米国の音楽家が東日本大震災の犠牲者らに向けて作った鎮魂歌「Fukushima Requiem~日本東北の人々に捧(ささ)げる」が6月4日、鳴門市の大塚国際美術館で行われる第31回ベートーベン「第九」交響曲演奏会の特別公演「美術館でなるとの第九」で日本では初めて披露される。歌うのは「第九」に取り組む米ロサンゼルス在住の日本人らによる合唱グループ「L・A・Daiku」。被災地に寄り添う世界の思いを歌に込める。
作詞作曲したのは、ロサンゼルスを拠点に、全米レベルで合唱団や交響楽団の芸術監督や指揮をしているジェフリー・バーンスタイン氏。「L・A・Daiku」を指導するなど、以前から日本人との付き合いの多かったバーンスタイン氏は東北を襲った巨大地震と津波の映像を見て心を痛め、犠牲者を慰めるとともに被災者にエールを送ろうと1月に制作した。
曲のテーマは「均衡と共生」。人間が、恩恵と破壊をもたらす自然とともに生きていることを表現した上で、被災地の復興を願う内容となっている。混声3部合唱の構成で、演奏時間は約9分30秒。
被災から1年の今年3月11日、ロサンゼルス郊外で行われた東日本大震災の復興支援チャリティーコンサートで初披露。「L・A・Daiku」が3日に鳴門市文化会館で始まる「第九」演奏会に出演するのに合わせ、日本初披露が決まった。
バーンスタイン氏は「震災から立ち直ろうとしている人たちをこの曲で一つにまとめたい」と話し、合唱団の棚野泰全(やすまさ)代表(56)は「東北、日本は必ず復興するとの気持ちを込めて歌いたい」と意気込んでいる。
「美術館でなるとの第九」は4日午前10時半からで、入館料は千円(高校生以下は無料)。問い合わせはNPO法人鳴門「第九」を歌う会事務局<電088(686)9999>。
【写真説明】鎮魂歌の練習を行う「L・A・Daiku」のメンバー=5月3日、ロサンゼルス(棚野泰全代表提供)