性犯罪への認識:
スウェーデン市民及び裁判所など、女性たちが受ける性犯罪に対しての認識の違いに、時々考えさせられることがあります。
日本では確実にセクハラ問題として警察沙汰になるようなことでも、スウェーデンでは「それで・・?」言う感じて゜、警察は無視に近く、告訴しても裁判にもならない事が多いです。その原因は証拠や事実認定が困難であり、本人同士の問答に終わることが多いことも理由であり、ほとんどの場合「冗談
でしただけ」という言訳で処理されてしまい、女性の主張が軽視されることにあります。
スウェーデンは1999年に売春防止法を制定しました。しかし、注目すべきことは、女性や男性が売春をすることは禁止していません。男性または女性が、性行為を目的として買うことを禁止していることです。
この法律は、刑罰が軽いと多くの批判を受け、2005年4月1日に改正されました。
Lag (1998:408) om förbud mot köp av sexuella tjänster .
改正:köp av sexuell tjänst (6 kap. 11 § brottsbalken). SFS-nummer
2005:90
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性行為を買った者は、最高6カ月の禁固または罰金となっていますが、現実にはほとんど話し合いで処理されている割合が高いと報告されています。この10年間で
性犯罪の届け出件数、および禁固の判決を受けた者、罰金刑を受けた者などの件数は統計を参照してください。
いまでも例えばストックホルムの市内では、夜になると売春のために街角に立っている女性がいます。裁判の判決までになるのは、地域により大きな差があり、犯罪が発覚しても裁判にまで至らない地域が多いことです。そのために、刑罰を厳しくすべきだという要望が強くなっています。しかし罰金も安く
、性犯罪に対する認識も低いこともあり
、時には国会議員自身が、売春婦から性行為を買っていることから、売春防止法の改正は・・・・・・。
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しかし時には、今年の最大のスキャンダルとして、新聞、TVその他のマスコミで報道されているのが、ウプサラ県警察本部の代表者であり部下の指導に当たるべき、警察本部長の性犯罪と売春事件があります。
今年2010年7月現在裁判中ですが、警察本部長は、警察内部でも男女平等を推進し、性犯罪の防止に努力すべきだと、全国の警察のみならず、県、コミューンその他会社などにて講演をしてきた有名人でもあります。
自分自身が売春して若い女性と性行為をしたのみでなく、他の男性にも紹介したりし、その謝礼金を授与したり、全国的に活動していたものというものです。本部長に売春した数人の若い女性が裁判で証人として出席、今後の成り行きが注目されています。
性犯罪がいかに軽視されているかを、ここに事例を記載します。
フーディンゲ・コミューンの議員は、年収70万クローネありながら、罰金はわずか1500クローネでした。この金額は、議員が17歳の若い女性と性行為して、支払ったと同じ金額です。判決後職務を続けていましたが、同僚議員からの退職要求が高まり、議員は任意退職しました。
ある会社の社長は、女性社員と買春行為を続け告訴されたが、会議やその他の業務が多忙であるからと、検事の出頭命令から逃れ続け、その結果検事の公訴期限が過ぎて、犯罪が無効になった例もあります。
あるコミューンの幹部職員が買春をしたいために、コミューンの経費から多額な金を引き出して、性行為の支払いに充て、ホテルにて行為中に警察に現場を押さえられ、現行犯として逮捕されました。本人は犯罪を認めたが、性依存症で性行為が必要なために、
市の金を引き出していたと裁判で白状したことから、裁判所は汚職資源の判決は下しながら、買収法違反行為については、無罪の判決を確定しました。
理由は売春防止法違反よりも、税金の使い込み事件の方が重要犯罪でり、両方の犯罪を科すまでには至らないと判断した結果と報告しています。
最高裁判所の裁判官が買春をし犯罪を認めましたが、罰金刑のみで現在も裁判官の職についています。売春防止法違反程度では、職務に差支えが無いと判断し退職の原因にならないといと報告しています。
フーデイゲ・コミューンの義務教育学校の教員(日本の小学校4−6年相当教員)が、18歳以下の未成年の若い女性とのグループ・セックスに、お金を支払って性行為をし
、売春防止法違反で判決(罰金刑2500クローネの支払い)を受けました。コミューンは教員を退職させようとしましたが、教員は性犯罪
で判決が罰金程度では、解雇の理由にならないとして退職を拒否、教職員組合の援助を受けてコミューンを訴えている事件があります。
スウェーデンはEUに加盟してから、入国が自由になり、マフィアやその他の犯罪グループによる性犯罪が増加、貧しい国の女性に、家政婦の仕事を紹介するとだまして、売春行為を強制、検挙される事件が絶えません。
ちなみに、日本で良く言われている「セクハラ」、例えば「わいせつな行為」とは、性行為又は性交類似行為は含まないが、性的に社会的・道義的観念に反する行為のことですが、この程度の行為では、性犯罪としてほとんど取り扱われることはありません。
ほとんどの被害を受けた女性が職場を変わるか、退職し、セクハラをした男性幹部や職員はそのまま職場に残る例が多いです。
性犯罪として2000年に警察に届けられた件数は8,734件でしたが、2005年には11,711件、2009年には15,693件と毎年増加の傾向にあります。そして、15歳未満の子供が被害者だったのは、2000年に300件、2005年に733件、2009年には1,958件と増加し、多くの子供が性犯罪の被害を受けています。
性犯罪の判決は2009年には警察に届けのあった15,700件の内約1,100件で、平均2年の禁固判決、普通の性犯罪は4カ月の禁固、強姦等凶悪性犯罪では5年と10カ月の禁固で、98%が男性でした。どうしてか性犯罪は福祉にも関わるのに、高齢者福祉関係ばかりで、こうした女性が被害となっている性犯罪は、日本ではあまり報道されない、スウェーデンの暗い部分の社会実情です。
下図は、警察に届けられた性犯罪の動向です。

