【TPPの真実】
TPP政府代表に決まった外務官僚OBの評判
【政治・経済】
人選は迷走の末…
大島氏は東大法学部を卒業し、68年に外務省に入省。アジア局東南アジア第1課長や韓国大使、経済担当の外務審議官などを歴任し、08年から今年まで、WTOの上級委員を務めた。
TPPの政府代表は、強硬姿勢で市場開放を要求する米国などに対し、日本の国益や立場に配慮しながら交渉する役割が求められる。「米国の言いなり」になれば、国内の反対派の声が強まるのは必至だけに重責だ。藤村官房長官は、大島氏の起用について「長年わが国の経済外交の中枢を担い、豊富な実務経験や高い専門的知識、それに優れた交渉能力を有している」とアピールしていたが、人選は“迷走”していた。
「政府は当初、外交・安全保障担当の長島昭久首相補佐官の起用を考えたが断られた。それで、各省を横断的に取りまとめる役が必要ということで外務省OBに白羽の矢が立ったのです。“本命”は野上義二元外務次官や、藪中三十二前外務次官でしたが、『引き受けたらロクなことがない』と敬遠され、最後に残ったのが大島氏でした」(外務省事情通)
元外交官の天木直人氏はこう言う。
「彼(大島氏)は大変、温厚な性格で、政治的な動きはあまり得意じゃない。米国の要求をはね返す交渉も難しいでしょう。私は、今回の人事で、市場開放を求める米国の圧力はどんどん強まるとみています」
米国追従の野田首相は最初から本気で交渉する気などないのだろう。