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ドッキング成功“歴史的な一歩”
5月26日 8時30分

ドッキング成功“歴史的な一歩”
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アメリカのベンチャー企業「スペースX」社が開発した無人の宇宙船が、国際宇宙ステーションとのドッキングに成功したことを受けて、「スペースX」社の経営者が記者会見し、「民間宇宙旅行の実現に向けた歴史的な一歩だ」と述べて、有人宇宙船の開発に強い意欲を示しました。

ベンチャー企業「スペースX」社が開発し、今月22日に打ち上げられた無人の宇宙船「ドラゴン」は、日本時間26日午前1時過ぎ、国際宇宙ステーションとの初めてのドッキングに成功しました。
これを受けて、テキサス州にあるNASA=アメリカ航空宇宙局のジョンソン宇宙センターで記者会見が行われ、NASAの担当者は「歴史的な瞬間に立ち会えて光栄だ。スペースX社に敬意を表したい」と述べて、偉業をたたえました。会見には、スペースX社の最高経営責任者であるイーロン・マスク氏もカリフォルニア州にある本社から参加し、「NASAとの協力があったからこそ成功できた。民間宇宙旅行の実現に向けた歴史的な一歩だ」と述べ、有人宇宙船の開発に強い意欲を示しました。
スペースX社は、NASAの協力の下、2015年の初飛行を目指して有人宇宙船の開発にも着手しており、今回のドッキングの成功で、スペースX社の開発計画に弾みがつくものとみられます。

民間宇宙船の今後

国際宇宙ステーションとのドッキングを成功させた無人の宇宙船「ドラゴン」は、このあと1週間ほど宇宙ステーションに滞在し、早ければ今月下旬に再び大気圏に突入して地球に帰還します。
「ドラゴン」には、今回、宇宙食や衣服それに医薬品などおよそ300キロ分の物資が積み込まれています。宇宙ステーションの宇宙飛行士たちは、日本時間27日にも、ドラゴンの出入り口の扉を開けて物資を運び出す予定です。
その後、ドラゴンは、宇宙ステーションの物資の一部を積んで、早ければ31日に宇宙ステーションから分離し、大気圏に再び突入したあと、パラシュートを使って太平洋の海上に落下して地球に帰還します。
「ドラゴン」にとって今回の最大の任務は、宇宙ステーションとのドッキングを成功させることでしたが、宇宙から無事に帰還することも重要な任務の1つです。宇宙船は、大気圏に突入したときの空気との衝突で、1000度以上の高温にさらされますが、この温度に耐えることのできる宇宙船の開発は今後有人の宇宙船を開発するうえで不可欠です。
「スペースX」社は、おととし12月の打ち上げで、「ドラゴン」を宇宙から無事に帰還させることに成功していますが、今後は信頼性を積み重ねることが必要となります。「スペースX」社は、来年からは宇宙ステーションに物資を運ぶ「ドラゴン」の打ち上げを年2回以上のペースで行い、2015年までに合わせて12回の打ち上げを行う契約をNASAと結んでいます。
こうした打ち上げを通して実績を積み重ねて、2015年の半ばには、有人の宇宙船の試験飛行を行いたいとしており、今回のドッキングの成功で、この計画にはずみがつくものとみられます。

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