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4号機 取材記者が見たものは
5月26日 23時42分

4号機 取材記者が見たものは

福島第一原発4号機の建屋内部には記者とカメラマンの代表4人が入り、およそ30分間にわたって取材しました。
代表取材を終えた記者は「東京電力が公開した写真や動画を何度も見てきたが、近くで目の当たりにするとまったく衝撃度が違った」と感想を語ったということです。

地下1階、地上5階の原子炉建屋は、地上から見上げても4階と5階の壁が爆発で吹き飛んだ様子が分かり、配線や配管、鉄骨が四方八方にぶら下がっていました。
建屋に入る前の放射線量は1時間当たり120マイクロシーベルト、僅か9時間で一般の人が1年間に浴びても差し支えないとされる限度の1ミリシーベルトに達する値です。
最初に見たのは建屋の1階です。
中は薄暗く、コンクリート片がところどころに散乱していました。
出入り口のすぐ右側に5階まで続く吹き抜けがあり、仮設の階段が設置されていました。
階段は人が肩をすぼめて通れるくらいの幅で、天井は低く、何度も頭をぶつけながら上がっていきました。
1階の放射線量は最高で1時間当たり50ミリシーベルトでした。

2階では“急いで通り過ぎて”

2階に上がり、配管やバルブなどが密集した通路を進んでいくと、誰かの線量計が鳴って「500マイクロシーベルト」と声がかかり、東京電力の社員が「急いで通り過ぎてください」と呼びかけました。
通路の先に案内されると、そこには、爆発で壊れた建屋の耐震性を高めるため、燃料プールの底に鋼鉄製の支柱を設置し、周りをコンクリートで固めた壁がありました。
このあたりは東京電力の点検で「1ミリを超えるひびはなかった」とされる部分で、実際に目で見たかぎりでは、ひびや亀裂のようなものは確認できなかったということです。
3階を通過し4階まで上がると一気に明るくなり、視界が開けました。
海側の壁が一面ありませんでした。
4階は水素爆発があったとされる階ですが、がれきの撤去は進んでおらず、ほぼ爆発当時のままだということで、配管が激しく曲がり、鉄骨もアメのように曲がってさび付いていました。
3階と4階にあるプールを覆うクリーム色の壁には大きな傷は見えなかったということです。

水中の燃料は確認できず

最後に最上階の5階に上がりました。
階段から床に降りるとすぐ手前に、白いシートに覆われた使用済み燃料プールが確認できました。
プールの水面を監視するカメラが設置されている場所はシートがなく、水面が見えましたが、黒くよどんで透明度が悪く、水中にある燃料は確認することはできませんでした。
プールの周辺のがれきは比較的片づけられていましたが、3号機がある北側は放射線量が高く、あまり手がつけられていない状態で、放射線量は1時間当たり330マイクロシーベルトでした。
代表取材を終えた記者の感想は、「東京電力が公開した写真や動画を何度も見てきたが、近くで目の当たりにすると、まったく衝撃度が違った」ということです。
今回建屋内部の取材をした4人の放射線量は、90マイクロシーベルトから110マイクロシーベルトでした。

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