ロシアのプーチン大統領が新政権人事で、「戦争と平和」で知られるロシアの文豪レフ・トルストイ(1828〜1910)の玄孫(やしゃご)にあたるウラジーミル・トルストイ氏(49)を大統領顧問に任命した。
91年のソ連崩壊でロシアが市場経済化する中、モノ社会から精神社会への転換を訴える同氏の主張に大統領が意気投合したことが伏線にあるようだ。
同氏は84年にモスクワ大ジャーナリズム学部を卒業後、雑誌編集者などを経て94年にトゥーラ州にある国立トルストイ邸博物館の館長に就任。09年から国際博物館会議(ICOM)のロシア委員長も務めている。文豪トルストイの孫の孫にあたり、一族では116番目に数えられるという。
3月の大統領選直前、同氏はプーチン氏や支援者との会合で「消費社会から高い精神性とモラルの社会へと、イデオロギーの方向性を変える必要がある。国のリーダーがそれを言わなければならない」と発言。プーチン氏は「90年代から拝金主義が広がっている。あなたのような人々、文化や伝統宗教の力を借り、内面世界を変えなければ」と応じていた。(モスクワ=副島英樹)