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国土交通省は24日、JR東海が2045年を目標としているリニア中央新幹線・名古屋―大阪(新大阪)開業の前倒しに向け、民間からの資金調達を中心に具体策を検討していると明らかにした。同社は東京―大阪全線で総額9兆円程度に達する事業費を全額負担する方針で、債務負担能力から名古屋まで27年に先行開業させる計画だが、関西の自治体や経済界から、大阪までの同時開業など大幅な前倒しを求める声が強いためだ。
民主党リニア推進議員連盟(会長・高木義明元文部科学相)が同日、国会内で開いた総会で、津川祥吾・国交政務官が「いかにして(大阪までの)早期開業を実現することができるか、さまざまな検討をしている」と表明。同省の久保成人鉄道局長は「建設資金の考え方について専門家と相当突っ込んだ議論をしている」と説明した。
久保局長によると、事業が生む将来の利益を担保とした融資制度などについて研究。最終的にコスト増になる可能性など課題もあり、検討を重ねている。JR東海は現在、経営の自由度を確保するため自社資金による整備方針を維持しており、同社の意向との調整も課題になりそうだ。
同社は07年、「国家財政が厳しい中、リニアの建設財源を国費に依存すると整備が遅れる」とし、自社負担での建設を表明。東京―名古屋間を先行整備する方式であれば、長期債務残高を5兆円以内に抑えられ、健全経営を維持できるとし、開業後に債務残高を一定程度減らしてから名古屋―大阪間に着手する方針を示している。