物を奪う
場合には窃盗罪が成立する。ところで、事実上の支配とは、財物を実際に所持している
必要はなく、自己の支配下にあればいい。
[強盗罪]
「236条 (1)暴行又は脅迫を以って他人の財物を強取したる者は強盗の罪と為し5年以上の有期懲役
に処す
(2)前項の方法を以って財産上不法の利益を得又は他人をしてそれを得せしめたる者亦同じ」
被告訴人は、2002年3月3日、xx県xx市xx町3−3、告訴人渡辺忠一宅において金品を強奪しようと企て、午前2時20分ごろ同宅に侵入し、今において物色中家人にみつかり警察に通報されそうになったので「騒ぐと殺すぞ、静かにしろ」と凄み、逃げようとしたところ抵抗されたので家人をナイフで腹を刺し全治1ヶ月の重症を負わせ、キャッシュカード3枚、現金30万円、指輪(時価3万円)を奪って逃走したものである。
●
「強奪しよう〜」というように犯意を記載する。
●
強盗罪の手段としての暴行、脅迫は相手方の犯行を抑圧するに足るものでなければならない。
●
被害物を具体的に挙げる。
Point 強取に手段は暴行と脅迫である。暴行とは、不法な有形力の行使であり、脅迫とは、
相手に恐怖心を生じさせるための害悪の告知である。よって、相手方の反抗を抑圧し
財物を強取するのである。したがって、相手方を抑圧するに足りない暴行・脅迫によって
相手方より財物を交付せしめても強盗罪は成立せず恐喝罪に止まる。
[詐欺罪・電子計算機使用詐欺罪]
「246条 (1)人を欺罔して財物を騙取したる者は10年以下の懲役に処す
(2)前項の方法を以って財産上不法の利益を得又は他人をしてそれを得せしめたる者
亦同じ
246条の2 前条の外人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正の指令
を与えて財産権の得失変更に係わる不実の電磁的記録を作り又は財産権の得失変更に
係わる虚偽の電磁的記録を人の事務処理のように供して財産上不法の利益を得又は他人
をしてそれを得せしめたる者は10年以下の懲役に処す
248条 未成年者の知慮浅薄又は人の心神耗弱に乗じてその財産を交付せしめ又は財産上不法
の利益を得若しくは他人をしてそれを得せしめたる者は10年以下の懲役に処す
250条 本章の未遂はそれを罰す」
被告訴人は、告訴人北島太郎から金員を騙取しようと企て、2002年3月3日「在宅ワークの仕事があります。月に数十万ぐらいになります。ついてはxx県xx市xx町4−4のホテル乙姫において説明会を行いますので是非主席してください」との前もっての電話をし、同年3月13日同ホテル呼び出し、やってきた告訴人に対し「仕事は必ずあり、仕事の依頼を受けるにはするには会員になり仕事を覚えたもらわねばならず、そのための機器を200万円で購入しなければならない」という。不況で失業し、なんとか仕事を得たいと思っていたので200万円のローンを組み機器を購入し仕事の依頼を待っていたが一向にきません。後で分かったのですが、単に機器(時価20万円程度)を購入させるためのもので、同様の被害が多数出ているそうです。
●
詐欺罪の成立には騙した結果、相手が錯誤に怠ることを要しする。本件の場合は、被告訴人は初めから仕事を斡旋するつもりはなく、単に、機器(時価20万程度)を売りつけるためだけのもので、結果的に告訴人は錯誤しているといえる。
Point 詐欺とは、人を騙して財物を騙取する行為であり、騙取とは、騙された者の錯誤による処分・
交付により財物を取得する事である。
[恐喝罪]
「249条 (1)人を恐喝して財物を交付せしめたる者は10年以下の懲役に処す
(2)前項の方法を以って財産上不法の利益を得又は他人をしてそれを得せしめたる者亦同じ」
被告訴人は、通行人から金品を奪い取ろうと企て、2002年3月3日、午後5時ごろ新宿区歌舞伎町の路上で気の弱そうな中年男性に狙いをつけていたところ、そこをたまたま通りがかった告訴人古田聡に狙いをつけ、「お前、何で生きてるんだ」と言いがかりをつけ、裏通へ連れて行き「痛い目にあいたくなかったら素直に有り金全部出しな」といい胸倉を掴んで金品の要求をした。告訴人は怖くなって、お金を払えば返してもらえると思い、所持金2万7千円を渡した。
●
恐喝罪は恐喝の結果畏怖し、さらにその結果金品を交付したものでなければならない。
●
恐喝の手段としての暴行が結果として傷害を生じれば傷害罪も成立する。
Point 恐喝とは、相手方の反抗を抑圧しない程度の脅迫をいい、その恐喝行為により相手方が
畏怖し財物を交付することにより恐喝罪は成立する。
[横領罪・業務上横領・遺失物横領]
「252条 (1)自己の占有する他人の物を横領したる者は5年以下の懲役に処す
(2)自己の物といえども公務所より保管を命ぜられたる場合に於いてそれを横領
したる者亦同じ
253条 業務上自己の占有する他人の物を横領したる者は10年以下の懲役に処す
254条 遺失物、漂流物その他占有を離れたる他人の物を横領したる者は1年以下の懲役
又は10万円以下の罰金若しくは科料に処す
255条 本章の罪には244条(親族相盗)の規定を準用す」
被告訴人である弁護士徳田正義は、2003年1月1日告訴人である島一から債務整理の依頼
を受け、返済金500万円を受け保管中、被告訴人である弁護士徳田正義自らの借金の返済に
