石井氏のアゴラ記事、
B-CAS不正使用で放送業界大混乱へ、責任はどこに?-運用者が「間抜け」だったら…を拝読。「責任はどこに?」との質問に対しては、「それはNHK」と答えたい。意味不明と思われる方は、4年前の
池田先生のこのブログを読む事を推奨する。
社長の浦崎宏氏は、NHKの元経済部次長で、私と一緒に銀行の不良債権にからむ経済犯罪を追及した記者である。このような明白な経済犯罪(独禁法・放送法違反の容疑もある)を8年間にわたって続けてきた責任は、当然とるのだろう。
そもそも、「スクランブル」とは破られる為のものである。従って、破られても修正できるような仕組みに構築する必要がある。しかしながら、無料放送も利用する仕組みにしてしまったり、片方向(放送)のみとか、全く真逆の事をやっている。従って、今回の件は起こるべくして起こった、としか言いようがない。
ケーブルテレビのCASも基本的には同じ様な仕組みであるが、それでも視聴者側のSTB(端末)でも制御できるようになっており、一定の抑止効果は保持している。
さて、喫緊課題はB-CASが壊れて有料放送も破綻するのか?という点である。
直接被害を受けるのは、何と言っても「スカパー」と「スカパーに乗っている各チャンネル(電気通信役務利用放送事業者)」、及び有料放送の雄、WOWOWである。
具体的には,スカパーに乗っている
これらのチャンネルと
WOWOWの無料視聴が可能となる訳で、「解約」が殺到とまでは行かなくても、それなりに増加するのではないか?経営基盤の脆弱な各チャンネルが、これを持ちこたえる事が可能なのか疑問である。
J:COMの如き、総加入世帯が400万弱に達するケーブルテレビ事業者も無縁ではいられない。同社のサービスは、従来、「有料多チャンネルサービス」を機関車役にして、これに、「インターネット」と「固定電話」を組み合わせ、
「トリプルサービス」として利便性を訴求して来た。
しかしながら、売り物の「有料多チャンネルサービス」が無料で視聴可能となると状況は一変する。残りは、「インターネット」と「固定電話」となるが、こんなもの「テザリング」機能付きのスマホを購入すれば一発で解消されてしまう。
J:COM第二位の株主はKDDIであるが、ドコモやソフトバンクに切り替え営業を好き放題にされる位ならと、自社サービスの推奨を始めるのではないか?
NTT東西が、主力サービスである「フレッツ」に搭載する、
「ひかりTV」も相当悩ましい。
会員が200万人超えたのはご同慶の至りであるが、この先同社を待ったいるものは,奈落の底以外何もないのではないか?
更には、本体の「フレッツ」に就いてもこの先サービスを継続する事に疑問が生じる。「光」はそもそもHD動画を視聴する様な、「ニッチ」で「贅沢」な限定的サービスである。
従って、NTT東西が本来不慣れな「ひかりTV」の販促に注力して来た訳である。しかしながら、これがアンテナ経由無料で取り放題となれば、全く事情は異なる。
「光」から「無線通信」への動きが加速するに違いない。
年末に向け、色んな動きの可能性を感じる。
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ファーイーストコンサルティングファーム代表取締役。