4号機 燃料プールの健全性は5月26日 18時47分
福島第一原発4号機の燃料プールには、最も多い1535体の燃料集合体があり、再び大地震に襲われると、水素爆発で壊れた建屋が倒壊するのではないかという懸念が繰り返し指摘され、地元などから不安の声が上がっていました。
地震発生時、定期検査中だった4号機は、原子炉の燃料すべてがプールに移されていたため、メルトダウンには至りませんでした。
しかし、地震4日後の去年3月15日に原子炉建屋で水素爆発が発生し、プール周辺にある天井や壁が大きく壊れ、燃料プールの健全性に懸念が広がりました。
4号機の燃料プールには、福島第一原発の中で最も多い1号機から3号機の3倍前後にあたる1535体の燃料集合体があり、発熱量が多いことから、日本政府やアメリカ政府は、余震などによってプールの冷却ができなくなると、短期間で燃料が溶けて大量の放射性物質が放出され、最悪の場合、首都圏を含む広い範囲で住民避難が必要になるなどと想定していました。
こうした懸念に東京電力は去年5月、燃料プールの耐震性を評価し、原子炉建屋が壊れた影響などを考慮してもプールの強度は十分にあり、再び震度6強の地震が起きても壊れないと発表しました。
さらに去年7月には、プールの底に鋼鉄製の支柱を設置して周りをコンクリートで固める工事を行い、耐震性を20%高めたとしたほか、冷却で注入した海水によってプールが腐食するのを防ぐため、塩分を取り除く装置も設置しました。
しかし、こうした評価や対策をしても水素爆発で壊れた4号機が、余震で倒壊するのでないかという不安の声が地元や一部の専門家の間から繰り返し上がっていました。
このため東京電力は、ことしに入って3回にわたり、燃料プールの水位を測定し、建屋が傾いていないことを確認したほか、今月中旬には、建屋の壁の傾きを光を当てて直接調べたり、プールのコンクリートの強度を特殊なハンマーを使って調べたりするなど、新たな対応も取っています。
政府も先月23日に内閣府の中塚副大臣が4号機の建屋の中を視察し、健全性を確認したと強調するなど、不安の払拭(ふっしょく)に全力を挙げていました。
国や東京電力が4号機の燃料プールの安全性に問題はないと説明していることについて、福島第一原発の耐震性などについて評価する国の意見聴取会のメンバーで、東京大学の高田毅士教授は「これまでに行ったコンピューターによる耐震性の解析は、厳しい条件で行っており、それなりに信頼できるものだと思う」としました。
ただ、安全性を評価するには、地震や爆発の影響が懸念される部分のコンクリートの強度などのデータがまだ不十分だとして、「プール周辺のデータをきっちりと集め、被害の度合いを明らかにする必要がある。そして、何がいちばん懸念材料なのか、今後、どういう解析をしてどのような結果を得たいのか、そうした方針も含めて東京電力としての考え方を説明すべきだ。懸念や心配する人たちがいる以上、そうした人たちや第三者の専門家が理解し、判断できる情報提供、説明が求められる」と話しています。
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