当てるため、2003年1月2日、東京都内の金融業者に上記金員を渡し横領したものである。
●
横領罪には1.単純横領罪 2.業務上横領罪 3.遺失物横領罪がある。1,2,3とも、告訴人の占有に属しない(被告訴人の占有に属し、告訴人の占有は侵害しない)財物を被告訴人が不法に取得する罪である点は同じだが、1と2は告訴人と被告訴人の間に委託信任関係があるが、3にはそれがない場合である。
Point 本罪の占有は、窃盗罪のように事実的支配に限らず、法的支配を含む。例えば、銀行に自分
の金を預け入れた者が、預け入れた金を横領する事も可能である。なぜなら、預け入れた金は、
銀行の所有に属するが、占有は預金者にあるから。
[背任罪]
「247条 他人の為その事務を処理する者自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を
加ふる目的を以ってその任務に背きたる行為をなし本人に財産上の損害を加へたる時は
5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処す
250条 本章の未遂罪はそれを処罰す」
被告訴人は1995年3月から2002年11月までの間、東京都中央区日本橋1−2の東都銀行
日本橋支店支店長として同支店の金融業務全般を統括する地位にあり、東都銀行のために業
務を遂行する任務を有していたのであるが、1997年5月2日同支店支店長室において、株式会
社岡田商事代表取締役岡田洋に対して、回収の見込みがない事が明白なのに関らず、岡田洋
の利益を図るために、東都銀行の支店長としての任務にそむき、岡田洋に対して、東都銀行が
保有する現金1億円を東都銀行日本橋支店名義で貸付け、よって東都銀行に1億円の財産上
の損害を与えたものである。
● 背任罪は、委託物横領罪と同様、背信行為により財産上の損害を与えるものですが、他人の
ために事務処理をする者が、自己又は第三者の利益を図る目的をもって、あるいは本人に財産
上の損害を与える目的をもって、任務にそむく行為をし、よって財産上の損害を与える事が要件で
す。そこで「他人のために事務処理をするもの」とは、他人との委任関係により、一定の注意を持っ
て、その他人の事務を代わって処理する法的義務を有する者です。
[公用文書毀棄罪・私用文書毀棄罪]
「258条 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄したる者は3月以上10年以下の
懲役に処する
259条 権利、義務に関する他人の文書又は電磁的記録を毀棄したる者は5年以下の懲役
に処する」
被告訴人は2003年2月2日、被告訴人所有アパートの一室に関する賃貸借契約を借受人
である告訴人との間で交わし賃貸借契約書を作成し各自一通ずつ保有していたが、2003年2
月5日午後9時ごろ被告訴人は告訴人宅を訪れ、契約書に不備な点があったので変更するから
見せてくれと強く要求したので、早速契約書を取り出して渡したところ破り捨ててしまいました。よって、
被告訴人は権利義務に関する他人の文書を毀棄したものである。
●
他人が所有する権利義務に関する文書の効用を害する罪で、「権利義務に関する文書」とは
公文書(公用文書ではない)、私文書を問わず、権利や義務の発生・変更・消滅などを証明する文書で、示談書・賃貸借契約書・通知書などです。
[建造物損壊罪・同致死傷罪]
「260条 他人の建造物又は艦船を損壊したる者は5年以下の懲役に処す因って人を死傷に
致したる者は傷害の罪に比較して重きに従って処断する」
被告訴人は、XX県XX市XX町1−2に所有する土地200坪を告訴人に対して宅地として貸し
ており、告訴人はその土地の上に木造二階建ての建造物を立て所有していた。
2003年2月30日で土地賃貸借契約の期間が満了するので、告訴人は契約の更新を申し入れ
たが、被告訴人は更新料2000万円の支払を要求してきたが、近隣の相場と比べ余りにも高額な
ため話し合いを申し入れ、支払を拒絶していると、2003年3月3日午後5時ごろ告訴人宅の屋根に
登り、鉄パイプにより約1メートル四方の穴を開け、よって、被告人所有の建造物を損壊したものであ
る。
●
「建造物」とは、屋根その他これに類似する工作物であり、土地に定着しているものである。「損
壊」とは、物の効用を害する一切の行為を言う。
●
建造物損壊罪は器物損壊罪と異なり特殊な犯罪なので、犯行の経緯、動機などを示す必要
がある。
[器物損壊罪・動物傷害罪]
「261条 前3条に記載したる以外の物を損壊又は傷害したる者は3年以下の懲役又は
30万円以下の罰金若しくは科料に処す」
被告訴人は、告訴人が飼う犬ケンケン(マルチーズのオス)のほえる音がうるさいとたびたび抗議
していたが、2003年1月1日午後6時ごろ同犬を告訴人が散歩に連れ出そうと玄関より出たところ
、同犬をめがけバットを振りかざし襲いかかり、同犬を数十回に渡り殴打し撲殺するに至らしめたも
のである。
●
器物損壊罪は一般に軽微な犯罪と見なされ告訴されることは余りないようであるが、犯行に至る
経緯を考えると見過ごすことができないものもあるので、犯行の経緯をしっかり示す事が告訴受理の条件です。
