新司法試験合格者が語る
法曹の道を決意しながらも、
あえて3年の社会人経験を選択
『法曹をめざそう』と決意したのは大学3年生の時。ちょうどその頃に、経済的な事情で苦労した経験から、社会的弱者を守る仕事がしたいと強く思うようになったのです。学部時代は商学部だったので、法律の知識はほぼゼロ。ゼミの先生や親にも止められたのですが、それでも、本当に自分がやりたい仕事は法曹しかない、そう思って法科大学院受験を決めました。それからたくさんの法科大学院を比較検討したのですが、龍谷大学を選んだのは、『市民のための法律家を養成する』という理念が自分のめざす方向と同じだと感じたから。説明会や模擬授業に参加した時に、人間味に溢れた先生が多いな、と感じたことも好印象でした。また、週に一度先生のところへ行って質問できるオフィスアワー制度や、24時間使える図書館など、学生に対する支援が人的にも、設備的にも厚いこと、そして奨学金制度が整っていることなどを考え、龍谷大学だけを受けようと決めました。
しかし、真に『市民のための法律家』を目指すには、社会人経験があったほうが良いのではないか、と考えたことから、あえて法科大学院に入る前に就職する道を選択。3年間と期限を決めて法律事務所に正社員として入社し、事務方として広報、採用、総務など幅広く経験しました。ここでは社会人としての基本を身につけることができたと同時に、将来目指す弁護士を身近に見ながら、実務に関しても勉強することができました。
法曹でなくても法のエキスパートが
いると知ったエクスターンシップ
3年間の企業勤務を経て、晴れて法科大学院に入学。社会人の時は勉強する時間がなかったので、24時間勉強できるとは、なんて恵まれているんだ!と嬉しくて仕方なかったですね。授業の中で特に役立ったのはエクスターンシップ。これは法律事務所や企業法務部などで実習を行うもので、必修科目になっているのは日本では龍谷大学だけ、という特徴的なカリキュラムです。私は法律事務所で働きたいと思っていたので、ならば今後企業で働く機会はないだろうと、あえて企業法務を選択。京都の企業で2週間実務を経験したのですが、そこには法曹と同等に法律に詳しい方々が集まっていて驚きました。クライアントも弁護士を批判的にチェックする実力を持って相談しているのだ、ということを知れたことは、今後法曹として生きていく上でとても大事な気づきだったと思います。
また、弁護士の方が授業のフォローアップを行うTS制度も活用していました。私は問題や判例を解き、添削しあうゼミに参加していましたが、これはとても力になる分、予習にも時間がとられます。授業だけでも大変で、ゼミをやる余裕などなくなってくるのですが、あえてそこに集まる仲間はみな熱意があり刺激になります。実務に入ればノルマを次々にこなしていくことは弁護士にとっては当たり前。そう思っていた私は、逆にどんどんやることを増やすことで自分を追い込んでいきました。
一回目の試験は不合格
どん底からの奮起
ただ、実際なかなか点数が伸びなくて、落ち込んだこともあります。こんなに勉強したのに、もう無理なんじゃないかって。特に私は、一回目の試験では落ちてしまったんですよね。しかもとんでもない順位で落ちたので、本当にショックでした。でも落ち込んでいる暇はないんです。幸い、龍谷大学は、修了生にも手厚いサポートがあり、半年1万5000円で図書館とキャレルを使えたので、環境を変えることなく勉強に打ち込むことができました。
失意の中でも気持ちを奮い立たせ、改めて自分の勉強法を見直しました。私の場合は、勉強量は誰にも負けていなかったのですが、短期間に詰め込んだ知識なので意味や体系が曖昧だったのです。そこで基本書に書かれている内容を、改めて整理して自分なりにまとめなおし、体系だった正確な知識を自分の中に入れる、という方法を取ることで、点数がだいぶ上がりました。そんな風にして2回目の試験までには、“僕の知らないことは誰も知らない”くらいの自信を持てるところまでやりきりました。合格が分かった時は泣きましたね。生まれて初めて自分で描いた夢を実現した瞬間でした。2週間は興奮して眠れなかったくらいです。
これからが本番ですが、人間味あふれる弁護士でいたいですね。困っている方に相談してよかった、と思ってもらえるような仕事をする。そんな純粋な気持ちを忘れずに頑張っていきたいです。この3年を思い返して、龍谷大学のサポートは十分すぎるほど手厚いものだったと思います。しかし、だからこそ、そのサポートに安心して、大船に乗ったつもりになることなく、自分にとって必要なことを常に自分の頭で考えて、選び取っていくことが重要です。長い勉強の日々をぜひ有効に過ごして下さい。
24時間使える法科大学院専用の図書館。充実した設備面からも学習意欲をサポート。