三重県伊勢市の名所、夫婦岩の異変が注目を集めている。普段は海水に浸っているにもかかわらず4月上旬に突如、根元まで露出したのだ。岩肌がこれほどあらわになるのは「極めて珍しい現象」(関係者)という。地元住民は「大地震の前触れではないか」と不安を募らせている。
「あそこまで潮が引いてしまうなんて、不気味。ありえへん話やと思います」
異変を目の当たりにした伊勢市役所二見総合支所の女性職員(32)は、身震いしながらこう振り返る。地元住民(28)も「天変地異の予兆じゃなければいいが…」と心配顔だ。
異常現象がみられたのは、観光名所として知られる伊勢市北東部、二見興玉(ふたみおきたま)神社の夫婦(めおと)岩だ。
高さ9メートルの男岩(おいわ)と4メートルの女岩(めいわ)からなる岩礁で、伊勢湾の沖合700メートルの海中にある「興玉神石」という「ご神体」を護る鳥居の役目を果たしている。普段は引き潮の時でも海水につかるこの奇岩が、4月9日から10日にかけてなぜか根元まで露出した。
二見興玉神社の神職を務める男性(50)によると、引き潮の際に岩肌があらわになる現象は過去にもあったが、今回は少し様子が違うという。
男性は「直近では5〜6年ほど前にも夫婦岩が姿を現したことがありましたが、今度のは周囲の岩礁までが丸見えになるほどの規模。これほどの異常は記憶にありません」と驚きを隠さない。
住民からの通報を受けて発生直後の11日には伊勢市の危機管理課が“出動”。聞き取り調査を行うなど波紋は拡大した。くしくも同日には、インドネシア西部でマグニチュード(M)8・6のスマトラ沖地震が発生し、住民の恐怖を助長した。
異常現象から2週間あまりがたったが、いまもって「はっきりした原因は分からない」と地元の気象台。伊勢湾は、東海・東南海・南海の連動型地震の発生が懸念される南海トラフとも近いだけに不気味さは募る。
潮の変化と地震との関連を調べている防災科学研究所の田中佐千子研究員は「この異常が、地震と直接関係するかは不明」と説明。ただ、「これほど急激な潮位変化を起こしたということは、沖合で地殻が大きく変動した可能性があります」と指摘し、警戒を促した。
太平洋沿岸で起きた気になる異変。これと関係あるのかないのか、日本海沿岸でも妙な現象が頻発している。夫婦岩が完全露出した直後の11日、鳥取県琴浦町でハ(バ)ンドウイルカの死体が漂着。3月にも鳥取・島根両県の半径200キロ以内の沿岸でイルカやクジラの死体が続々と流れ着いた。
一部の海洋学者は「イルカは微少な磁場を感知することができる。海底で何らかの磁場の乱れが生じた可能性がある」と注目しており、地震の前兆との懸念はぬぐい去れない。各地の海で相次ぐ怪現象は一体、何を意味しているのか。
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