ロ. 社会適法益に対する罪
[現住建造物等放火罪]
「108条 火を放って現に人の住居に使用し又は人の現在する建造物、汽車、電車、艦船若しくは
鉱抗を燃燬したる者は死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処す」
被告人は消火器の販売を業とする者であるが、業績不振のため収入が殆どない上、10年前に
新築した家のローンがあと25年あり、日々の生活費も事欠く状態であるので、当面の生活費として
告訴人に対して200万円の借金を申込んだ所、きっぱりと断られた事に腹をたて、その腹いせに告訴
人の住宅に放火しようと企て、2004年9月1日午前2時30分ごろ、大田区田園調布4−4の告訴
人所有住宅鉄骨3階建て家屋1階勝手口付近に置いてあるゴミ箱に、自ら放火の為に所持して
いたマッチで点火して火を放ち、因って、告訴人外4人が現に住居に使用し、かつ現在する家屋の
台所付近一体を焼燬したものである。
● 放火罪は動機犯であるから、犯行に至る動機理由を明確に示す。
● 犯行に日時・場所を特定する。
● 犯行の手段、方法を具体的に記述する。
● 放火した家屋が、現に人の住居に使用し、現住しているものであることを必ず記載する。
● 焼燬の程度は、全焼、半鐘を問わず、家屋の一部のみの燃焼でもよい。
[非現住建造物等放火罪]
「109条 (1)火を放って現に人の住居に使用せず又は人の現在せざる建造物、艦船若しくは
鉱抗を焼燬したる者は2年以上の有期懲役に処す
(2)前項の物自己の所有に係わるときは6月以上7年以下の懲役に処す但し公共の
危険を生ぜざるときはそれを罰せず」
被告訴人は、区立中学の教員であるが、日頃から生徒に対する体罰が問題となり、父兄から
問題を指摘されていた所、2004年5月5日に女子生徒に対する猥褻行為が明らかになり校長
から厳重注意が為されたことに対する腹いせに、同校の物置小屋を焼燬してやろうと考え、5月
7日午後11時20分頃、品川区小山3−3の小山中学校庭に建てられた物置小屋の引き戸を
自ら放火の為に所持していたマッチを点火して火を放ち、現に人の住居に使用せず、人の現在
しない物置小屋を全焼させ焼燬したものである。
● 被害建造物が、現に人の住居に使用せず、また現在しないことを明記する事。
[往来妨害罪・同致死罪]
「124条 (1)陸路、水路又は橋梁を損壊又はよう塞して往来の妨害を生ぜしめた者は
2年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処す
(2)前項の罪を犯して人を死傷に致したる者は傷害の罪に比較して重きに従って
処断す」
被告発人は、2004年4月4日午前1次30分ごろ、神奈川県鶴見区鶴見1−1の幅員
10メートルの県道上に、事情を知らない土建業Aをして2トン車に積まれた大量の土砂を
まき散らし、道路として使用できないようし往来を妨害したものである。
● 往来妨害罪は、陸路(公衆の往来の用に供されている陸上の通路であり、舗装、非舗装
を問わず、また私道であってもかまわない)、水路、橋梁を損壊、閉鎖して公衆の通行を妨害
することにより成立するが、現に通行が害されたことは必要ではなく、妨害の危険があれば足
りる。
[往来危険罪]
「125条 (1)鉄道又はその標識を損壊し又はその他の方法を以って汽車又は電車の往来の
危険を生ぜしめたる者は2年以上の有期懲役に処す
(2)燈台又は浮標を損壊し又はその他の方法を以って艦船の往来の危険を生ぜしめ
たる者亦同じ」
被告発人は、会社でのストレスを解消する為、2004年4月4日午後10時30分ごろ、北区
田端5−5JR東日本田端駅踏切付近に於いて、同所山手線内回り軌道上に、日頃より持ち歩
いていた直径約5センチの小石数個を1メートル間隔で置き、そのまま放置し、因って電車の往来
の危険を生じさせたものである。
● 往来の危険は、衝突、転覆、破壊、脱線、沈没、座礁などの実害が生じる虞のある状態を
いい、現実に実害が生じたり、切迫した状態である必要はなく、事故の発生の可能性があれば
よい。
[公文書偽造・変造罪]
「155条 (1)行使の目的を以って公務所又は公務員の印章若しくは署名を使用して公務所
又は公務員の作るべき文書若しくは図画を偽造し又は偽造したる公務所又は公務員
の印章若しくは署名を使用して公務所又は公務員の作るべき文書若しくは図画を偽造
したる者は1年以上10年以下の懲役に処す
(2)公務所又は公務員の捺印若しくは署名したる文書若しくは図画を変造したる者
亦同じ
(3)前2項の外公務所又は公務員の作るべき文書若しくは図画を偽造し又は公務所
又は公務員の作りたる文書若しくは図画を変造したる者は3年以上の懲役又は20万円
以下の罰金に処す」
被告発人は、2004年4月4日、自宅居間に於いて、行使の目的をもって、被告発人である
香田信之介に対する東京都板橋区長加藤弥太郎の記名のある2004年3月3日付け印のある
住民票一通の氏名欄の「信之介」の部分を消し去り、その部分に、実兄香田英太郎の「英太郎」
と記入し、また、兄香田英太郎の生年月日である、大正7年10月2日の数字の部分、7・10・2
を消し去り、被告発人の生年月日である、大正12年6月4日の12・6・4と書き換え、もって板橋
区長作成名義の香田英太郎に対する住民票一通を偽造し、次いで2004年5月5日、香田
英太郎所有に係わる埼玉県熊谷市熊谷4−4−5の家屋の被告発人である香田信之介への
所有権移転登記手続きの申請に際して、上記偽造に係わる住民票一通を真正に成立したもの
として熊谷法務局に交付したものである。
● 偽造罪の成立には、真正な者のように見せかけて使う目的(行使の目的)が必要です。
● 「偽造する」とは、作成権限かないのに他人名義の文書を・図画を作成する事。
● 「変造」とは、真正な他人名義の文書・図画に、権限がないにも係わらず変更を加える事で、
文書・図画の同一性を害しない範囲でのなさせる必要がある。文書の本質的部分を変更し、
その同一性を失わせ、新たな文書を作り出せば「偽造」である。
● 155条3項の罪は、公務所・公務員の印章・署名を使用していない場合に適用される。
[虚偽公文書作成罪]
「156条 公務員其職務に関し行使の目的を以って虚偽の文書若しくは図画を作り又は文書
若しくは図画を変造したる時は、印章、署名有無を区別し前2条の例による」
被告発人は、千葉県市原市の市原中央図書館の館長であるが、2004年4月4日、被告発人
は、市原市全図書館の検索システムのためのコンピュータの導入に絡んで、発注していない器機
発注したかのように装って、市原市から代金を偏取する目的をもって、市原市市原1−1の中央
図書館館長室に於いて、器機の発注の意思は全くないのに、被告発人である中央図書館長斎藤
正義の記名のある発注申請書用紙の注文品目欄に「プリンター」「100台」「150万」と記載し、
中央図書館長斎藤正義の記名の横に「市原中央図書館長之印」と刻した印を冒捺し、あたかも
プリンター100台を発注したかのような内容虚偽の注文書一通を作成したものである。
● 本罪は、被告発人が公務員である事、またその公務員の職務内容の記載が必要である。
● 公務員が、其自らの職務行為として行うものではないとの意思を示す必要がある。
[公正証書原本等不実記載罪・電磁的公正証書原本等不実記載罪]
「157条 (1)公務員に対し虚偽の申立を為し権利、義務に関する公正証書の原本に不実の
記載を為さしめ又は権利、義務に関する公正証書の原本たるべき電磁的記録に
不実の記載を為さしめたる者は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処す
(2)公務員に対し虚偽の申立を為し免状、鑑札又は旅券に不実の記載をなさ閉めた
る者は1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処す
(3)前2項の未遂は其れを罰する」
被告発人は、東京都杉並区杉並3−3−1の同区役所において、行使の目的をもって、住民
移動届出用紙の新住所欄に「東京都北区赤羽1456−1」、旧住所欄に「東京都世田谷区成城
4−2」移動年月日欄に「16年4月4日」、世帯主欄に「清水一」、届出人欄に「清水和子」、本籍
欄に「栃木県宇都宮市学園町2345−32」と記入し、届出印欄に清水の印を押し、清水和子作成
名義の住民異動届を偽造し、公務員森次郎(告発人)に、偽造住民異動届を真正なものとして提
出し、情を知らない公務員森次郎に公正証書の原本である住民基本台帳に不実の記載をさせ、
同区役所に真正なものとして備え付けさせたものである。
[私文書偽造・変造罪]
「159条 (1)行使の目的をもって他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務又は事実証明
に関する文書若しくは図画を偽造し又は偽造したる他人の印章若しくは署名を使用して
権利、義務又は事実証明に関する文書若しくは図画を偽造したる者は3月以上5年以下
の懲役に処す
(2)他人の印章を押捺し若しくは署名したる権利、義務又は事実証明に関する文書若しく
は図画を変造したる者亦同じ
(3)前2条の外権利、義務又は事実証明に関する文書若しくは図画を偽造又は変造した
る者は1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処す」
被告発人は、2003年3月3日、東京都練馬区光が丘23−1の自宅に於いて、行使の目的で、
実父の年金を払い戻す為に委任状を作成し、委任事項欄に「鈴木マリ子を代理人と定め、同人に
年金の払い戻しに関する権限を委任する」と記載し、さらに、委任者欄に「東京都練馬区光が丘23−
1 鈴木誠之助」と記入し、その横に「鈴木」と押捺し、もって、鈴木誠之助作成の委任状一通を偽造
した上、2003年3月4日、光が丘郵便局に於いて、情を知らない郵便局員豊田雅子をして、真正に
作成された委任状のように装って提出し、年金の払い戻しをいけた者である。
[私印偽造不正使用罪・偽造私印使用罪]
「167条 (1)行使の目的を以って他人の印章若しくは署名を偽造したる者は3年以下の懲役に処す
(2)他人の印章若しくは署名を不正に使用し又は偽造したる印章若しくは署名を使用したる
者亦同じ」
被告訴人山口一郎は、1989年3月3日、広島県広島市2−2の広島警察署に於いて、同署の
司法警察員巡査部長菊地伝助から傷害事件の被疑者として事情聴取を受て、供述調書を作成
していた際に、傷害事件の刑事責任を免れようと考え、自己の名前を武田誠司(友人の名前)と
名乗り、供述調書の被疑者書名欄に、行使の目的で、勝手に、「武田誠司」と記載し、「武田」と
刻印された印鑑を押捺し、係官に真正なものと装って提出し、よって、偽造した他人の署名を使用し
たものである。
[公然わいせつ罪]
「174条 公然猥褻の行為を為したる者は6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金
又は拘留若しくは科料に処す」
被告発人遠藤泰子は、1980年5月5日午後8時30分頃、東京都台東区浅草1−1−1
「八区座」に於いて、観客70名程の面前で、踊りながら、衣服を脱いでいき全裸になり、両足を
広げて陰部を露出させ、公然猥褻な行為をしたものである。
● 「公然」とは、不特定又は多数人が認識し得る状態をいい、現実に認識されていなくても、
不特定又は多数人に認識されうる可能性があればよい。
● 何が猥褻な行為であるかは、その時代の社会通念によって決まり、現在“陰毛”の露出は
猥褻ではないらしい。
[猥褻図画頒布罪]
「175条 猥褻の文書、図画其他の物を領布若しくは販売し又は公然それを陳列したる者は
2年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処す販売の目的を以って
それを所持したる者亦同じ」
被告発人は、2004年10月4日午後11時30分頃、北海道札幌市札幌1−1被告発人宅
1階居間に於いて、露出した女性器の写真集3000冊を、インターンネットと通じて広告し、購入
申込みのあった者に、1冊2万円で販売したものである。
● 174条の「わいせつ」は、行為の属性としての猥褻を取り締まる者であるが、175条の「わいせつ」
は、物の属性としての猥褻を取り締まるものである。
● 「領布」とは、不特定、又は多数人に無償で配布する事である。結果的に配布が少人数であった
としても頒布である。
● 「販売」とは、不特定又は多数人に有償で配布する事である。不特定又は多数人に配布する
意思があれば、1人対して1回のみの配布であっても販売である。
● 「公然陳列」とは、不特定又は多数人の認識し得る状態に置くことである。
● 「所持」とは、猥褻文書・図画を販売する目的で自己の事実上の支配下に置くことをいう。
[死体等損壊・遺棄・領得罪]
「190条 死体、遺骨、遺髪又は棺内に蔵置したる物を損壊、遺棄又は領得したる者は
三年以下の懲役に処す」
被告発人は、2004年11月11日、東京都港区高輪台2−2−4「プリンスマンション」の自宅に
実父大津定吉と住んでいたが、実父大津定吉が老衰のため死去すると、定吉の年金のみの
収入で生活していたが、死亡届を役所に提出すると年金の支給が受けられなくなるので放置して
置いた所、死体は腐乱し始め異臭がするようになったので、遺体をのこぎりで切断し、ポリ袋につめ
、レンタカーを借りて、そのトランクに積み込み、遺体を皇居脇のどぶ池に投げ入れ遺棄したもので
ある。
[公務執行妨害罪・職務強要罪]
「95条 (1)公務員の職務を執行するに当りそれに対して暴行又は脅迫を加えたる者は三年
以下の懲役又は禁固に処す
(2)公務員をしてある処分を為さしめ若しくは無さざらしむる為又は其職務を辞せしむる
為め暴行又は脅迫を加えたる者亦同じ」
被告訴人は、東京都北区西河原1−2−3の検察庁第2庁舎検察官事務室於いて
傷害罪の被疑事件に於いて供述していたものであるが、2005年5月5日午後3時ごろ、
被告訴人が供述した事実を、検察官(告訴人)が書面にし口頭で誤りの無いことを確認し
ていたところ、被告訴人の供述によると被告訴人の進んで相手を殴り傷害を与えたもので
あるということのなっており、被告訴人の供述である、相手がもみ合いになっている際に自ら
傷をつけたものであるという供述と異なると主張すると、検察官(告訴人)は、貴方が殴らな
ければ傷はつかないといったので、被告訴人は、それは事実では無いと叫びながら机に上
にある物を壊したものである、よって検察官(告訴人)の職務の執行を妨害したものである。
※ 公務とは、国または公共団体の作用自体を保護法役としており非親告罪であるが
また、公務そのものが保護される事から、公務員の地位そのもの保護されるような観を
呈しているが、公務員自身に刑法上特別の保護は与えられていない。
※ 「暴行」とは、公務員に向けられた不法な有形力の行使であって、必ずしも公務員の
の身体に直接加えられる必要はない。
※ 「脅迫」とは、公務員に対して、その職務を妨害するに足りる程度の恐怖心を起こさせる
害悪の告知を言う。
※ 如何なる職務の執行中であったかを記す。
被告発人は、郵政民営化に賛成していた参議院議員であるが、2005年8月8日、
参議院に於いて郵政民営化反対の議決が為される事が予想されることから、議決を
させないため、反対派議員の議場に入るのを阻止しようと、同議事が為される会場入口
付近に於いて、議場に入ろうとする、反対派議員小泉誠に対し、背後から衣服を引っ張
るなどして議場への球状を阻止させようと暴行を加えたものである。
※ 職務強要罪は、(1)ある処分をさせる目的か(2)ある処分をさせない目的か(3)その職務
を辞させる目的かの目的によって暴行または脅迫を加えることにより成立する。尚、ある処分
「ある処分」とは、当該公務員の職務に関係のある処分であれば足り、職務権限内の処分
であると職務権限外とを問わない。
[封印破棄罪]
「 96条 公務員の施したる封印または差し押さえの標示を損壊しまたは其他の方法をもって封
または標示を無効たらしめる者は二年以下の懲役または六万円以下の罰金に処す」
被告発人は、債権者岩崎弥次郎の委任を受けた東京地方裁判所執行官内田功から
同裁判所2005年5月5日(a)代223号有体動産仮差押決定正本に基ずき、東京都
江東区亀戸1−2−3の自宅内の自転車3台、パソコン2台、冷蔵庫3台、クーラー1台
(時価合計3万円相当)に対し仮差し押さえを受け、これらの物件に仮差押であることを
示す公示書を貼付されていたが、2005年5月6日自宅に於いて全て中国人である荘
水源に売却し、以って公務員の施した差し押さえの標示を無効ならたものである。
※ 「その他の方法」で無効にするとは、物質的な破壊をを伴う事無く、事実上の効力
を滅却または減殺させる事を言う。
[強制執行不正免脱罪]
「 96条の2 執行を免れる目的を以って財産を隠匿、損壊も若しくは仮装譲渡しまたは
仮装の債務を負担したる者は二年以下の懲役または二十万円以下の罰金に処す」
被告発人は、告発人から借り受けた5000万円を弁済期に弁済しなかったので、告発人
から貸金返還請求の訴えを東京地方裁判所に提起されたが、被告発人は、訴えに基づく
強制執行を免れる目的をもって、2005年5月5日ころ、自宅にある自転車5台・洗濯機2台・
ダイヤモンド(時価合計5000万円相当)を密かに、兵庫県神戸市XXXの伊丹三蔵の自宅
へ運搬し以って其財産を隠匿したものである。
※ 強制執行を免れる目的が必要である、それも現実に訴えの提起とか、判決の言い渡し
などの現実に強制執行を受ける虞がある客観的目的が必要である。
[競売入札妨害罪・談合罪]
「 96条の3 (1)偽計若しくは威力を用い公の競売又は入札の公正を害すべき行為を為したる者は
二年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処す。
(2)公正なる価格を害し又は不正の利益を得る目的をって談合をしたる者同じ」
被告発人は、東京都中央区日本橋2−2で建設業を営むものであるが、中央区が決定した
、庁舎建替工事に付き、被告発人など15名が競争入札指定業者として指名をうけるや、被告
発人は自分が指名業者になるため告発人に対して、「この仕事は俺がやる、誰にも渡さない、
俺は命をかけている」と脅し、告発人をして、もしも工事を取ったとしても工事をまともに出来ない
と落札を断念させるなど入札の公正を害したものである。
※
「中央区」と、其入札が国又は公共団体のものであることを明らかにする。
※
「この仕事・・・・・」威力を用いた事の具体的記載。
※
本罪は、偽計又は威力を用いて公の競売、入札の公正を害すれば直ちに成立する。
[公務員職権濫用罪]
「 193条 公務員その職権を濫用し人をして義務なきことを行なわしめ又は行うべき権利を妨害した
るときは二年以下の懲役又は禁固に処す」
告訴人は、谷麻理(16歳)の実父であるが、些細な事で父とけんかをし、家を飛び出したが、翌日
XXXX警察から連絡が入り、身元引受人としてXXXX警察まで行って連れ帰ったが、余りに泣き止
まないので問い詰めたところ、身柄を確保したXXX児童相談所被告訴人山川清からで以下に述
ベルような被害を受けた事が判明した。
被告訴人山川きよしは、XXX児童相談所に勤務していたが、谷恵子に対し麻薬中毒につて
調べるといい全裸にし陰部をもてあそび、持ってその権利を濫用し、谷恵子に義務の無いことを行
わせたものである。私は被告訴人山川きよしを絶対許しません、是非厳重に処罰していただきたく告訴
いたします。
[特別公務員職権濫用罪・暴行陵虐材・致死傷罪]
「 194条 裁判、検察、警察の職務を行い又はそれを補助するものその職権を濫用し人を逮捕
又は監禁したるときは六月以上十年以下の懲役又は禁固に処す
195条 (1)裁判、検察、警察の職務を行い又はそれを補助する者其職務を行ふ当り刑事
被告人その他の者に対し暴行又は陵虐の行為を為したるときは七年以下の懲役又は
禁固に処す
(2)法令により拘禁せられたる者を看守又は護送する者被拘禁者に対し暴行又は
陵虐の行為をなしたるとき同じ
196条 前二条の罪を犯し因って人を死傷に致してる者は傷害の罪に比較し重きに従って
処断す」
被告訴人は、法令により刑務所に拘禁されている受刑者を看取する刑務官として名古屋刑務所
に勤務している者であるが、2005年5月5日午後3時ごろ、受刑者を屋外での運動のため、受刑者
数名引率し屋外へ向かう途中、告訴人である受刑者が突然大声を上げ、他の刑務官に殴りかか
ろうとしていたので、後ろから押せ付け、さらに数名の刑務官と共謀の上、その場に倒れこんだ受刑
者の頭・腹などを足蹴にし、更に身動きできないようにバンドを用い受刑者に対して加療半年を要する
傷害を与えたものである。
183条(告訴人などの負担) 告訴、告発又は請求により公訴の提起があった事件について被告人が
無罪又は免訴の裁判を受けた場合に於いて、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失
があったときは、その者に訴訟費用を負担させる事が出来る。
230条(告訴権者) 犯罪により害を被った者は、告訴をする事が出来る。
231条(告訴権者) 1.被害者の法定代理人は、独立して告訴をする事が出来る。
2.被害者が死亡したときは、其の配偶者、直径の親族又は兄弟姉妹は、告訴をする事が出来る。
但し、被害者の明示した意思に反する事はできない。
232条(告訴権者) 被害者の法定代理人が被疑者である時、被疑者の配偶者である時、又は被疑者
の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族である時は、被害者の親族は、独立して告訴をする事が出
きる。
233条(告訴権者) 1.死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族又は子孫は、告訴をすることが
できる。
2.名誉を毀損した罪について被害者が告訴をしないで死亡したときも、前項と同様である。但し、被害者
明示した意思に反することはできない。
234条(告訴権者の指定) 親告罪について告訴できる者がないばあいには、検察官は、利害関係人の
申立により告訴する事ができる者を指定する事が出来る。
235条(親告罪の告訴期間) 1.親告罪の告訴は、犯人を知った日から六箇月を経過したときは、それを
することができない。但し、刑法第232条第2項規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣
された外国の使節に対する刑法第230条又は第231条の罪につき其の使節が行う告訴に付いては、こ
のかぎりではない。
2.刑法第229条但書に於ける告訴は、婚姻の無効又は取消の裁判が確定した日から六箇月以内に
これをしなければ、其の効力はない。
236条(告訴期間の独立) 告訴をする事ができる者が数人あるときには、一人の期間の徒過は、他の者
に対し、其の効力を及ぼさない。
237条(告訴の取消)1.告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消す事が出来る。
2.告訴の取消をした者は、更に告訴をする事が出来ない。
3.前二項の規定は、請求を待って受理すべき事件についての請求についてこれを準用する。
238条(告訴の不可分)1.親告罪について共犯の一人又は数人に対してした告訴又は其の取消は、他の
共犯に対しても、其の効力を生ずる。
2.前項の規定は、告発又は請求を待って受理すべき事件についての告発若しくは請求又は其の取消に
ついてこれを準用する。
239条(告発) 何人でも、犯罪があると思料する時は、告発をする事が出来る。
2.官吏又は公吏は、其の職務を行うことにより、犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。
240条(代理人による告訴・告訴取消) 告訴は、代理人よりこれをする事が出来る。告訴の取消について
も、同様である。
241条(告訴・告発の方式)1.告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなけ
ればならない。
2.検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。
242条(告訴・告発を受けた司法警察員の手続) 司法警察員は、告訴又は告発を受けた時は、速やか
にこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。
243条(準用) 前二条の規定は、告訴又は告発に取り消しについてこれを準用する。
244条(外国代表者等の告訴の特別方式) 刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴
又は其の取消は、第241条及び前条の規定にかかわらず、外務大臣にこれをする事が出来る。日本国
に派遣された外国の使節に対する刑法第230条又は第231条の罪につき其の使節が行う告訴又はその
取消も同様である。
260条(告訴人等に対する事件処理の通知) 検察官は、告訴・告発又は請求のあった事件について、
公訴を提起し、又はこれを提起しない処分をしたときは、速やかに其の旨を告訴人、告発人又は請求人
に通知しなければならない。公訴を取り消し、又は事件を他の検察庁の検察官に送致したときも同様であ
る。
261条(告訴人等に対する不起訴理由の告知) 検察官は、告訴、告発又は請求のあった事件について
公訴を提起しない処分をした場合に於いて、告訴人、告発人又は請求人の請求があったときは、速やか
に告訴人、告発人又は請求人にその理由を告げなければならない。
262条(準起訴手続、付審判の請求) 刑法第193条乃至第196条又は破滅活動防止法第45条の罪
につい告訴又は告発をした者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、其の検察官所属
の検察庁の住所を管轄する地方裁判所に事件を裁判所の審判に付することを請求することができる。
2.前項の請求は、第260条の通知を受けた日から七日以内に、請求書を公訴を提起しない処分をした
検察官に差し出してこれをしなければならない。
263条(請求の取り下げ) 前条第一項の請求は、第266条の決定があるまで、これを取り下げることがで
きる。
2.前項の取り下げをした者は、其の事件について更に前条第一項の請求をする事が出来ない。
264条(公訴提起の義務)検察官は、第262条第一項の請求を理由があるものと認めるときは、公訴を
提起しなければならない。
検察審査会法
第1条(検察審査会の設置) 公訴権の実行に関し民意を反映せしめて其の適正を図るため、政令で定
める地方裁判所及び地方裁判所支部の所在地に検察審査会を置く。但し、検察審査会の数は、200
を下ってなならず、且つ、各地方裁判所の管轄区域内に少なくとも其の一を置かなければならない。
2.検察審査会の名称及び管轄区域は、政令でこれを定める。
第2条(所掌する事項)1.検察審査会は左の事項を掌る。
一 検察官の公訴を提起しない処分の当否の審査に関する事項
二 検察事務の改善に関する建議又は勧告に関する事項
2.検察審査会は、告訴若しくは告発をした者、請求を待って受理すべき事件についての請求をした者又は
犯罪により害を被った者の申立があるときは、前項第一号の審査を行わなければならない。
3.検察審査会は、其の過半数による決議があるときは、自ら知り得た資料に基づき職権で第一項第一号
の審査を行う事が出来る。
第3条(職権の独立) 検察審査会は、独立して其の職権を行う。
第4条(組織) 検察審査会は、当該検察審査会の管轄区域内の衆議院議員の選挙権を有する者の
中からくじで選定した十一人の検察審査員を以てこれを組織する。
第30条(審査申立権者) 告訴若しくは告発をした者、請求を待って受理すべき事件についての請求
をして者又は犯罪により害を被った者は、検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、其の
検察官の属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会に其の処分の当否の審査の申立をするこ
とができる。但し、裁判所法第十六条第四号に規定する事件並びに私的独占の禁止及び公正取
引きの確保に関する法律の規程に違反する罪係わる事件については、このかぎりではない。
第31条(審査申立の方法) 審査の申立は、書面により、且つ申立の理由を明示しなければならない。
第32条(一事不再理) 検察官の公訴を提起しない処分の当否に関し検察審査会議の議決があった
ときは、同一事件について更に審査の申し出をすることはできない。
第33条(審査の順序)1.申立による審査の順序は、審査申立の順序による。但し、検察審査会長は、
特に緊急を要するものと認めるときは、其の順序を変更する事が出来る。
2.職権による審査の順序は、検察審査会長がこれを定める。
第34条(除斥事由有無の調査)1.検察審査会長は、検察審査員に対し被疑者の氏名、職業及び
住居を告げ、其の職務の執行から除斥される理由があるかないかを問わなければならない。
2.検察審査員は、除斥の理由があるとするときは、其の旨の申立をしなければならない。
3.除斥の理由があるときは、検察審査会議は、除斥の議決をしなければならない。
第35条(検察官の協力義務) 検察官は、検察審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出
し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。
第36条(照会権) 検察審査会は、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求める事が
できる。
第37条(尋問)1.検察審査会は、審査申立人及び証人を呼び出し、これを尋問する事が出来る。
2.検察審査会は、証人が其の呼び出しに応じないときは、当該検察審査会所在地を管轄する簡易
裁判所に対して、証人の召喚を請求する事が出来る。
3.前項の請求があったときは、裁判所は、召喚状を発しなければならない。
4.前項の召喚については、刑事訴訟法を準用する。
第38条(助言の聴取) 検察審査会は、相当と認める者の出頭を求め、法律その他の事項関し
専門的助言を徴する事が出来る。
第40条(議決書の作成・公表) 検察審査会は、審査の結果議決をしたときは、理由を付した議決書
を作成し、其の謄本を当該検察官を指揮監督する検事正及び検察官適格審査会に送付し、其の
議決後7日間当該検察審査会事務局の掲示場に議決の要旨を掲示し、且つ、第三十条の規定
による申立をした者があるときは、其の申立にかかわる事件についての議決の要旨をこれに通知しなけ
ればならない。
第41条(検事正の職責) 検事正は、前条の規定により議決書謄本の送付があった場合において、
その議決を参考にし、公訴を提起すべきものと思料すべき時は、起訴の手続きをしなければならない。
第42条(建議・勧告) 検察審査会は、いつでも、検察事務の改善に関し、検事正に建議又は勧告
することができる。